表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼隠し  作者: 七十たん
PR
5/14

鬼隠し 2日目の始まり

「殺してやる・・・!」

その叫び声とともに雄一郎はベッドから起き上がった。

うなされていたようだ。

息があらい。

雄一郎は片手で顔をおさえる。

「夢か・・・・」

確か死ぬ夢って縁起がいいらしいな。

雄一郎はそんなうわさを思い出す。

まぁ実際雄一郎は殺人未遂状態だった。

だから実際殺される夢ではない。

だから別に縁起がいいとはいわない。

まぁそんなことはおいておこう。

雄一郎は汗だくになっていた。

ベッドから降りて立ち上がる。

ふとかけ時計に目がいった。

「8:10・・・」

雄一郎はそうつぶやく。

しばらくして雄一郎の顔にあせりが見え始める。

「えっ!?」

雄一郎はせっせと服を着替えてリュックを背負う。

そしてパンを口にはさんで出かける姿。

これは性別が逆ではないだろうか・・・。

・・・・・まぁいい・・・・。

同じ空の下1−1のクラスでは・・・。

「雄一郎クン・・・間に合うのかな・・・?」

明美が心配そうに雄一郎のことをつぶやいていた。

周りの男子、それを見て下唇を噛む者もいた。

「何でアイツだけこんな島原さんに・・・」

今この時間に雄一郎がいなかっただけで雄一郎は男子の敵となった。

「ヘックシュ!」

雄一郎が走りながらくしゃみをする。

「う〜ん風邪かなぁ・・・それとも誰かが噂してる?」

雄一郎のなんとなくの考えは大体あたっていた。

だが男子だけでなく女子軍までもが雄一郎を敵とみなそうとしていた。

「何で明美はあんなに白烏君のことを・・・」

「もしかしてもうそこまでの関係とか・・・」

女子たちが明美を若干悪者扱いする。

そのとき雄一郎の心の中で何か罪悪感が生まれた。

「ぅぅ・・・何をしたかは知らないけど・・・ごめんなさい・・・」

と独り言で女子たちへ謝罪する。

お互い離れていはいるが考えていることはさほど変わらないようだ。

キーンコーンカーンコーン

鐘の音が授業の始まりを合図する。

「ギリギリッセェーーフ!!」

と雄一郎は叫びながら自分の席へダイブする。

ズサァァァァァ・・・

だが雄一郎のダイブは自分の机に一歩及ばずであった。

「ぅぅ・・・」

雄一郎が悔しそうに顔をうずめる。

この一瞬の出来事になぜかクラスに沈黙があらわれた。

「大丈夫?」

雄一郎へ手を差し伸べたのは明美だった。

少し雄一郎へあきれつつの表情であったが・・・。

「・・・大丈夫・・・届かなかったことへの挫折が・・・」

雄一郎はそういってうつぶせのまま答える。

明美は若干苦笑いして席へ戻った。

雄一郎も周りの視線の後、立ち上がって机へリュックを置く。

そしてほぼそれと同時のくらいに先生が教室の戸をあけやってきた。

「よし!授業始めるぞーー」

雄一郎はほっと一息つく。

実におかしいことではある鬼祭り。

なんと1日目は盛大にやるくせに2日目、3日目はさほど生活に変わりはない。

・・・・鬼隠しを行うということ意外は・・・。

だから今日はさほど盛大ではない。

祭りの屋台もないし、いつものように授業をする。

ただ・・・。

雄一郎は一瞬窓をのぞく。

すると窓の先の運動場には何かがころがっているようだった。

雄一郎は目をこらすがさすがに視力が足りない。

ここで利用するのは明美だ。

「明美・・・運動場にころがってるのって・・・なに?」

すると明美は雄一郎に振り返らずに答えた。

「・・・・・死体」

雄一郎は思わぬ発言に目をまるめる。

「死体・・・?何で・・・?」

「今回の鬼、楓クンがやったんだろうけどね・・・」

雄一郎は息をのむ。

先生がなにやらさまざまなことを話しているが雄一郎の耳にははいっていなかった。

「でも普通生徒は捕まえるんでしょ?」

「うん・・・。もしかすると楓クンは・・・」

明美が言いかけたときに鐘の音が鳴り響いた。

キーンコーンカーンコーン

「あっ!ゴメン。この話は後でね?」

そう明美は言うと号令をかける。

明美はこう見えても室長なのだ。

まぁ明美は興味本位だろうが・・・。

明美は挑戦するということが好きらしい。

雄一郎は話を聞きつつ椅子から立ち上がり礼をした。

キーンコーンカーンコーン

そして・・・鐘の音は全授業の終りを告げる。

次の鐘の音は「鬼隠し」の始まりの合図・・・。

またもや全校生徒は運動場に集められた。

「あっ!おーい」

雄一郎はその声のほうを向く。

どうやら雄一郎に声をかけたようでこちらに近づいてきていた。

こちらに向かってきていたのは2年の紅瑠牙(くるが)夜魅(よみ)先輩だった。

鬼隠しの1日目の終りの際に跳び箱をあけて雄一郎たちを発見した人だ。

全体的にとらえると明美の未来のようでもある。

性格も明美と似て積極的で色々はしゃぐタイプだ。

「やぁ!我が分身と白烏・・・転校生君ではないか!」

夜魅は右手を軽く上げて2人にあいさつをする。

「紅瑠牙先輩・・・だからその転校生君はよしてください・・・」

