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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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103.開かれた道への対策

あらすじ


目指すは四天王と呼ぶべき、強さの配下を揃えること。消去法で今回は、魔熊ストロングベアと魔猪ジェットボアを召喚する。効率的に獲物を持ち帰るため、補助としてゴブリンを二体ずつ付け、ダンジョン周辺にいる魔物たちを狩ってくるよう命じた。

ジェットボアは速度を生かして、順調に狩りを進めていく。一方でストロングベアはその動きこそ遅いが、攻撃力は一級品。どちらも非常に頼もしい働きをしてくれている。

こうして私の試みは順調な始まりを迎えた。





 ダンジョンコアの持つ機能の一つである宝図鑑。これには魔物図鑑と同様に、ダンジョン周辺で手に入る様々なアイテムが記されている。その中に記されたアイテムはまさに千差万別だ。明らかに有用なアイテムもあれば、何に使うのかも分からないようなアイテムもある。それ故に、私はその宝図鑑の内容の確認を、『並列思考』のスキルで分けた副思考の一つに任せていたのだが、その思考がつい先日、面白いものを見つけた。

 それが、これ。トレントの種だ。

 これ自体はアイテムという括りになっているようだが、この種を地面に植えて暫くすれば、そこにDランクの魔物であるトレントが生えてくるという。地脈での調べものをしている別の副思考で詳しく調べてみると、他の植物よりも早く育つという特徴もあるようだ。

 さすがに育ったトレントは魔物図鑑で召喚した魔物と違って、私の配下とはならないようだけど。


 それよりも、これはもしかしたら、あの道への対処に使えるのではないか?


 あの道とは即ち、病魔の森を探索する冒険者たちが切り開き、勇王国の騎士たちが大勢で病魔の森を横断するべく広げた道のことだ。この道は五人の人間が横に並んで歩けるほどに広く、危険な魔物の縄張りも避けて作られている上に、病魔の森の入り口からダンジョンまで一直線に続いている。

 件の勇王国自体は魔王レティシアの手で既に滅んでいるとはいえ、人間の住まう国はそこだけでは無いだろう。それに人間側には魔物やダンジョンを嫌う領域教会という組織もある。

 低ランクの冒険者が冒険に来るくらいなら幾ら来てくれたっていいのだが、国や高ランクの冒険者、或いは領域教会に属する神とやらが、私を危険なダンジョンと見做して、あの道を使い討伐にやってきたりしたら大変だ。また、命の危険に晒されてしまう。

 まあ、道自体は広いとはいえ、森を無理やり切り開いて作られたものだ。いずれは森に浸食され、呑み込まれて消えていくことだろうが、それを待つのはあまりに時間が掛かりすぎる。

 一刻も早くとは言わないが、出来るだけ早く、あの道は消し去ってしまいたいというのが、最近の私の悩みだった。そこで、トレントの種が活きてくる。

 宝図鑑に載っていたということは、DPを支払うことで幾らでも召喚が可能ということだ。つまり、DPさえあれば、数は用意できる。それを配下の魔物に持たせて、あの道に植えていく。そうすることで普通よりも早くあの道は森に呑まれてくれるだろう。

 おまけにトレントは、自身へ近づいてくるものを容赦なく攻撃するそうだ。もしまた人間がそこを通ったとしても、トレントが襲ってくれるかもしれない。まあ、あまり相手が強い場合は、木のふりをして難を逃れることもあるそうだが。そうであっても道を隠す障害物としては、十分だろう。

 さらに、もしも前のように道を切り開く為、木々を切り倒そうとしたら、トレントは己の身を護るためにも暴れまわり、前以上に木々の伐採は難航するはずだ。


 そうと決まれば、早速、トレントの種を召喚してみよう。と、思ったのだが、どうやらトレントの種には他にも種類があるらしい。そこで、まずは種の種類について、調べてみることにした。

 まずは、トレントの種。

 続いて、ミドルトレントの種。

 最後に、エルダートレントの種。

 これらは、魔物図鑑にも記載されている病魔の森に生息するトレント、ミドルトレント、エルダートレントたちの種のようだ。ただ、これらの種は完全に別種という訳では無いらしい。

 宝図鑑に記された説明文によると、どの種を植えても、まず育つのは魔植物族魔樹系の基本種、Dランクの魔物であるトレントなのだという。そこから成長と共に、ミドルトレント、エルダートレントと進化していくらしい。

