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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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106.魔物たちのダンジョン

あらすじ


猪丸に追い立てられて、ダンジョンに魔狼フォレストウルフがやってきた。フォレストウルフは複製体のゴブリンたちをあっさり倒す。けれど、道に迷い、暫く戦闘を繰り返すと飽きたのか出ていった。

次に来たのは二匹のゴブリン。追い立ててきたのは、前と同様に猪丸。今度は複製体ゴブリン一体を相手に、二匹で挑み、泥仕合を演じる程の弱い個体たちだ。何とか勝利したようだが、二匹はボロボロになってしまった。




 ダンジョンに呼び込んだ二匹のゴブリンたちは、暫くその場で休憩をした後、慎重な足取りでもう一度ダンジョンを進み始めた。どうやら二匹で話し合って、先に進むことを決めだようだ。

 そうして、暫く進んだ通路の行き止まりで、二匹のゴブリンたちは宝箱を発見する。二匹のゴブリンたちは暫くの間、慎重に宝箱を観察した後、ゆっくりと宝箱の蓋を開けた。宝箱の中から二本の瓶を取り出す二匹のゴブリン。二匹のゴブリンたちは、また暫く二本の瓶を観察した後、中身を一気に飲み干した。慎重な割に、なかなか大胆なことをする。しかし、その行動が功を奏した。二匹のゴブリンたちの身体に刻まれた無数の傷がゴブ子印のポーションの力により癒えていく。これでまた、戦うことが出来るだろう。

 そこで私はもう一度、複製体ゴブリンを一匹、彼らの元へ送った。先ほどと同じように、向かい合う二匹のゴブリンと複製体ゴブリン。しかし、今度は少しだけ前と違う。

 先ほどの戦いで、二匹のゴブリンのレベルが上がったのだ。それにステータスへ『鈍器術』のスキルが追加されている。あの死闘は二匹のゴブリンを、戦える者へと成長させたのだ。

 二匹のゴブリンは先ほどよりも少しだけましな動きで、襲い掛かってきた複製体ゴブリンを迎え撃つ。それでもまだ、二匹のゴブリンと複製体ゴブリンの間には、僅かに力の差がある。こうして、二度目の死闘が幕を開けたのだ。


 その後も、二匹のゴブリンは宝箱から出てくるポーションで傷を癒しつつ、幾度かの死闘を乗り越えていく。最終的に五戦ほどした後、二匹のゴブリンたちはダンジョンから脱出していった。

 さて、ゴブリンたちの戦いにより回収できたDPを確認しておこう。最初の一戦で回収できたDPは二匹合わせて三DP。まあ、大分弱いゴブリンたちだったので、仕方がない。

 しかし、次の戦いで回収できたDPは二匹合わせて五DP。そこから戦闘が進むにつれて、八DP、十DP、十二DPと上がっていった。 上がり方に法則的なものは感じられないけれど、一戦ずつ確実に上がってはいる。ちなみに、全て同じ複製体ゴブリン一匹が相手だ。

 ここまで明確に強くなっていくのを確認できたのは初めてだった。これはなかなかに有益な情報だ。とはいえ、今回の宝箱とポーションの召喚に使ったDPを考えると、今はまだ完全に赤字。願わくばこの二匹が森で、強くなれるダンジョンの事を広めてくれることに期待しよう。



 それからもダンジョンでは、ジェットボアの猪丸に追われてきた魔物が定期的に訪れては、何度か戦闘をして帰っていくということが続いた。どうやら魔物たちは、一度でもダンジョンに入ってしまえば、ダンジョンに興味を抱いてくれるようで、必ず幾度か戦闘をしてから脱出している。これに関しては、大変ありがたい誤算だ。

 猪丸はこういったことがかなり得意らしい。前生には猪突猛進なんて言葉があったけど、猪丸はただ前に突き進むだけの魔猪では無いようだ。かなりの速度を出しながらも、巧みな動きで魔物たちを誘い込み、うまくダンジョンの入口へと誘導している。

 それに対して、ストロングベアの熊吉はかなり苦戦しているようだ。力で負けることは無いのだが、速度が足りていない為、追い立てることは出来てもそこから追いつくことができず、うまくダンジョンの入り口まで誘導できていない。毎回、追い立てた魔物は別の方向へと逃げていってしまうようだ。これではやり方を工夫しなければ、何時まで経っても成功はしない。一応、熊吉にはもうすこしだけ試させて、それでも難しいようなら別の仕事を割り当てることにしよう。


