表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

124/204

105.魔物たちとダンジョン

あらすじ


召喚した魔猪と魔熊は順調に成長中。さらなる成長を願い、名前を与えることにした。

ジェットボアが猪丸、ストロングベアが熊吉。

しかし未だ、DPの回収率は芳しくない。そこで新たな回収方法を模索する。

思いついたのは、魔物を呼び込み。ダンジョン内で戦わせて、DPを回収する方法だ。問題は魔王の魔力残滓が邪魔をして、魔物がダンジョンに近づいてきてくれないこと。

それを解決するために、猪丸と熊吉に魔物をダンジョンまで追い込んでもらう。そうして少しずつ魔王の魔力に慣れさせるのだ。




 二体の配下たちを送り出してから暫く、第一号となる魔物がダンジョンにやってきた。やってきた魔物はEランクの魔狼フォレストウルフだ。

 魔狼というと以前、私と共闘していたガルセコルトの率いた群れを思い出すが、あの群れは魔王レティシアの手によって全滅してしまったはずだから、さすがにあの群れとは何の関係もない魔狼だろう。一匹で逃げてきたことを考えると、追いまわされて何処かの群れから逸れたか、もしくは元から一匹で行動している野良魔狼なのかもしれない。

 ジェットボアに襲われて、命からがらといった様子で逃げてきたフォレストウルフは、ダンジョンの中に跳び込んでくると、暫くその場で立ち止まり、ダンジョンの外の様子をうかがっていた。そして、ジェットボアがダンジョンの入り口周辺でうろうろしているのを確認すると、もう少し奥まで入り込んだ所で腰を落ち着ける。入り口付近に警戒を向けつつ、体力を回復しようとしているようだ。

 そうして暫くその場で休憩していたフォレストウルフはダンジョンの奥に視線を向け、そこで初めてダンジョンの先に興味を持ったようだ。その場で立ち上がると、慎重にダンジョンの奥へ向けて進み出す。

 ちなみにフォレストウルフを追い立てていたジェットボアの猪丸は、フォレストウルフがダンジョンの奥に引っ込んだのを確認すると、すぐ次の魔物を探すべく病魔の森に戻っていった。

 さて、ダンジョンを進むフォレストウルフは、ダンジョンマップに敵対を示す赤色の点で表示されている。一応、ステータスも確認しておくか。


 名前:――――

 種族:フォレストウルフ ランク:E

 年齢:2

 カルマ:±0

 LV:17/25

 スキル:『聴覚LV3』『嗅覚LV3』『遠吠えLV1』『森歩きLV3』『気配察知LV3』『爪牙術LV1』

 称号:


 よし、ここまでは順調だ。それでは、いよいよ試してみようか。


 薄暗いダンジョンの通路を進むフォレストウルフの前に、私の送り出した一体の複製体ゴブリンファイターが現れ、いきなり襲い掛かる。

 ちなみに同じく第一階層に配置している複製体ゴブリンではなく、複製体ゴブリンファイターを選んだ理由は、特にない。しいて言えば、一番近くにいたからだ。複製体ゴブリンファイターは複製体ゴブリンよりも少し強めとはいえ、所詮はFランクの劣化体。どちらであってもEランクの魔狼フォレストウルフにとっては大した違いも無いだろう。

 そんな私の予想通り、フォレストウルフは襲い掛かってきた複製体ゴブリンファイターの一撃をあっさり避けると、その牙で複製体ゴブリンファイターを噛み砕いた。それだけで消えていく、複製体ゴブリンファイター。やはり私の予想通り、戦いは一瞬で終わったようだ。

 この戦いで回収できたDPは三十六DP。

 以前、冒険者たちから同じ方法でDPを回収していた時は、確かEランクのパーティーから一度の戦闘で回収できたのは十DP前後で、Dランクのパーティーから一度の戦闘で回収できたのは百DP前後だった。冒険者パーティーの人数は、大抵が五人から六人ほど。それを考えると、たった一匹のフォレストウルフで三十六DPというのはなかなかの結果だ。これはかなり幸先が良い。