 ちなみに、ちょっと気になったので魔物図鑑からトレントとなる前の種族を探してみたのだが、見つけることは出来なかった。地脈の情報とも照らし合わせつつ改めて調べてみると、トレントというのは最初、魔物では無い若木として育ち、若木が一定以上に育つことで初めてトレントは魔物として認識されるらしい。実際、若木の内は動くことも無く、ごく普通の木との見分けもつかないようだ。


 と、それはともかく。

 重要なのはトレントが元となる種によって、生える種族が変わるわけでは無いということだ。それは分かった。

 では何故、区別されているのか? そこは宝図鑑の説明文に記されていた。

 種の種類による違いがあるとすれば、それはトレントに育つまでの早さだ。上位のトレントの種になるほど、より育ちが早くなるらしい。

 一番下位の種であるトレントの種だと植えて大体数年で成木のトレントへと成長し、ミドルトレントの種だと植えて大体一年ほどで成木のトレントへと成長する。それがエルダートレントの種になると、大体半年から数か月ほどで成木となるそうだ。

 ちなみに、全てに大体と書かれていたのは、環境によって成長速度に差が出てくるかららしい。その為、木の生育環境によっては通常よりも早く成長する可能性もあるし、その逆に遅々として成長が進まない場合もあるという。まあ、私が植えようとしている場所は、そもそも木々が生い茂っていた森の中だ。周囲の植物は間引かれているし、木にとっての生育環境が悪いということは無いだろう。


 さて、私の目的を考えるならば、種の種類は上位の種であればあるほど良いだろう。種が早く育てば、それだけ早く道は成長したトレントによって消えてくれる。

 しかし、同時に上位の種は召喚で消費するDPも相応に高い。

 トレントの種が一つ、百DPで召喚出来るのに対して、ミドルトレントの種は一つ、千DP。エルダートレントの種に至っては一つで一万DPも消費してしまうのだ。

 ジェットボアとストロングベアという二体の配下を召喚したことで、私の残りDPは十万DPほどしかない。現状、トレントの種なら千個は召喚出来るが、ミドルトレントの種だと百個、エルダートレントの種では十個が召喚出来る限界だ。

 病魔の森の広さを考えると、彼の道を完全に消し去るためには、かなり多くの種が必要になるだろう。恐らく、全部で万は超える種を植える必要がある。たとえ全てをトレントの種で賄おうとしても、今のDPでは全く足りていない。

 とはいえ、必ずしも全ての作業を一気にやってしまう必要は無いだろう。最初は森と外の境界付近にある道の入り口さえ隠せてしまえば、その奥に続く道が発見される可能性は格段に下がるはずだ。そうなれば、あとはDPが貯まる度に植えていけばよい。

 全てはDP次第という訳だ。

 いや。であれば、むしろ少し無理をしてでも、早い段階では消費DPの少ないトレントの種を大量に召喚して、さっさと植えてしまった方が良いかもしれない。


 DPというのは、非常に多くの使い道がある。私はこれから新たな配下の召喚もしたいし、ダンジョンの拡張もしていきたい。その為、幾らあの道を塞ぐのが重要な事だとしても、それだけに使い続けるという訳にはいかないのだ。

 しかし、そうなるとあの道をトレントで埋め尽くすには、どうしても時間が掛かる。きっとこれは数年越しの計画になるだろう。ならば、今からトレントの種を植えるのも、数年後にエルダートレントの種を植えるのも、結果的には同じことだ。どちらにしてもあの道が無くなるのは、結局のところ数年後なのだから。ならば、将来的なことはともかく、今は安く召喚出来るトレントの種を使った方が、お得というものだ。

 それらを踏まえて、とりあえず道の入り口付近を早急に隠すために植えるエルダートレントの種を三つを召喚したら、残りのDPはトレントの種の召喚に回そうか。


 召喚するトレントの種に関しては、大よその当たりがついた。ならば、次はその種を運ぶ配下たちについて考えよう。とはいっても、これについては最初から決めていた。

 この役目は情報収集の為に病魔の森中に放った配下たち、魔鼠情報網を構築しているケーブラットたちに任せようと思っている。

 全体的な作業を考えると、ゴブリンたちに任せた方が効率は良さそうだけど、ゴブリンたちだと今の病魔の森を安全に歩くためには、相応の護衛が必要だ。そうでなければ、弱いゴブリンたちはあっさりと森の魔物にやられてしまう。

 まあ、弱いという点で言えば、ケーブラットたちはゴブリンに輪をかけて弱いけれど、その代わりケーブラットたちはその小さな姿を生かして、隠れながら森の中を歩き回ることが可能だ。

