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ラミアの独り言 ---「気がついたらラミアに」サイド・ストーリー ---  作者: 並矢 美樹


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ハーピーの子どもも働かなくちゃ_2

「あ、そうだ。 一つお願いがあるのだけど、いいかな?」


 知り合ってすぐにエーデルちゃんにお願いされたのは、アレクさんたちに私とエーデルちゃんが友だちになったということを、教えないということだ。

 どうしてなのかと思ったら、


 「私、もうすぐお兄ちゃんのところに行く用事があるの。

  その時に、ちょっとお兄ちゃんをびっくりさせてやりたいの」


 うん、なるほど。 それはちょっと面白そうだと私も思った。

 そこで私は、お母さんもこの村がアレクさんの実家のある村だときっと気付いただろうから、それをアレクさんに言わないように頼んだ。

 お母さんは、その理由を聞くと、「あら、それなら」とエーデルちゃんの母親でもあるこの村の世話役さんと話を始めた。

 何を話しているのかと思ったら、エーデルちゃんをお母さんがラミアの里まで連れて行くことを請け負うという話だった。

 エーデルちゃんは、メリーちゃんが飛ぶので、少しだけだけど一緒に飛んだことがあるそうだ。


 「うん、モエお姉さんに掴んで飛んでもらったことがあるよ。

  その時はメリーちゃんはハトのお兄さんに掴んでもらって飛んでいたけど」


 あ、ウスベニメお姉さんじゃなくて、ハライトさんなんだ。

 メリーちゃんは、ハライトさんとも仲が良いからなぁ。


 それからエーデルちゃんがラミアの里に行く日を決めて、それまで私とお母さんは私たち2人がアレクさんの実家の村に行っていることや、私がエーデルちゃんと親しくなったことは秘密にしていた。

 その甲斐があって、エーデルちゃんをラミアの里に連れて行くと、アレクさんはとても驚いていた。

 私とエーデルちゃんは悪戯が成功して、とても満足したのだけど、すぐにエーデルちゃんはアレクさんに仕返しされていた。

 私は一人っ子で兄弟がいないから、アレクさんに揶揄われているエーデルちゃんが何だか羨ましかったし、エーデルちゃんがセンお姉さんに頭を叩かれたり、ディーお姉さんに凄まれたり、サーお姉さんに味方になってもらったりしているのも、本当の妹のように扱われている感じがして、それも何だか羨ましかった。

 私もアレクさんの家で可愛がられているのだけど、私の扱いと、エーデルちゃんの扱いはやっぱりちょっと違う感じがしてしまうのだ。



 エーデルちゃんがラミアの里にやって来て、ちょっと驚いたのは、エーデルちゃんがメリーちゃんと一緒に鶏の世話をして、メリーちゃんだけでなく、メリーちゃんと同年のラミアの子たちの鶏の世話をも見学して、その技術指導をしたりしたことだ。

 途中では何人か混ざってきたラーリアの人にも、鶏の世話の細かいポイントを教えてもいた。


 「すごいね、エーデルちゃん、鶏のこと詳しいんだね」


 「あれ、ルリお姉さん、知らなかったの?

  エーデルお姉ちゃんの家は鶏をたくさん飼っているんだよ。

  ラミアの里の鶏は全部、お兄ちゃんがエーデルお姉ちゃんのお母さんとお父さんに頼んで、持ってきてもらったものなんだよ」


 「そういえばルリちゃんは、ウチの鶏小屋の方は来たことなかったよね。

  青空教室は、鶏の声が邪魔になるから、小屋からは離れた位置で行うから、知らなくてもおかしくない」


 「私、上からは鶏がたくさんいる小屋があるのは見たけど、あれってエーデルちゃんの家でやっていることだったの?」


 「そうだよ。 最近はハーピーの人が卵を運んでくれるようになったから、前よりずっとたくさん飼うようになったし、手伝ってくれる人も増えたけど、ずっと前から、もちろんお兄ちゃんが家に居た時から、うちは鶏農家だよ」