 私はそのまま先へ進むフォレストウルフへ向けて、付近の複製体たちを送っていく。その全てをフォレストウルフはあっさりと倒し、先へ進んでいた。数体の複製体をまとめて送っても、物ともしない。フォレストウルフがこの第一階層を探索する上で、戦闘に関して困ることは無いだろう。

 しかし、かなり迷っているようだな。幾度も行き止まりに入り込み、その度に引き返している。そもそもが最大まで拡張したことで、広大となった第一階層だ。ダンジョン探索に特化したスキルなど一切持たぬフォレストウルフは、広大な迷宮にかなり苦戦している。

 ふむ。最近はずっと、ダンジョン探索に特化したスキルを持つ侵入者ばかり相手にしていたから、ちょっと新鮮な感覚だ。だがしかし、普通はそうだよな。ただでさえ、このフォレストウルフは、ダンジョンの探索を行おうとして、自らの意思でここにやって来た訳では無いのだから。

 同じ道に踏み込むことはさすがに無いようだけど、道の数が数だけになかなか先には進めていない。この分だと、階段部屋まで辿り着くのは無理そうだ。

 案の定、フォレストウルフはそのままニ十戦ほどした後、そこで飽きたのか来た道を戻り始める。『嗅覚』のスキルによるものか、進んだ道をなぞるように入り口まで戻ったフォレストウルフは、そこからダンジョンの外を慎重に覗いた後、そっと抜け出し、病魔の森の中へと消えていった。

 結局、フォレストウルフに倒された複製体は、ゴブリンが十体、ゴブリンファイターが十六体。最終的に回収できたDPは全部では八百六DP、なかなかの収入になった。

 このままこの方法が順調にいけば、病魔の森で魔物を狩るよりも稼げそうだ。



 それから暫くの時が過ぎ、また魔物が追い立てられてダンジョンへと入ってきた。この魔物も、追い立ててきたのはジェットボアだ。

 やってきた魔物はFランクの魔物ゴブリン。今回は二匹。こちらもまた、私が知るゴブリンたちとは別口だろう。

 二匹のゴブリンは棍棒を携えて逃げてきた。ゴブリンたちはダンジョンへと走り込んでくると、そのまま速度を落とさずにダンジョンの奥へと入っていく。

 早速、二匹のステータスを確認してみよう。


 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:2

 カルマ:±0

 LV:2/15

 スキル:『繁殖LV2』『森歩きLV3』『採取LV3』『気配察知LV2』

 称号:


 名前:――――

 種族:ゴブリン ランク:F

 年齢:1

 カルマ:±0

 LV:1/15

 スキル:『繁殖LV1』『森歩きLV1』『採取LV1』

 称号:


 レベルやスキルから見て、この魔物たちはあまり強くなさそうだ。今度は襲わせる複製体を調整してやらないと、あっさりやられてしまうかもしれない。今後の事を考えると、ここでこのゴブリンたちを倒してしまうのは、ちょっと不味いだろう。私としては、出来る事ならこのゴブリンたちにはここでもっと強く成長して貰い、またダンジョンにやってきて欲しい。

 とりあえず、付近を歩いていた複製体たちを下がらせて、複製体ゴブリンを一体だけ向かわせる。これで様子を見ることにしよう。

 複製体ゴブリンと出会った二匹のゴブリンは、かなり警戒をしているようだ。距離を取って、威嚇を続けている。

『読心』のスキルで言っていることを確認してみると、どうやら複製体ゴブリンが本質的に自分たちとは違う存在だと認識しているらしい。なるほど、同種から見て複製体は同族だと思われないようだ。