雄一郎が困ったような顔をする。

すると夜魅は少し立ち止まると突然雄一郎へダイブを計った。

「私はキミみたいなのを困らせたときの表情が見たいのよ〜」

「それは困ります」

だが雄一郎はそんなことお構いなしにパッとよける。

「・・・それはないわ・・・」

夜魅はそういい残して運動場の地面を顔面から滑っていった。

ズサァァァァァァァ・・・

「私も分身呼ばわりはうれしくないですよ!」

明美が珍しく弱々しい反論をする。

夜魅は立ち上がり、パッパッとスカートをはたいた。

「あぁはいはい。分かったわよ」

夜魅はそっぽを向きながら言う。

雄一郎は困ったような顔をしてため息をはいた。

明美も若干苦笑いをする。

「じゃあさ・・・転校生君の弱みがほしい」

気づくと夜魅は雄一郎に背後からもたれかかるような状態にあった。

あまりの速さに明美さえ気づけなかった。

雄一郎が冷や汗を流す。

「あなた・・・人間ですか・・・?」

夜魅はニヤリと笑った。

「どぅ思う?もしかしたら淫乱な怪物だったり?」

夜魅はそう言って雄一郎の首に噛み付こうとしていた。

雄一郎が息をのむ。

明美は完全に動揺していた。

だがその夜魅の頭上へ謎の手が飛び行く。

バシッ!

後ろにいたのは濃い緑のポニーテール。

おそらく夜魅の友達だろう。

「お前また後輩いじって遊んでいるのか・・・」

緑のポニーテールはあきれたような表情で言う。

夜魅が頭をおさえながら雄一郎の体からゆっくりと離れる。

「よび!痛い!」

夜魅がポニーテールを見て怒る。

ポニーテールは若干その言葉を不快に思ったようだ。

「よびではない!与実(よみ)だ。自分と名前が同じだからってそう子供っぽくなるな」

夜魅はぅぅっと言ってしゅんとなった。

与実・・・まじめそうな性格のようだ。

見た目もキッチリしている。

「おい、転校生。大丈夫か」

与実は雄一郎にそう言う。

初対面だからしょうがないが雄一郎に少し不満があらわれる。

「白烏雄一郎です」

少し怒り気味にいったのが与実は分かったらしい。

与実は夜魅のほうを向いた。

夜魅はビクッとなってそっぽを向く。

「夜魅・・・人の名前くらいちゃんと覚えろよ?」

「ぅん・・・」

夜魅は小さい声で自信なさ気に言った。

与実はため息をつく。

そして雄一郎を見て言った。

「悪いな、『姉』が迷惑をかけた・・・」

与実はペコリとおじぎをする。

それを聞いて雄一郎と明美は固まった。

2人とも考えの整理がつかなくなっているのだ。

それもそのはず・・・。

なんと与実と夜魅は双子なのだ。

確かに細かな部分では似ているかもしれない。

だが性格が正反対なのだ。

双子・・・恐ろしい。

これこそ神のいたずらであろう・・・?

雄一郎が手をプルプルさせて2人を指差す。

「おふたかたは双子・・・なのですか?」

夜魅は軽くうなづいた。

与実は深くうなづく。

本当に正反対だな・・・。

「紅瑠牙さーーん!」

後ろから大声で誰かが呼んだ。

すると与実と夜魅は同時に後ろを振り返る。

そして声をそろえて聞く。

「どっちの紅瑠牙だ!?」

突然の言葉に驚いて返答できなくなる。

それに夜魅と与実はどちらも「よみ」なのだ。

これはもう外見で言うしかなかろう・・・。

「ええと・・・緑の髪の与実さんです・・・」

その生徒は若干困ったように言う。

与実は軽くうなづくと夜魅に後輩をいじるなと忠告してこの場をあとにした。

「あれ?与実さんって何か委員やってました?」

雄一郎が不意に夜魅にたずねる。

すると夜魅はおもしろそうに笑う。

「まぁ・・・指令台見てみ?」

雄一郎は少し不安気になりながらも指令台を見る。

すると指令台に乗っていたのは与実だった。

「与実は生徒会長なのよ♪」

夜魅が楽しそうに雄一郎に言う。

雄一郎はなるほど、というように何度もうなづいた。

そして・・・与実が突然わざとらしくせきをする、

その音がマイクを伝わり全校生徒の耳へ伝わった。

ざわめきが止み、生徒の視線は与実へ向けられた。

これは与実の策略だ。

そう誰もが理解している。

だが実際そうではないのかもしれない。

もしかするとただ単に与実が普通にせきをしただけかもしれない。

正解は前者だ。

与実は夜魅と違ってマジメである。

そのため生徒を従わせる方法など既に心得ているといったところか・・・。

「鬼隠し2日目、皆気合を入れて鬼から逃げてほしい

一言言うが今年の鬼はとても手ごわい。一筋縄ではいかないぞ?」

与実がそう言って生徒たちから目をはなした。

見ているのは沈みかけた太陽であった。

背後には既に闇がおしよせている。

そして・・・日が堕ちた。

キーンコーンカーンコーン

鐘の音が鳴り響く中、鬼隠しは始まった。

今回楓は指令台のそばに立っていた。

やはり皆が逃げ終わるまで楓は動こうとしない。

だがそれは生徒にとってハンデでもあった。

なぜなら楓はまるで鬼のように生徒たちを殺してしまうのだから・・・。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