 私は、自分がエーデルちゃんの村まで何度も行っていて、空から見ていたのに、そんなことも知らなかったことが恥ずかしかったし、その日は朝早くからエーデルちゃんとメリーちゃんと一緒に過ごして、初めてメリーちゃんや、メリーちゃんの同い年の子たちが、鳥の世話という仕事もしていることを知った。

 私はメリーちゃんたちが、アレクさんたちの子どもたちと遊んであげるということ以外に、ちゃんとした仕事を任されていることに、とてもショックを受けた。


 メリーちゃんが、同い年の子たちの鶏の世話を手伝って、私とエーデルちゃんから離れていた時に、私は卵繋がりという訳でもないのだけど、エーデルちゃんに私がアレクさんたちと親しくなったきっかけの話をした。

 私が話さなくても、きっと誰かに聞くと思うので、それなら自分で話したいと思ったからだ。

 その話をするには、内容がメリーちゃんはまだ幼くて話しにくいので、メリーちゃんがいない時の方が良い。


 「ふーん、卵詰まりか。

  私は人間だから卵つまりというのはないのだけど、鳥では見たことあるよ。

  そうか、鳥型のハーピーは卵産むのだものね。

  でも人間も、生理痛ってあるんだよね。

  私も少し前にお腹が痛いと思ったら、生理になったんだよ。

  ルリちゃんと一緒だね」


 エーデルちゃんは、モエお姉さんがハナシュちゃんを卵で産んでいることを知っていたりするから、私が話すのに少しハーピーと人間との違いがあるからドキドキしていたのに、何だかそれがすごく無駄な気がするほどあっけらかんと、私の話を受け止めてくれた。


 「それで、妹のエーデルちゃんにこんなこというのも変なのかもしれないけど、私、その時にアレクさんにも治療に加わってもらったことを知って、つまり、まともに見られたり、えーと指を挿れられたりしたのだと知って、アレクさんは単純に治療に関わったというだけの意識だし、アンお姉さんには『治療してもらったというのは恥ずかしいことでもないし、隠すことでもないから、気にしなくて大丈夫』と言われているのだけど、何だか気になってしまって」


 「あははは、ルリちゃんはお兄ちゃんに見られたりしたから、お兄ちゃんのことが気になっちゃうんだ。

  気持ちは解るけど、お兄ちゃんは全く気にしてないと思うよ。

  あ、別にルリちゃんのことをなんとも思ってないということじゃなくて、ルリちゃんのことを見たことに関してだよ。

  だいたいお兄ちゃんたちは、ラミアの習慣に慣れすぎているから、女性の裸を見ても、ちっともなんとも思わなくなってしまっているから。

  温泉に入るときだって、お兄ちゃんや、お兄ちゃんの友だちたちは何も気にしないよ。

  ルリちゃんが気にするというか、気になる気持ちは解るけど、きっとルリちゃんの方だけで、それってちょっと損な気がするから、気にすることないと思うよ。 私もアンお姉さんと同じ考え」


 こんな話をしたからだろう、私たちは鶏の世話から戻った時に、アレクさんたちが温泉にいることを知って、そのまま私たち3人も温泉に入ることになった。

 メリーちゃんはいつもの事だし、エーデルちゃんもある程度慣れているみたいだけど、私は山の元からのハーピーの温泉以外実は入ったことがない。

 ハーピーの温泉は完全に男女別だし、ラミアや人間と一緒に入ったこともないのだ。


 「ルリちゃん、大丈夫。 中にはモエお姉さんも居るだろうから、ハーピーがルリちゃんだけじゃないから」


 私がおずおずとエーデルちゃんに背中を押されるようにして温泉に入って行くと、私に気付いたモエお姉さんに声を掛けられた。


 「あら、ルリちゃんも入って来たのね、珍しいというか初めて?」


 「はい、エーデルちゃんとメリーちゃんと一緒に鶏の世話をしたので、一緒に温泉で汚れを落とそうということになって」


 「うん、その方が良いわ。

  ここにはアレクとデイヴも居るけど、2人とも全く気にしないから、緊張しなくても大丈夫よ」


 そう、ちょっと私の想定外に、温泉にはアレクさんだけでなくて、デイヴさんまで居た。

 モエお姉さんもだけど、他のナーリアのお姉さんたちや、途中で私たちが入って来て狭くなったと思ったのか、気を使ってくれて切り上げてくれたラーリアの方たちも、みんなアレクさんとデイヴさんの前で裸でも平然としてて、アレクさんに見られたことを気にしていた私は、何だかとても拍子抜けした気分になってしまった。


