出会い
前回のあらすじ
地球に着いたとたんに気絶した。
ピ…ピ…ピ…ピ…ピ…
この地球で電子音と呼ばれている音が聞こえる。
五月蠅いなぁ…せっかくあったかいお布団で気持ちよく寝てたのに…へ?あったかいお布団?
僕は目覚めた。
僕は上半身だけ起き上がった。
「う!」
起き上がると同時に全身に激痛が走った。だが、この痛みの原因が僕には分からなかった。
その答えを探るため、辺りを見渡す。部屋はとても暗いが、月の支配者たる僕は、昼間と同様に前が見える。
白い天井に、白いベッド。天井からは白いカーテンが吊るされていて、ベッド一つしか入らない部屋を作り出している。(ここは病院だ。だが僕は病院を知らない)すぐ横には謎の黒い板(テレビ)が置いてある。
その謎の黒い板の横には、黒い短い髪の十歳くらいで幼さの残る背の低い可愛い女の子が、椅子に座って気持ちよさそうに寝ている。くそっ、僕より背が高い………………………………………
僕はここがどこなのか気になった。なので、僕は女の子を起こそうとの肩を軽く二回叩いてみる。だが、なんの反応もない。
「ねえ、起きて」
「………………………………」
女の子は依然として気持ちよさそうに寝ている。
「起きてよ」
「………………………………」
返事が無い。ただの熟睡している少女の様だ。
「起きて!」
何回呼び掛けても起きないので、大声で叫びながらこの子の体をゆすってみた。
「…………う………ん…………やっと目が覚めたんだね。」
それは僕のセリフである。やっと目覚めた。寝起きの悪い女の子である。少女は眠そうな目をこする。
「おはよう。ところで君は?」
「おはよう。もう体は大丈夫みたいだね。」
僕の問いかけを完全に無視して少女が口を開いた。だが僕には少女が口にした言葉の意味が分からなかった。言語が分からないのではない。少女の言っている事が分からなかったのだ。
「何の話?」
そういえば、体中が打撲したように痛い。どしてだろう?
「君はトラックに撥ねられたんだよ。」
「??????????」
『トラック』?何それ?そうえば寝る前に、大きな鉄の化け物に弾き飛ばされたような……………
「トラックとは、大きな鉄の化け物の事?」
「そうだけどトラック知らないの?」
少女が僕の事を呆れた様な目で僕を見つめる。いや、呆れているのではなく、何の冗談だろうと疑問に思っているのかもしれない。
「う…ん」
少女の様子から推測すると、この世にはトラックなる物があるらしい。僕が月に居た間に、地球では色々な物が増えたのだな…
「うっ…」
また、僕の体に激痛が走った。僕にここまでのダメージを……トラック恐るべし。命にかかわるダメージではないが、それは僕達『神』にとっての話だ。人間がトラックとやらに襲われたら、まず助からないだろう。
「月よ!その光の力、わが手に積もりて治力と成せ!」
僕は小声で呪文を唱えた。すると僕の左手から小さな光の玉が生まれた。僕の創った光の玉は、夜の満月ほどの光量しかないが、一応瀕死の人間を健康体にするほどの力を秘めている。
「す…すごい…きれい」
少女は僕の創った光の玉の事を、まるで宝石箱を見るかのような目で見つめている。
僕は心の中で誇らしげに胸を張る。
僕は光の玉を自分の胸のあたりに近づける。光の玉は僕の胸に吸い込まれて消えた。その瞬間僕は月の様に光りだす。冬の夜風に当たったかのような冷たい感覚が僕の体を走り抜け、僕の体から痛みが消えた。
「す…すごい。今の何?」
「今日は眠いし、明日説明してあげる。もう夜遅いから寝よう。」
僕は夜の支配者だから、外を見なくても時間が分かる。だがこの地球上にある時計という物を使えば誰にでも分かるらしいので、自慢できないのが残念だ。
「そうね。そうえば…君、可愛いね」
「う、うん。ありがとう」
戸惑いながらも答えた。はぁ…僕は男なんだけどなぁ…まぁいっか。
「おやすみなさい」
「おやすみ」
少女の言葉に対して、僕が一番適していると思っている言葉を返す。
僕の言葉を聞いて女の子がカーテンをめくる。カーテンの奥には、ここと同じような部屋があった。少女は隣の部屋のベッドで寝るようだ。
僕はお布団に入り、寝ることにした。お布団はあったかくて、柔らかくて気持ちいい。知らなかった。あったかいお布団がこんなにも素晴らしい物だなんて…月に帰る時にお布団を買おう!
僕は思ったより早く、夢の世界へと旅立つこととなった。
第三話は三月上旬に投稿します。




