鬼隠し 1日目の始まり
鬼隠し当日がやってきた。
祭りとはいっても盛大ではない。
簡単にいうとまるで文化祭のようでもあった。
学校の大半が屋台なとで埋め尽くされる。
だがこれはこの祭りの予兆でしかない。
本当の祭りは・・・日が暮れた頃に始まる。
太陽は沈みかかり全校生徒は運動場に集められた。
もちろん1−1もそれと同様。
運動場へ集まり校長が出てくるのを話しながら待つ。
そんなことが続いていた。
だが校長はなかなか現れなかった。
そしてとうとう日がおちる時間帯となった。
校長はギリギリになって指令台に上がってきた。
えらく長ったるい話が続く。
だが校長の話も日がおちる前に終わった。
そして楓の名前が呼ばれる。
楓は指令台に上がり小さめのナイフをもらうと指令台に1人残された。
ほとんどの生徒の視線は今年の鬼。
楓に向けられていた。
楓は自身あり気に笑っている。
一瞬雄一郎と楓が視線があう。
2人ともおもしろそうに笑っていた。
今年こそは誰も被害にあわせたくないという思い。
それは2人とも変わらなかった。
キーンコーンカーンコーン
日が落ちると共に鐘の音が鳴り響く。
それが・・・鬼隠しの始まりの合図だった。
ワァーーーっとなって全員が学校の建物めがけて走っていく。
雄一郎は楓を若干気にしながら明美と一緒に逃げていた。
楓はまだ指令台から下りてすらいない。
よほどの余裕なのだろうか。
雄一郎はそれを気にしてはいながら建物の中へ入った。
どこもかしこも電気がついておらず、真っ暗だった。
急いで逃げればどこかにあたるかもしれない。
そう思いながら色々なところを走り回っていた。
「9.......10........っと・・・そろそろか・・・」
楓はそう言って指令台から下りる。
そしてニヤリと笑うと建物めがけて一直線に走っていくのだった。
その姿はまるで獲物を追う狩人のように鋭かった。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
早くも楓に捕らえられた生徒が1人、また1人と増えていく・・・。