 運搬量に関しても、ケーブラットの大きさだと、一体につき一つしか種を持てないだろうけど、そこは数でカバーできる。病魔の森に散っているケーブラットの数は今やかなりの数になっているハズだから、そこから少しずつ捻出すれば問題無いだろう。


 そんなわけで早速、病魔の森に散っているケーブラットたちの中から、まずは名前を付けたリーダー格のケーブラットの内の三体と、その周辺にいる名前のついていないケーブラットたちをダンジョンへ寄越すよう命令を送る。すると暫くして、ダンジョンへケーブラットたちが集まってきた。

 名前を付けたケーブラットは比較的若い個体から、ゴジュウニ、ゴジュウサン、ゴジュウシの三体を呼んだ。名前を付けたケーブラットは付けていないケーブラットと比べて、少しだけ賢い傾向にある。名前を付けることで、強くなるということは前々から知っていたが、どうやら知能にも少し差が出てくるようだ。その為、この三体には他のケーブラットたちの作業の監督役を務めてもらう。さらに希少なエルダートレントの種の運搬も、この三体に任せる予定だ。

 それから、名前のついていないケーブラットが、八十三体、か。


 全てのケーブラットを集めたわけじゃないから大雑把な予想ではあるけれど、これまで病魔の森に放ってきたケーブラットの数から考えると、予想していた数よりもなんだか少ない気がする。もうすこし集まると思っていたのだが。

 たまたま命令を送ったゴジュウニ、ゴジュウサン、ゴジュウシの周りにいたケーブラットが少なかったのか、それとも過酷な病魔の森での生活で他の魔物に狩られてしまったのか。

 ケーブラットは身体が小さく、他の魔物に比べれば森の中で隠れやすいとは言っても、ずっと病魔の森で生活していれば、偶然見つかって狩られるという可能性だって無くは無い。

 ちょっと気になるけれど、今は考えても仕方が無いだろう。とりあえず、また折を見てケーブラットの数は増やしておくということで、今はこの数で問題無い。


 そんなことを考えつつも、私は次に暗闇の中で浮かぶダンジョンコアの操作項目にあるメニューの宝図鑑から宝召喚を選ぶ。

 そうして、エルダートレントの種を三つと、トレントの種を八十三体分召喚して、『伝心』で集まったケーブラットたちに渡していく。

 DP的にはまだ余裕があるけれど、最初はこんなものだろう。第一陣が作戦を完了して無事に帰還したら、次の第二陣ではもう少し数を増やして送ることにする。


 全員にトレントの種が行きわたったことを確認すると、ここに集まった八十六体のケーブラットたちへ、『伝心』を使い、簡単に作戦を説明した。勿論、監督役を務める名前付きのケーブラットたちには、別途の細かな指示も出しておく。

 そうして私は、ケーブラットたちの身体には少し大きな種を頑張って背負い、ダンジョンを出ていくケーブラットたちの群れを送り出した。


 さて、思い付きの作戦だけど、果たしてうまく行くだろうか?




 トレントの種

 魔植物族魔樹系の基本種であるDランクの魔物トレントが実らせる種。成木となったトレントが自らの魔力を少しずつ貯め込むことで実る為、歳を経て魔力が高まったトレントほどより多くの種を実らせる。三十日程で種を実らせることができ、土に植えられた種は大体数年で成木であるトレントへと成長するが、生育環境によっては掛かる期間も前後していく。トレントの魔力を凝縮させたこの種は、強い魔力を宿しているため、魔力に関係した薬の素材として重宝されている。



 ミドルトレントの種

 魔植物族魔樹系の上位種であるCランクの魔物ミドルトレントが実らせる種。ミドルトレントが自らの魔力を少しずつ貯め込むことで実る為、歳を経て魔力が高まったミドルトレントほどより多くの種を実らせる。六十日程で種を実らせることができ、土に植えられた種は大体一年で成木であるトレントへと成長するが、生育環境によっては掛かる期間も前後していく。ミドルトレントの魔力を凝縮させたこの種は、トレントの種よりもさらに強い魔力を宿す為、魔力に関係した薬の素材として大変重宝されている。



 エルダートレントの種

 魔植物族魔樹系の高位種であるBランクの魔物エルダートレントが時折、実らせる種。エルダートレントは自身の強力な魔力を凝縮することで、自由に種を実らせることができ、土に植えられた種は大体数か月から半年程で成木であるトレントへと成長する。しかし、生育環境によっては掛かる期間も前後していく。エルダートレントの魔力を凝縮させたこの種は、トレントの種やミドルトレントの種よりもさらに強い魔力を宿す為、魔力に関係した薬の希少素材として珍重されている。








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