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1話 キャラクリエイト

『ワールド・クリーチャー・オンラインを始めますか?』


「はいっと」


 私は人工声、アナウンスに従って<はい>を選択肢する。


ぎゅうううううううん!!!


 視界が引き延ばされ、気が付くと私は真っ白な部屋に立っていた。


「ここでキャラメイクをするのかな?」


 私は高校に入学した記念に今一番面白いと噂の『ワールド・クリーチャー・オンライン』を始めていた。


『ワールド・クリーチャー・オンライン』通称WCOは文字通り全ての生き物になれると言うことで注目を集めているMMORPGのVRゲームだ。


『キャラクリエイトを始めますか?』

「<はい>っと」


 少し待つと、目の前にウインドウが浮かび上がり、先ほどのメッセージが出てくる。それの下にあるはいを押して、次に進む。


『まずは種族を選択してください』

「うわ……こんなに?」


 ざっと見ただけでも100以上はある。それも、大体の種類というだけで、犬をとっても柴犬やゴールデンレトリーバー、セントバーナード等多種多様だ。勿論人間もあって、現実の自分の姿を取ることもできる。ただし、ネットリテラシーの観点からそうする人はほとんどおらず、大抵は自分好みの顔に変える人がほとんどだった。


 私は、折角あるんだからと思って色々な物を見ていく。


「鳥か……いいなぁ鳥、空も自由に飛べるんだよね。サメもかっこいいなぁ。海から出てきてざばぁ! ってぱっくりやるのってかっこよさしかないよね。え? キノコ? キノコってあの鍋に入れると美味しいあの?」


 私はこれも入るの? と思ってみると、確かにそこにはキノコがあった。説明文にもキノコと書いてある。


「はぇ~。こんな種族とかもあるんだ。すごいなぁ」


 面白いとは思うけど、自分でなろうとは思わなかった。


 私は、自分がなりたい物を入れる。


「イノシシ……と。これだ!」


 そう。私はイノシシになりたかったのだ。小さいころ読んでいた小説でキツネの親分に付き従うイノシシ2匹の話。あれが好きでイノシシを調べている間に本物のイノシシまで好きになってしまったのだ。


 そして、こんなゲームがあるのならとやるしかない。自分もイノシシになって見たいと思うのは当然だろう。……当然だよね?


「種族はイノシシ……と。くふふ。これで私も憧れのイノシシに……」


 牙をつけて突進するなんて素晴らしい。一度やって見たかったのだ。


 それからはゲームでの大体の説明を聞かされながら、選択肢を選んでいく。


『魔法は使ってみたいですか?』

「魔法? イノシシがそんなの使う訳ないよね。<いいえ>」

『走り回って見たいですか?』

「イノシシが走らなくてどうするっていうのよ。<はい>」

『遠距離攻撃に興味はありますか?』

「イノシシには……いらないよね? <いいえ>」


 そのような質問を次々と答えていき、最後の質問になる。


『それでは最後の質問です。貴方のお名前を聞かせてください』

「あー、名前か……。どうしよう……本名は流石まずいんだっけ……」


 私としては別に下の名前だけとかならいいと思うんだけど、友人たちはそういうのもどこからバレるか分からないからやめておけって言ってくるんだよね。


「でもいっか、下の名前だけの方が呼ばれた時に分かりやすいし。<ハル>と」

『プレイヤーネームは ハル で問題ありませんか?』


 これは最終チェックかな?


「<はい>」


 私がその操作をすると、目の前が引き延ばされ、真っ白な空間が真っ黒に変わっていく。


『ようこそ、ワールド・クリーチャー・オンラインへ。貴方の参加を心より歓迎します』


 アナウンスの声とが終わると、周囲は草原になっていた。


「すごーい! 何これー!」


 周囲は見渡すばかりの草原で、その奥には森が茂っていたり、連なる山々がそびえ立っている。


 草原の草は想像以上に高く、私の目線位の高さだ。思いのほかこのゲームの植物とかは大きく設定されているのかもしれない。


「ふぁ~こういう所の風ってこんなにも気持ちいいのかなぁ」


 私の肌を、いや、毛並みを撫でる風が心地よい。


 今の私はイノシシ、そう、イノシシなのだ。誰がどう見てもイノシシ。4つんばいで立ち、もしも敵が現れればこの鋭い牙で串刺しに……串刺しに?


「あれ? 牙なくね?」


 私は視線を下に落とし、自分の口元から生えているであろう牙を探す。しかし、そんな物はどこにもなく、ただ地面があるだけだった。


「あれ? どうして? 私はイノシシになったはず……」


 自分の体を見れる範囲で見る。体の毛は濃い茶色で……こ……い……。


「薄くない?」


 そう、私の体はすごく薄い気がするのだ。それも、全体的に薄いのではなく、ちょっと濃い茶色の上に、薄い茶色のラインが入った毛が生えている気がする。


 ただし、イノシシはこんな毛の生え方はしない。そうこれではまるで子供の……。


 私は周囲を見回して、川を発見する。そして、私は川辺に行き、自身の姿を確認した。


「こ、これはうり坊じゃん~~~~!!!!!」


 私は、立派なイノシシになれたと思ったのに、とっても可愛らしいイノシシの子供。うり坊になっていた。


「面白かった!」


「続きが気になる、もっと読みたい!」


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