 それから数日、猪丸に追われてやってくる魔物は多くいるけれど、未だ自分から望んでダンジョンにやってくる魔物はいない。今もダンジョンで戦う魔物からDPを回収できているけれど、まだまだ効率が良いとは言い難い状況だ。なにせ、猪丸が居なければ、この方法は維持できない。だというのに、回収できるDPはそれほど高くないのだから。これならまだ猪丸を狩りに行かせた方が、多くのDPを回収できる。

 私は魔物たちにもう一度来たいと思ってもらえるように、魔物たちがやってくるたびに探索する様子をしっかりと確認し、少しずつダンジョンを魔物たちに合わせた形へと改装していった。

 危険な人間たちの侵入を阻むダンジョン構成から、弱い魔物たちを成長させるためのダンジョン構成へ。危険な罠は無くし、回復用のポーションや木の実を入れた宝箱を随所に複数用意。そして、回復の泉を第一階層の小部屋の一つに設置する。さらに、複製体の位置もばらけさせておく。

 これで少しは魔物たちにとって、快適な探索が行えることだろう。



 さらに時が過ぎて、十日後。その日、ついに猪丸から追われることなく、ダンジョンへ自分の意志でやってくる魔物が現れた。ちなみに、熊吉はあの後も失敗が続いた為、今は狩りの方に集中させている。少しでもDPを増やすため、猪丸にも合間合間で狩りを行わせているけれど、熊吉は完全に狩り専門だ。それしか出来ないともいう。

 さて、自分の意志でやってきた魔物というのは、以前やってきたことのある二匹のゴブリンたちだった。『魔力感知』で感じ取った魔力の感じからしても、この者たちが以前やってきたゴブリンと同一であるのは、恐らく間違いないだろう。しかし、今回はそれに加えてもう一匹、ゴブリンが増えている。

 新たに加わった三匹目のゴブリンは、他の二匹と違って棍棒と鍋蓋のような簡素な木の盾で武装していた。どうやら今回は頼りになる仲間を連れて、本格的にダンジョンの探索を行う気のようだ。

 ダンジョン内まで入ってきた事で、それぞれのステータスが明らかとなる。


 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:2

 カルマ:±0

 LV:5/15

 スキル:『繁殖LV2』『森歩きLV3』『採取LV3』『気配察知LV3』『鈍器術LV1』『体術LV1』

 称号:


 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:4/15

 スキル:『繁殖LV1』『森歩きLV1』『採取LV1』『鈍器術LV1』

 称号:


 前に来た二匹のゴブリンに関しては、あれからそれほど変わっていない。最後にダンジョンから出ていった時のステータスのままだ。


 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:5

 カルマ:±0

 LV:8/15

 スキル:『繁殖LV3』『森歩きLV3』『採取LV3』『気配察知LV3』『体術LV3』『盾術LV3』『鈍器術LV2』

 称号:


 一方で新しく来た一匹は、他の二匹よりもレベルが少しだけ高く、少しだけ戦闘系のスキルが充実している。『読心』で三匹が話している内容を確認したところ、頼りになる知り合いといった所か。まあ、これまで私が感じてきた魔物たちの強さからすると、この三匹の強さの違いは、並べて違いをしっかり比べてみなければ分からない程度の差でしかない。しかし、さすがに今回は複製体ゴブリン一匹に苦労することは無さそうだ。でも、万が一を考えて、最初は複製体ゴブリンを一匹で襲わせてみよう。

 複製体ゴブリンを前にすると、新しくやってきたゴブリンが他の二匹に指示を出して、戦闘態勢に入った。新しくやってきたゴブリンが盾役を担い、複製体ゴブリンの攻撃を受ける。そうして隙を見つけると、盾役ゴブリンが他の二匹のゴブリンに指示を出し、複製体ゴブリンへ攻撃を加えた。二匹のゴブリンの攻撃には、複製体ゴブリンを一撃で倒せるほどの威力は無いけれど、それでも少しずつ複製体ゴブリンには傷が増えていく。そうして三匹のゴブリンは、複製体ゴブリンを危なげなく倒した。

 少し時間は掛かっていたけれど、殆ど無傷で倒せたのはさすがだ。これも終始、盾役に回っていたゴブリンのお蔭だろう。複製体ゴブリンが一匹ならば、この戦法で完封できる。ならば、複製体ゴブリンファイターが相手ならどうなるだろうか? もしくは、複製体ゴブリンが二匹だったら? 

