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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第一章 迷宮転生の章

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12/204

12.王国の終焉

あらすじ


男は召喚した魔物の生態を観察することで、魔物が進化する事を知った。

さらに魔物の観察を進めると、進化した魔物ケーブラットは、驚異的な繁殖力でどんどんその数を増やしていく。

男が最初に召喚した二体へ気まぐれに名前を与えてみると、なんとその名はステータスに反映された。

さらに時間は経過していき、魔物はまさにねずみ算式にその数を増やしていく。

男はその増え方に若干の恐怖を覚えていた。

 さて、私には毎日の日課がある。

 毎日とは言っても日付など知りようもないので、DP時間の経過を指標とした毎日だが。

 そのため、DPの増えるタイミングで日課のリセットが掛かる。

『地脈親和性』の時の特訓のおかげで私はDPが増える瞬間が何となく分かるから、それを感じたらステータスでDPの増加を確認して日課を始めるのだ。あの時は絶望に思えたこのスキルだが、今では意外と使っていたりもする。まあ、本来の使い方とは違う気もするけど。


 まず最初は『空想空間』を使い、白い部屋にやってくる。そしてその中で適当な運動をする。運動の目的は勿論体造りではない。そもそもこの身体も想像だ。

 目的は人間だった頃の記憶を再確認することと気分転換である。

 日課ということにも意味がある。サイクルを意図的に作ることで精神の安定を図っているのだ。

 運動の種類は気分によって色々である。走り回ったり、ボール投げたり蹴ったり、縄跳びをしたり。鍛えているわけではないから、種類などは気にせず気分次第でその時思い付いたことをしている。

 あと、過去の記憶を遡るため、記憶の中にある場所を再現してみたりもする。近所の公園だったり、街中だったり、家の中だったりと、こちらもやはり気分次第だ。

 どれだけ体を動かしても疲れたりはしないので、止め時には注意を払っている。

 一度時計を想像してみたのだが、私が意識していないと止まってしまうし、針の進む速度も私の感覚頼りである為、意味がないという結論に達した。


 そうして思いつくままに身体を動かした後は、神への感謝の時間だ。

 私の知識から祭壇を想像し、いつか会った神の姿を出来るだけ再現した石像をその中心に置く。ただ、あの神の姿は元々曖昧で、いつも出来上がるのは人の形をした何かだ。想像出来ない部分はとてもちゃちな作りになるらしく、その辺りは妥協している。信仰に大切なのは形よりも心のあり方だ。そも心以外は全て空想なのだから、それぐらいしか尽くせるものが無いともいう。

 そうして神に感謝を捧げた後は、『空想空間』を切って元の暗闇の中へと戻る。


 次に行うのは、最近日課へ再び追加した魔力感知と気配察知の特訓だ。

 ちなみに『空想空間』の中でしないのは、それらを想像できないからだ。魔力を知らなければ魔力を空想できないし、気配を知らなければ気配を空想できない。スキル『空想空間』は知っていることの再確認には有用だが、特訓には向かない。

 ではどうするのかというと、頼りになるのはキングとクイーンとの絆だ。ダンジョンマップも活用してみたが、他のラット達はどうやっても知覚できないようなので、今はこれだけに集中している。

 私からキングとクイーンへ流れる力、キングとクイーンの存在を意識して、私との物理的な距離を探る。キングとクイーンとの絆はか細く、あまり情報は伝わってこないが、それでも自分以外の存在を認識できるというのはなかなかに面白く、この特訓は娯楽の側面もあった。

 闇の中でただ一人存在し続けるというのは、何かと不便を感じるらしい。それを思う度に私は、自分がどうしようもなく人間であるという自覚を持つ。ダンジョンコアなる未知の種族に生まれ変わっても、記憶を保持している以上は最初に人として生まれた事と、その後の人生はやはり私の中で多大な意味を持つようだ。三つ子の魂百までという奴だろうか。百どころか死んでるんだがな。

 ただそれが私の望んだ結果である。過去の私と今の私が繋がり続けること。消えないこと。私が私であること。どんな形になってもそうあり続けること。私の願いは叶っている。叶え方に多少の不便を感じたとしても、そこに後悔などあるはずがない。あってはならない。