 そうしたら私はそれよりも、モエお姉さんの胸の大きさの方が、とても気になってしまった。

 センお姉さんがエーデルちゃんの胸の大きさを揶揄ったことから、胸の大きさが話題になったのだけど、本当にモエお姉さんが言うように、私もその時が来れば、モエお姉さんのように大きくなるのかな。


 エーデルちゃんが、そこからの流れで、エーデルちゃんにも生理があるようになったから、アレクさんの奥さんになることが出来ると、アレクさんを揶揄った。

 それを面白がったナーリアのお姉さんたちが、エーデルちゃんなら歓迎だとエーデルちゃんに加勢して、本気で困ったアレクさんがちょっと面白かった。

 私もそれにちょっと乗っかって、ふざけてアレクさんの奥さんになりたいと言ったら、モエお姉さんに本気で怒られてしまった。

 でも、そうしたら、デイヴさんがアレクさんの代わりに奥さんにしてくれると言ってくれた、何年か先の話だけど。


 ハーピーは今、とても人数が少なくて、それからまた鳥型のハーピーばかりになってしまっているので、人間との婚姻が大々的に勧められているのは、私でも知っている。

 私は、本気なのかどうか分からないけど、デイヴさんが奥さんにしてくれると言ってくれたのが嬉しくて、すぐに両親にその話をした。

 そうしたら、お父さんがすごく喜んで、デイヴさんの家に挨拶に行ってしまった。

 私は、そんなに素早くお父さんが動くとは思っていなかったので、それは本当に大丈夫だろうかと心配になったのだけど、何だか良く分からないけど、将来私がデイヴさんの奥さんになることが本当に決まってしまった。


 私としては、デイヴさんもアレクさんと共にハーピーの中でも良く知られている人だし嬉しかったのだけど、私以上にお父さんが喜んでいる。

 デイヴさんは、アレクさん、キースさんと共に、最初にハーピーの里に来た3人の1人だし、その内の2人、アレクさんとキースさんにはモエお姉さんとウスベニメお姉さんが奥さんになったから、デイヴさんにもハーピーの女性を1人奥さんにしてもらえないかと、ハーピーの長老たちは考えていたらしい。

 その人選に長老たちはちょっと苦慮していたらしい。

 ラミアの里のアレクさんたち騎士の人たちにちょうど良いくらいの結婚適齢期のハーピーの女性は、ボブさんの奥さんになったエルシム様の妹のウスキハイメさんしかいなかったからだ。

 ウスキハイメさんがボブさんの奥さんになったのも、つい最近のことだ。


 そんな時に、今すぐではないけど、将来奥さんにしてもらえるという約束、つまり婚約を私がデイヴさんとしたことは、ちょっと大きな話題となった。

 そして私に触発されて、私の幼馴染のクリスズメがエレクさんと、そしてアイクイメがハキさんと私と同じように婚約することになって、ハーピーたちはみんな喜んでくれた。


 私はそんな訳で、アレクさんの家だけでなく、デイヴさんの家もラリオ様が

 「将来はデイヴの妻の1人として一緒に暮らすのだから、いつ来てくれても、泊まっていっても構わない」

と言ってくれたので、足繁く行くようになった。

 そうすると私は、私より年長のラミアや人間の人たちは勿論だけど、メリーちゃんたち私たちより年少の子たちも鶏の世話だけでなく、色々な仕事を任されていることにすぐに気がついた。