 複製体ゴブリンが二匹のゴブリンに襲い掛かると、即座に二匹のゴブリンたちも戦闘態勢に移行する。そうして、三匹の戦いが始まった。


 うーむ。実力が拮抗している。複製体ゴブリンはレベルを上限まで上げ、ある程度のスキルも手に入れた状態のゴブリンを記録して、そこから複製したゴブリンだ。複製した影響で、能力は劣化しているが、それでもまあ実力はゴブリンの中でもそれなり。

 一方で対する二匹のゴブリンは、戦闘系のスキルも無く、レベルも殆ど上がっていない。恐らく、私の配下となる以前のゴブ太のように、あまり戦いを好まないタイプのゴブリンたちなのだろう。『森歩き』や『採取』が育っていることを考えると、そちらで生計を立てていたのかもしれない。

 そんなわけで個としての強さは複製体ゴブリンのほうが少し上。しかし、数の上では二匹のゴブリンに分があるといった状況だ。二匹のゴブリンたちには勝ってほしいのだが、ちょっと危ういかもしれない。いっそのこと、複製体ゴブリンに手を抜くよう命令出来ればいいのだが、複製体はそこまで賢くは無いので、戦うか戦わないかの二択しかない。

 いっそ、複製体ゴブリンには突っ立っててもらおうか? いや、それだと二匹のゴブリンは戦いを放棄して逃げ出しそうだ。それにそんな一方的な戦いだと、DPを回収できない気もする。なんにせよ、私がDPを得るためには、何としても侵入者に戦って貰わないといけない。まさか、侵入者が複製体ゴブリンにやられる心配をする日が来ることになろうとは。何だか、妙な気分だ。



 奇妙な時間が暫く流れる。複製体ゴブリンは、こんな時に限っていつも以上に奮戦しているように感じた。多分、気のせいだろう。酷く機能的な複製体に、そのような変化があるとは思えない。きっと相手が弱すぎるから、そう感じてしまうのだろう。

 最下層の泥仕合は随分と長いこと続き、そうして最後にその戦いを制したのは、二匹のゴブリンたちであった。

 勝因は数と武器の差。

 二匹のゴブリンたちが持つ棍棒は、まさにその辺りで拾った木の棒といった印象だが、複製体ゴブリンが持つ木の棒よりも少しだけ品質が良いようだった。そこに数の優位が加わったことで、二匹のゴブリンはなんとか複製体ゴブリンに勝利したようだ。

 しかし、その代償にゴブリンたちは二匹ともかなりボロボロである。少なくとも、これ以上戦うのは無理そうだ。


 うーむ、どうしよう。このままだと二匹のゴブリンたちは、もう戦うことが出来ない。それどころか、このまま放っておいたら傷が悪化して死んでしまいそうですらある。そうでなくとも、うまくダンジョンから脱出したところで、病魔の森に住まう他の魔物に襲われてすぐ倒されてしまうだろう。なんとかして、この二匹の傷を回復させることは出来ないだろうか?

 そうだ。二匹のゴブリンたちが進む先に、ゴブ子印のポーションを入れた宝箱を設置しておこう。これを二匹のゴブリンたちが使ってくれれば、回復してまた探索を続けられるはずだ。少しDPは消費してしまうけど、先行投資と割り切れば悪くない。

 しかし、この方法には幾つかの問題がある。

 果たして二匹のゴブリンたちは、この後もダンジョンの先に進んでくれるのか。進んだ先で宝箱をなんとか見つけたとしても、それを開けてくれるのか。そうして、宝箱の中からポーションを見つけたとして、それを飲んでくれるのか。

 正直、全然分からん。

 いっそ、配下のゴブリンを使って、ポーションを直接届けるか。いや、そんなことをして、この二匹のゴブリンたちが中立の立場になってしまったら、何の意味も無くなる。あくまで私は、この二匹のゴブリンの敵でなければならないのだから。

 しかし、これら全てを越えて、回復してくれる可能性はもはや奇跡にも思えてくる。

 だが、このくらいしか思いつく方法はない。ならば、これに賭けるしかないだろう。


 まあ、ダメならダメでいいさ。

 また次を待てばいいのだから。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