16話 ペリカン
私たちが街に近づくに連れて、色んなプレイヤーとすれ違う。
「すごーい。こんなに一杯いるんだね」
「そうね。伊達に流行ってるゲームじゃないわよ」
私は多くのプレイヤーの間をすり抜ける。
モグラ、ネコ、イヌ、ニワトリ、クマ、ゾウ、ライオン、タカ、スズメ、カラス。色んな動物達がいた。
トリか……。トリはいいな。空を飛ぶ時は速そうで楽しいに決まってる。
私はそんな人達の間を駆け抜け、少し他の人を見ていく。
「あんまり私たちみたいに乗っている人達っていないね」
「そうねぇ。どうしてかしら。一番足の速い仲間に乗っていくのが一番だと思うんだけど」
「ね」
私達は疑問に思いながら街の中に入った。
「お~! すご~い!」
「本当。これは……山がまるまる一個削られて作られた街なのかしら?」
「そうだとしたらすごいね。どうやって作ったんだろう」
「知りたい?」
「うわ!」
「ん?」
そう言って私たちの前に現れた。いや、私の上に着地したのはペリカンだった。ただ、テレビとかで見るような大きな体ではない。ちょっと小さめの、アヒルの様なサイズ感だった。
「ペリカン?」
「あの、誰ですか?」
「え? ナツキ? いつもの強気な発言は何処にいったの?」
「今はいいでしょ! それで、どちら様ですか?」
「あたし? あたしはアキ。なんだか丁度乗り心地良さそうな感じだったからつい」
そう言って彼女は羽を休めてしまっている。完全に私の上に居座るつもりらしい。
「それで、どうやって作られたの?」
「ハル!? 貴方誰かが上に乗ってるのに気にしないの!?」
「だって今更だし……。頭の上にもうナツキが乗ってるし」
「そ、そう言われるとそうかもしれないけど……」
私とナツキが話していると、アキがマイペースに話してくる。
「この街はねー。大昔にキングモグーラっていうキャラがくり抜いて作った場所らしいよ」
「キング」
「モグーラ?」
中々にすごい名前だ。
「そうだよー。昔にこの世界を守っていたっていうかなり強いモグラだったんだって」
「すごいね。そういうのって調べたの?」
「ううん。あそこにあるキングモグーラの像に書いてあったー」
アキはそう言って羽を広げてとある方向を指す。
そこには巨大な物凄く大きなモグラのぬいぐ……銅像が立っていた。
どう見てもデフォルメされたモグラにしか見えない。目はぱっちりしていて可愛らしいつぶらな瞳だし、手足も実物よりも長く大きい。そんな銅像が10m位の大きさで立っているのだ。とても可愛らしい。
「すご。あんなサイズのモグラがいるの?」
「どうだろうねー。昔姿を消してから一回も出てきてないっていう話だしー。誇張されてるかもねー」
「貴方いつまでハルの上に乗ってるの? そこから見られると食べられそうで怖いんだけど」
ナツキはやはり食べられるのが怖いらしい。エリンギは食べられる側だから仕方ないだろう。
「んー? あたしはペリカンだよー? ペリカンって肉食だからキノコは食べないよー」
「なんだ……。良かった」
「じゃあ安心だね」
「でも結構獰猛だから、鳩とかも食べるんだー。うり坊位ならいけるかもねー」
「……」
「……」
え? え!?
「わ、私を食べるの……?」
そんな。確かに私は美味しいと思う。イノシシだし、ボタン鍋とかって言うのもがあるくらいだし。でも、それでもまだ食べるのは早いと思うのだ。せめて牙が育ち切ってからにして欲しい。
「(じー)」
「胞子シールド」
「いて」
ゴンと音がして、私を見つめていたペリカンがナツキに叩かれた。
「もう、よしなさい。ハルが怖がるでしょう?」
「ごめんねー。ちょっとした冗談のつもりだったんだー」
あはは、と彼女は軽く笑って言う。
「いいよー。今までナツキを咥えてた罰かもしれない」
「え? このゲームってPKなしじゃなかったっけー?」
「ちょっと動かすだけだったら出来るのよ。それで、貴方、どうしてハルの上に乗ってきたのかしら?」
「んー? 誰か乗せてってくれる人いないかなーって思って、ここの入り口とかを見てたんだよねー。それで、キノコ乗っけてるうり坊が居たから、もしかして私も乗せてくれるかもーって思ってねー」
「そんな理由だったの……」
「ペリカンなら空を自由に飛べるんじゃない? 正直羨ましいんだけど」
イノシシは大好きだ、楽しいと思ってやっている。でも空が飛べたら、そう思わないこともないのだ。
「それがねー。飛ぶのって大変なんだー。必死に羽を動かさないといけないし、ステータスもしっかりとAGIに振らないといけないのー。だから私みたいなぐうたらだと、あんまり空飛ぶメリットってないのよねー」
「なら何でペリカンにしたの?」
「それはー風で結構楽に飛べると思ってー」
「そんな理由だったのね……」
「羽動かすのも楽しそうだけど……」
どんな感じなんだろうか。ちょっとイノシシに満足したらサブ垢とかを作ってやってみてもいいかもしれない。
「それが普通に走る位に辛くってー。あたしインドア派だからー」
「そ、そう」
「まぁ、そういう人がいてもいいんじゃない?」
「だから、あたしも一緒に連れてってくれないー?」
「「え?」」
私とナツキの声が重なった。
「ど、どういうこと?」
「んーとね。あたしってちょっとステ振りとかスキルとか間違えちゃっててさ、飛ぶのがすっごく大変になってるのー」
「うん」
「それでーなんて言うかー移動が面倒だから乗っけてー」
ぶっちゃけたなおい。でも嫌いじゃない。
「そんなすぐに……」
「いいんじゃない?」
「ハル!?」
「だって、仲間になりたいんでしょ? 別に今断る理由ってないんじゃない? 私たちも仲間が欲しいんだし」
「それは……そうだけど」
「でしょ? それにトリさんならきっと目がいいはず。探索系統なら任せられると思うんだ!」
「それはそうかも……」
良かった。ナツキは納得してくれているようだ。
これでトカゲサルを倒す仲間が見つかった。そう思っていたんだけど……。
「あーごめんねー。あたし、探知系統はからっきしなんだー」
「そうなの?」
「うんー。楽に出来るようにと思ってねー」
「そうなんだ」
「でも、スキルとかを振った力は結構自信があるから、一回一緒に冒険に出てみないー?」
「勿論!」
「分かったわ」
「ありがとー。よろしくねー」
こうして、私たちはこの近くのマップに行くことになった。