 そこに不満を持つのは、あまりにも我が儘が過ぎる。

 ただ、そろそろもう少し広い世界を知覚したいなと、思ったりするくらいは大目に見てほしい。

 ままならないものである。

 さて、大体これで日課は終了。

 あとは、ステータスを見たり、ダンジョンマップを確認したりして1日、もとい1DP時間が過ぎていくのを待つ。


 そんな毎日? を続けて、また20DP時間が経過した。魔物の召喚より通算140DP時間。

『繁殖』の結果が出る時である。

 今回の個体増加数は……もはや、数えるのは諦めた。数える時間はあるが、これだけ同じ名前が延々と続いていると、印でもつけないと何処まで数えたか分からなくなるのだ。

 ただ、少なくとも前回よりさらに増えていることだけは分かる。

 そう、もはやダンジョンマップの中は、黄色い点で溢れかえっていて、部屋全体が黄色く塗り潰されているかのようだ。

 これでもまだ、さらに増え続けるというのだろうか?

 これが本能というやつなのだろうか?

 ラット達の思考は理解できない。

 それから3DP時間程が経過した頃、異変が起こった。


 最初に気づいたのはDPのことだった。

 先ほどと比べて明らかに増えているのだ。


 DP:2129


 前回確認したときは2122DPだった。それが

 次に確認したら7DPも増加していたのだ。

 DPの増加は一度に1DPずつ。それを前提とするならば、前回から7DP時間も過ぎたという事になる。日課を続けることによって生まれた微かな時間に対する感覚からして、そんなに経っているとは思えない。

 どこかでぼーっとし過ぎた可能性もあるには……あるのか?

 などと、その時はもやもやとした思いだけを残して終わったかに思えたのだが。

 次に確認したときも、


 DP:2138


 明らかに増えていた。

 こうなると何か他に原因があるのではないかと思えてくる。

 いったい何が起こっているのか。

 そして、さらに1DPが過ぎた頃、事態はある文字の出現と共に急変した。


 〈ダンジョン内でスタンピートが発生しました〉


 スタンピート?

 確か元の意味は家畜や人の集団暴走に対する言葉だったと思うが、小説では度々、魔物の大量発生や大氾濫を示す言葉として使われる。

 この場合、後者の意味であろう。

 それがダンジョン内で起こった、と。

 ダンジョン内の魔物といえば、ケーブラットやベビーラットのラット達。

 え、あの量が暴走?

 出口のない空洞の中で?

 それは、不味くないか?

 急いでダンジョンマップを開いてみる。

 黄点で埋め尽くされていたマップは現在、黄色と、赤のまだら色に変化していた。

 赤色は見たこと無いが、白が自分、青が味方で黄が中立だとすれば、残る赤は敵、だろうか。

 絆を感じるので味方の二匹はまだ生き残っているとは思うが、味方を示す青点は黄と赤に塗り潰されて見つからない。

 ステータスからキングとクイーンの状態を調べてみよう。



 名前:キング

 種族:ケーブラット ランク:F

 年齢:0

 カルマ:+2

 LV:5/10

 スキル:『早熟』『繁殖LV7』『夜目LV5』『統治LV3』

 称号:【――――の眷属】【鼠の王】【同族殺し】【血族殺し】


 名前:クイーン

 種族:ケーブラット ランク:F

 年齢:0

 カルマ:+2

 LV:4/10

 スキル:『早熟』『繁殖LV7』『夜目LV5』『統治LV3』

 称号:【――――の眷属】【鼠の后】【同族殺し】【血族殺し】



 カルマとレベルが上がっている。それに、物騒な称号が追加されている。

 そりゃそうか。ここにいるのは全て同族で、この二匹の血族であり家族であり子孫たちだ。

 こいつらがどこまで考えて生きているのかは分からないが、今のダンジョン内は私の思っている以上に地獄なのかもしれない。

 マップに戻ってみると、赤点と黄点の数が先程と比べて明らかに減っていた。その数が激戦の様相を伝えてくる。

 私には文字通り手も足も出せない。

 ただ、それを見続けることしか出来ないのだ。

 もやもやとした思いを持ったまま、私は点の数が減っていくのを、魔物たちが殺し合う様を見続けた。目は無くとも、その光景から目を逸らすことなく。


 しっかりと。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ほぼ主人公の独白だけなのにおもしろいです! 繁殖させたネズミを親の眷属に殺させて稼ぐのは鬼畜ながらも新鮮 いかんせん出口がまだないという大問題が [気になる点] すでに5年経過してる……
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