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21:浴場施設完成


 無事温泉ユニットからお湯が沸き出し、用意した浴槽にお湯が満たされた。これでやっと風呂に入ることができる。


 だが体を洗う場所や石鹸が無いのでまだ完璧な状態ではない。石鹸もクラフトすることができるのだが、今はまだその素材が見つかっていないな……。

 

 リコがしゃがんでお湯を見ている。そーっと手を出してお湯に触れようとしていた。

 

「あ、もしかしたら熱いかもしれないので気をつけてくださいね」


 火傷はしないだろうが、それでも熱いかもしれない。

 

 リコは尻尾を揺らして、ちょん、ちょんとお湯に指で触れた。

 

「……ほんとにあったかいお湯にゃ」


「とりあえずこれで毎日お風呂に入ってもらって、みんな体を清潔にしましょう」


 病気などのリスクを減らしたいし、綺麗になればみんなも気持ちよくなる、はずだが……外的要因の対策も急がないといけないな。とりあえず木枠ブロックを一段だけでも置いて壁として利用しよう。

 

「……私達もここを使用していいのか?」


「ええ、問題ありませんが、その前に壁とか用意しないといけませんね」


「使っていいのにゃ!?」


「はい、そのために作ったようなものなので」


 他にも桶や蛇口そういったものも欲しいが、残念ながらそれらはクラフトすることができない。この世界の人達に作ってもらうしかないだろう。

 

 シャワーボックスやバスタブならクラフトできるのだが、まだスキルが足りていないのでレシピが解放されていない。レベルも必要になってくるので、レベル上げすることも考えないといけないが、この世界でレベル上げか……。

 

「とりあえず夜までには壁とか設置してみますので、それまで待っていてください」


「分かった……ありがとう。お前達、作業の邪魔にならないように向こうへ行くぞ」


「「「はーい」」」


 そう言ってミリアムとリコは子供達を連れて集落のほうへ戻っていった。

 

 時刻は16:07を表示している。

 

 よし、風呂を使えるようにしていこう。


 ◆   ◆   ◆

 

「ふぅ……」 

 

 時間を確認したら18:21になっていた。

 

 二時間ちょっとかかったみたいだが、なんとか風呂場を用意することができた。

 

 浴槽の他に体を洗う場所、脱衣所を継ぎ足し、壁を作るために浴槽に繋げていた階段は破壊した。

 

 浴場の広さは浴槽をベースにして、床を六マスほど伸ばして洗い場を用意。それらを囲うように外側に高さ三マスの木造の壁を設置した。これで覗き対策もバッチリだ。なお天井は無い。雨が降ったら大変だが、今は大丈夫だろう。ガラスがあればガラス張りにしたいが、これもまだ素材とフォージが無いので無理だな。

 

 何故六マス……六メートルのも洗い場を用意したのかというと、俺はここで秘策を思いついたからだ。

 

 ワールドクラフトには建築用に豊富なブロックの種類があり、四十五度の角度を持つ傾斜ブロックや、緩やかな傾斜ブロック、アーチ状のブロック、他にも様々なブロックが存在する。

 

 そして今回俺が目を付けたのが、緩やかな傾斜ブロックだ。このブロックは二種類あり、二つ組み合わせることで、長さ二メートルのスロープ状にすることができる。

 

 スロープ状のブロックの上に、新しくクラフトした温泉ユニットを横向きに設置して、お湯がそのスロープを伝って下に落ちる仕組みを作ったのだ。

 

 これで上からお湯が流れてきて疑似シャワーのようなことができる。まぁシャワーというか滝みたいな感じだが……。ともかくこれを二か所に設置したので、体を洗うのには困らない、はずだ。

 

 排水も一ヶ所に水が溜まるように傾斜ブロックを使用して水流をコントロールし、そのまま浴場の外に排出されるようになっている。

 

 排出先には特に何も無いので、水たまりができると思うが、クラフトして生み出した水だ。どうなるか分からないので暫くを様子を見ていこう。試しでお湯を出し続けているが、まだ水たまりができる気配はない。どんどん地面に吸われているように見える。

 

 俺には下水処理の知識や技術が無いので力技で誤魔化しているが、こういう部分もこの世界の職人に頼るしかないだろう。下水技術がこの世界でもちゃんとあるかは分からないが……。

 

 北に浴槽、東と南に温水シャワー、西はただの壁だけの配置だ。出入り口は南の温水シャワーを西側に寄らせて、空いたスペースに木のドアで作ったので、ここから出入りができる。

 

 その出入りした先は脱衣所になっており、横幅四メートル、奥行き五メートルの広さで用意した。衣類を入れるカゴがないので、これもどうにか作ってもらうしかない。

 

 脱衣所の西側に外への出入り口のドアを用意してあるので、ここから出入りしてもらうことになる。

 

 待機所みたいな空間も用意したいが、それは木造拠点で代用してもいいかもしれない。

 

「ふぅ……」


 ゲームではない、この現実で、俺は風呂施設を作った。

 

 クラフトのお蔭だが、それでも俺は満足感に支配されていた。

 

 まだまだ改善点はあるだろうが、それでも俺がこの世界で初めてまともに作った施設だ。

 

 隣の木造拠点は…………ただの箱だからな。

 

 後はタオル、石鹸、この二つはなんとしても早くクラフトしたい。

 

 タオルはコットンを布にすればクラフトが可能だし、石鹸は動物油とゴールデンハーブ、レッドハーブを合わせてクラフトすれば作ることができる。

 

 まだコットンもハーブも見つけられていない。違う土地に出向く必要がありそうだ。

 

 しかし俺の中では鉱山で強制労働されているというドワーフに対する興味のほうが大きくなっていた。

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