 ふむ、ちょっと試してみようか。私は三匹のゴブリンの近くにいる複製体たちを確認して、丁度近くにいた複製体ゴブリンファイターに命令を送る。

 程なくして、三匹のゴブリンたちの元へ、複製体ゴブリンファイターがやってきた。そうして、複製体ゴブリンファイターが三匹のゴブリンたちに襲い掛かる。

 複製体ゴブリンファイターと複製体ゴブリンを比べると、複製体ゴブリンファイターの方が強い。まあその違いは、あくまでFランクという括りの中での話ではあるけれど。それでも、同じFランクであるこの三匹のゴブリンからしてみれば、大きな違いであろう。

 襲い掛かった複製体ゴブリンファイターに対して、三匹のゴブリンたちは今回もまた同じ戦法を選んだようだ。盾を構えたゴブリンが複製体ゴブリンファイターを抑え、その間に他の二匹のゴブリンたちが攻撃を加える。そこまでは同じ。しかし、複製体ゴブリンファイターは、複製体ゴブリンよりも巧みな動きで隙が少なく、先ほどと比べると二匹の攻撃役ゴブリンたちは思うように攻められていない。

 それを見た盾役のゴブリンは自身も攻撃に参加する。そうしてここからは、三匹で複製体ゴブリンファイターを攻撃し始めた。盾役のゴブリンが盾役だけに集中しなくなったことで、多少の傷を受けることは増えたが、手数が増えたことで複製体ゴブリンファイターも攻撃を受け始めている。そうして激しい消耗戦の末に、三匹のゴブリンたちは何とか複製体ゴブリンファイターを倒すことが出来た。

 以前、ゴブリンたちが二匹でこのダンジョンへやってきた時の死闘と比べれば、まだまだ余裕があるようだが、それでも先ほどの無傷での勝利と比べると、大分傷付いている。

 これは、そろそろ回復させておいた方が良さそうだ。三匹のゴブリンたちが向かう先に、宝箱を設置しておこう。

 それで三匹が回復出来たら、次は複製体ゴブリン二匹を送り込む。そうして戦いを観察し、どの組み合わせが一番多くのDPを回収できるかを探る。ついでに三匹のゴブリンのステータスにも注意して、どの戦いが一番三匹のゴブリンたちを成長させられるかも調べておこう。


 そうして一通りの戦闘を確認した結果、複製体ゴブリン一匹が相手だった最初の戦闘で回収できたDPは二十DP。Eランクの魔物が戦った時のDPには比べるとまだまだ少ないが、ゴブリン二匹で来ていた前と比べればかなりの増加量だ。

 次に複製体ゴブリンファイターとの戦闘で回収できたのは二十六DP。複製体ゴブリン一匹の時と比べると、少し回収できたDPは上がったけれど、三匹のゴブリンたちの消耗を考えると、あまり効率が良いとは言い難い。

 最後に複製体ゴブリン二匹との戦いで回収できたのは四十一DP。大体、複製体ゴブリン一匹の時の倍だ。ちなみに戦闘で負った消耗は、無傷という程では無いけれど、複製ゴブリンファイターの時よりも少ない。この程度であれば、まだまだ続けて戦えそうだ。

 複製体ゴブリンを一匹ずつ相手させるのが一番安全だけど、効率的に言えば二匹で相手をさせた方が良い。ただ、ゴブリンたちの成長を考えると、どうやら複製体ゴブリンファイターとの戦いが一番成長している。

 どれを選んでも一長一短。継戦効率を求めるか、DPの回収効率を求めるか、それとも成長を求めるか。しかしそれ故に私は今、様々な選択肢を握れていると言える。

 私は今、何を一番に求めているのか? それは言うまでもない。この三匹のゴブリンたちに、ダンジョンを気に入ってもらい、またダンジョンに来てもらうことだ。

 その為にも私は、この三匹のゴブリンたちがダンジョンに望むことを察して、実行していかなければならない。


 それでは、このダンジョンの主として、またダンジョンそのものとして、精一杯の歓迎をしようじゃないか。









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― 新着の感想 ―
[良い点] 野生の魔物を育成してDPを稼ぐところがダンジョン系の中でも新しくて面白い。 [気になる点] 直して欲しい程では無いんですが「新しくやってきたゴブリン」という文面が若干くどいかなと思ったので…
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