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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第三章 勇王国進軍の章

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エピローグ.領域教会

ストック終了です



あらすじ


引き続き地脈を探り、私は敵となる可能性のある、高位魔物の情報を探っていく。

病魔の森内から得られた情報は知っている情報と殆ど同じ。

ただし、悪魔ノウェム。という謎の名前を除いて。

次に病魔の森の外について探っていくと、魔王レティシアの支配領域の他に、二つの高位魔物の縄張りを探り当てた。

Bランク特殊個体魔鳥レミストネータと、Aランクミクスギガントゴーレム。

更新された魔物図鑑に記された内容は、脅威と呼ぶにふさわしいもの。

最後に私以外のダンジョンの情報を探ると、近場には一つだけ、私より高位のダンジョンがあることが分かった。


まだまだ調べることは多くある。

しかし、今後の方向性くらいは掴めてきた。

これから先も厳しい状況は続くだろうが、一先ず今はもう少し休むことから始めよう。


この束の間の平穏をしっかりと噛みしめるために。



 人間たちの住まう領域、その最深部に位置する最も古き都ノムカピテール。

 そこはどの国にも属さぬ、領域教会の統治する独立都市だ。

 住まう住人たちは皆、博愛を旨とする領域教会の総主神、女神リクシルの敬虔なる信徒たちであり、白を基調とした荘厳なる雰囲気が漂う美しい街並みは、その景観から白の都とも呼ばれている。

 その中心部に建つ一際古く、神聖さを感じさせる建物こそが領域教会の総本部たる大教会だ。



 大教会、教皇の執務室。

 そこでは現在、質素な作りでありながら神聖な雰囲気の漂う白衣を纏った初老の男が、教務机に向かい、大量の書類を処理していた。

 その表情は穏やかであり、伸ばした白い髭からは何処か好々爺という印象を周囲に与えるが、その瞳には何物にも侵されぬ強い意志の光を宿している。

 そんな優しさの中に何処か威厳を感じさせる男だった。


 そこに一人の神官が走り込んでくる。


「た、大変です。教皇様っ!」

「落ち着きなさい、メルス神官。そのように急いで、どうしたというのですか」


 息を切らして現れた若き補佐役の青年に向かって、教務室に向かう男、教皇は穏やかな声で語り掛ける。その声を受けたメルス神官は何度か深呼吸をして呼吸を整えた後、それでもまだ焦燥した表情を今一度、教皇へと向けた。


「勇王国が、魔王の手に落ちました」

「なにっ!?」


 メルス神官からの報告を聞いた教皇は、大きな音を立てて椅子から立ち上がると、叫び声にも似た大声を上げる。顔に浮かぶ表情もまた、いつもの穏やかな気性の教皇からは想像も出来ぬ程の形相だった。普段の教皇を知る者たちがその姿を見たら、きっとその違いに驚くことだろう。

 だが、伝えられた内容を知れば、誰もが納得するはずである。


「何処の魔王だっ?」

「まだ確かなことは分かりませんが、恐らく黄昏の魔王かと」

「エルロンドの亡霊か」


 勇王国は魔の領域と接する辺境にして、魔物共との争いが絶えぬ最前線の一つ。その中でも特に、要所と呼ばれる国だ。あそこは人間たちが魔の領域に群れる凶悪な魔物共に怯えることなく平穏に暮らす為の防壁の役割を果たしていた。

 そこが魔王の手に落ちたということは、魔の領域という脅威が一歩、人間の領域へと浸食してきたという事を意味している。

 それは人間たちにとって、確かな脅威だ。


 しかし、領域教会の上層部は、この事がそれ以上の意味を持つと知っている。

 元は大魔王を討ち取った伝説の勇者であり、今は勇神として領域教会の信仰する神の一柱として祀り上げられた異世界から召喚された男、桂木勇人。勇王国には、とある理由から彼が生前使っていた聖剣の一振りが密かに貸し与えられていたのだ。

