44話 キングモグーラのお礼
「え?」
礼? 礼とかあるの?
「別にたまたま持ってたから上げただけだし……」
「何やて!? 要らん言うんか!?」
キングモグーラは驚いた顔をしている。
「えーだってお礼が欲しくて親切にする訳じゃないよね? ね? 皆」
NPCだからってそういう対応をするのはねぇ?
「そ……そうね。そう……かもしれないわね」
「う、うーん。うん。だ、だね。あたし達は優しいから……」
「NPCとはいえそういう風に思えるのは素敵ですね! 流石ハルさん!」
「だってさ」
ナツキとアキは苦々しい顔をしている気がするけど大丈夫かな。
「ホンマか……お前らええ奴やな! でも、そんな奴らやから手助けしてやりたいんや。お前さんらに必要なものは……」
彼はそう言って後ろを向く。
その際にズズウンと大きな地響きがしたのが怖かった。
「お、あったあった。これやこれ」
彼はそう言って差し出して来た物があった。それは、
『キングモグーラから覚醒の護石(仮)を受け取った』
「ん? 覚醒の護石? しかも(仮)って?」
「なんや。覚醒も知らんのかいな」
「うん。教えて」
「覚醒っちゅうんわな。その生き物が持っとる秘められた力を最大限まで引き出すことが出来るんや」
「何それ!」
「そうなったらもうすごいで、その生き物によって力の秘められ具合は変わってくるんやけど、それはもうどえらいくらい事が出来るんや」
「アバウトなんだね……」
どえらいこと……。
「ただ、そんな力も簡単に使える訳やない。技の極限に達し、覚悟を示さんといかん」
「極限? 覚悟……?」
極限はスキルのことかな……? レベルの可能性もあるかな? それともステータス? でもスキルかな? じゃないと技なんて言わないだろうし。
「せや、その覚悟がないと、ただのお守りにしかならん」
「どうやって覚悟を示せばいいの?」
「それはそいつ次第や。ワイからはそれくらいしか言えんわ」
「どうなんだろうね?」
「うーん。分かんないわ。覚悟……覚悟……」
「説明欄とかを見てるけど、何も分からないのと一緒かもー」
「うーん。こんなのは見たことないですね……」
皆も知らないらしい。まぁ、ずっと一緒にいるから当然かもしれない。
「ああ、せやせや。覚醒っていっても、無理やり力を引き出しとるだけやからな。長時間は出来ん。どれだけ長くても5分が限界や。それだけは気を付けなはれ」
「うん! ありがとう! よくわからないけどこれでトカゲサルを倒せるかも!」
「トカゲサル? 今は地上にそないなモンスターもおんのかいな」
「名前はマウンテンドラゴンコングよ。私たちの因縁の敵でもあるわ」
ナツキがそう言うとモグーラは驚いた顔をする。
「なんや! あのマウンテンドラゴンコングと戦っとんのかいな!」
「そうだよー。だからそれ用のレアアイテム頂戴ー」
「欲深いトリやな……。でもまぁ、ええで。あいつと戦っとんのやろ。やったらこれも持って行きい」
「これは何でしょうか?」
『ハルは土竜王の贈り物を入手しました』
「おお! まさか欲しかったあの素材!」
「これでやっつけられるわね!」
「言ってみるもんだねー」
「これでいけそうですね!」
この『土竜王の贈り物』は破竜の護石を作るための必要な道具だったはず。まさかこんな所でゲット出来るなんて。
「お、良かった良かった。ワイも得意の武器が残っとったらなー。どこに行ったか忘れてもうたわ。ワイの代わりに頑張るんやで」
「うん! ありがとう!」
「そうね、これならもうトカゲサルに挑めるかも」
「だねー。いい加減倒したいし、急いでいこうー!」
「ほな地上に送ったるでちょっとここにはいりい」
キングモグーラはそう言ってどこからともなく、コンテナ位はありそうな建物の入り口を開けてくる。
「え? 地上に戻れるの?」
「? そうやで」
「じゃあ地上に戻ればいいんじゃない?」
「ダメや……ワイはそれでもここに王国を作るのは諦められんのや」
そう話す彼は何か決意に燃えている様で、手助けをして上げたくなる。
「うーん。何か砂が落ちてこなくなるものとかあればいいんだけどね? 何か無かったっけ?」
「そうねぇ……。『粘着質の粘土』とかどうかしら?」
「ナツキー? そこまでするのー?」
「い、いいんじゃないですか。キングモグーラさんもこの国の為を思ってくれている事ですし……」
「うーん。まぁ仕方ないかー」
「それじゃあちょっと取りに行ってこう!」
「ええのんか……? マウンテンドラゴンコングを倒すつもりなんやろ……?」
「困ってるならこれくらいするよ!」
「そうか……。ほな中に入るんや。地上に送ったる。またここに来たかったら『マーカー』を出しとくさかい。そこに来ればワイが出て来たる」
「本当に? ありがとう」
私たちはコンテナの様な似り物に乗りこんだ。
「礼を言うんはこっちやさかい。さぁ、行くでー!」
キングモグーラが蓋を閉めると私の体は急激に上から押さえるけられる何かを感じた。
「うぉぉぉ、か、体が重い……」
そんな重圧に耐えること10秒。何事も無かったかのように外に出た。蓋が開かれるとそこには眩しい光が差し込んで来る。
まぶたを閉じていても光が入り込んでくるのだ。外には行きたいので、ゆっくりと歩いて前に進む。
「地上に到着したでー! って、もう歩けるんかいな。すごいな」
「う、うん。ありがとう」
「気にせんでええ。何か相談したいことがあったら気軽に来るとええ。食いもん持ってきてくれたらもっと歓迎するさかい」
「食べ物ー? どんなのがいいの?」
「せやなー。食べ応えのあるもんなら何でもええわ!」
「分かったー!」
モグラって何でも食べるのかな。知らなかった。(※食べません)
「それじゃあまたねー!」
「今度は良い物を持ってきてあげるから!」
「ハルの優しさに感謝してねー」
「お、お疲れ様です」
「ほななー!」
キングモグーラは暫く手を振った後に、砂の中に潜っていった。
「よーし! それじゃあ行くよ!」
「「「おー!!!」」」
私たちは、『粘着質な粘土』をゲットするために最初の沼地へと向かう。