 それは領域教会が聖女神リクシルから授けられた聖剣の一振りにして、人間たちが魔王という強大な邪に立ち向かう為の絶対的な力。

 勿論だが、この一振りだけが領域教会の誇る切り札という訳では無い。まだ領域教会には幾本かの聖剣が保管されている。

 だが、そうであっても、聖剣は一つとして失うことは許されない代物だ。

 人間の切り札としても、総主神に授けられた武器としても。


「これは先の神託にあった見習い勇者の死と関係があるのでしょうか?」


「…………かもしれん。勇王国から見習い勇者の死因についての報告は届いていたか?」


「いえ。結局、不明のままです。もしや、見習い勇者は彼の魔王を討とうとして、返り討ちにあったのでは」


「ありうることではあるな。功に焦り、無謀へ挑むのは若者の常だ。勇神に後継候補として認められたとはいえ、その力は未だ見習い勇者の域を出ておらぬ。神々の祝福を得たとしても、魔王に挑むのは時期尚早だったであろう」


「…………」


「それで、現地はどのような状況なのだ?」




 メルス神官から、より詳しい勇王国の惨状を聞いた教皇はその場で目を瞑り、沈黙した。

 教皇の執務室には、メルス神官のまだ少し荒い息の音だけが響く。

 暫くその場で目を瞑っていた教皇は、やがて静かに目を開くとメルス神官へ向かって、厳かな声を発する。


「メルス神官、聖騎士団団長を呼んでくれ。すぐに精鋭を選抜して、勇王国へ先遣隊を派遣する。最悪でも、聖剣だけは回収しなければ」


 そうして教皇は、呼ばれてやってきた聖騎士団団長と共に聖騎士団内から先遣隊を選抜すると、迅速に彼らを勇王国へと向かわせた。



 それから数週間後、先遣隊から届いた知らせを確認した教皇は、その内容を前にして眉間に皺を寄せる。

 先遣隊として派遣された聖騎士団精鋭による決死の捜索にも関わらず、聖剣は何処からも発見されなかったのだ。


 魔物たちが聖剣に興味を持つということは考え難い。あれは人間が手にして、初めて意味を成す物だ。だが、勇王国を襲った魔王は、元人間という話。絶対にあり得ぬとは言えないだろう。


 だが、その程度で諦めるわけにはいかない。

 代々の教皇のみが聖女神リクシルから授かる叡智により、教皇は他の人間たちよりも多くのことを知らされている。だからこそ、人間たちの誰よりも、領域教会の誰よりも、或いは聖女神リクシルを除いた神々の誰よりも、その意味を理解している。


 聖剣に埋め込まれた神器の欠片。

 アレはもはや、人間にとって替えの利かない代物だ。

 この世界で人間という種族が生き残るために、アレを失う訳にはいかない。


 教皇は正式に領域教会の上層部一同を集めると、本格的な捜索隊の発足とともに、新たに聖騎士団から多くの者たちを選抜し、勇王国へ送ることを決定した。

 その絶対目的は、聖剣の捜索と奪還。

 最初の目的地は、今は亡き勇王国の全域。

 だが、教皇の本命は勇王国を滅ぼしたとされる魔王の住まう地だった。

 なんだかんだと考えていても、教皇は元人間の魔王を訝しんでいたのだ。



 現地にて、捜索隊が広げた地図の端の端には、辛うじてある森が記されていた。


 三百年ほど前から、病魔の森と名付けられた禁忌の森。

 勇王国が領土の一部とし、その内外の監視を続ける危険な森。


 だが、同じく三百年前の大魔王が残した呪いによって、その地は未だ人間たちが立ち入れぬ地とされている。

 その呪いが解けるのは、まだ先の話だ。


 呪いが解けたという報告も未だ上がってきてはいない。


 それ故に、その森が捜索隊の捜索範囲に入ることは無かった。






これにて、第三章終了

皆さま、良いお年を!


ら、来年はもっと早く続き書けるように……頑張ります!

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[一言] 更新楽しみに待ってます。
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