 それだけではない、私よりもほんの少しだけ年上の若い子たちと呼ばれているラミアたちは、もうゴブとの戦いではその一翼を担うことを期待されているし、ラミアたちはその若い子たちグループだけじゃなくて、メリーちゃんたちの世代まで主にサーお姉さんの指導で訓練を受けている。

 そしてアンお姉さんたち人間の妻の人たちも、今は主に弓の練習をとても真剣にしている。


 私と幼馴染の2人は、幼馴染の2人もエレクさんとハキさんの家に足繁く行くようになったのだけど、そういった姿にショックを受けた。

 ハーピーは伝統的に女性は戦いに参加しないし、あまり外を出歩くことがなく、ハーピーの里の中だけで暮らしていた。

 だから連絡係として飛び回ったり、戦いの時にも指揮や伝令をしたモエお姉さんとウスベニメお姉さんは、とても例外だ。

 今ではそれではハーピーの女性もダメなのだと、最近になって急にハーピーの女性も外に出るようになったのだけど、ハーピーは子どもの数が極端に少なくなってしまっているからだろうか、どうやら私たちはラミアの子たちと比べて、とても甘やかされて世間知らずに育てられていたんじゃないかという気がしてきた。


 「私たち、将来妻になることが決まってから、子どもたちの世話をメリーちゃんたちと一緒にすることを頼まれるようになったけど、それだけしか仕事をしていないのはダメだよね」


 「それに、夫の子どもを世話するのは妻たちにとっては当然のことで、仕事とは言えないよね」


 ハーピーは本来は一夫一妻制だから、妻たちみんなで夫の子どもの面倒をみるなんて考えはなかったのだけど、私たちはそれを教わったのだ。

 私はクリスズメとアイクイメに言った。

 「でも、仕事って、私たちに何が出来るのかな。

  ウスベニメさんが良く『鳥型ハーピーって、本当に役に立たないことが多い』と嘆いてるって聞いたけど、こういう時、その気持ちが解る気がする」


 私たちは何が出来るか考えたけど、結局若いハーピーの女の子に出来ることなんて特別なことを思いつける訳がなく、連絡係をすることにした。

 と言っても、モエお姉さんやウスベニメお姉さんがしている本格的な連絡係ではなくて、この里の中、もうラミアだけではなく私たちハーピーも居るし、人間たちも増えて、範囲もラミアの森だけでなく私たちのいたハーピーの里の山の方も含めたこの里の中だけの連絡係だ。

 この里の中と言っても、今では人も増えたし、急な連絡が必要なことも多くなった。

 その範囲もハーピーが元々使っていた畑の方までが、有効活用されているし、草原の方にも仕事が増えて、人が散らばってもいる。

 この里の中だけでも、連絡係は有用なのではないかと私たちは考えたのだ。


 私たちは自分たちの自由になる時間をやりくりして、天気が悪くない限り昼間は3人のうちの誰かしら1人は里の上を飛んでいて、連絡係を必要とする人がいないか注意しているようにした。

 少しすると、私たちはみんなにその仕事を認知されて、結構忙しく連絡を頼まれるようになった。

 私たちは最初のうちこそ、誰々に連絡してくれと頼まれた時に、その人の名前と顔がなかなか一致しなくて戸惑ったけど、すぐにそれは克服することが出来た。

 1番の問題は気配を消している人がたまにいる事だ。

 レンお姉さんやセンお姉さん、それにアレア様なんかが本気で気配を消してしまったら、きっと私たちには探し出すことは出来ないだろう。

 時々、ナーリアの姉妹の人たちが、私たちを揶揄って迷惑にも気配を消してたりするのが、ちょっと腹立たしい。

 ナーお姉さんは、やめるように言ってくれたのだけど、時々やられる。



 「エーデルさん、ミーリア様が、『至急、話し合いをしている学校まで来て欲しい』と、エーデルさんを呼んでいます」


 「あ、ルリちゃん、ありがとう。 『すぐに向かいます』と返答しておいて」


 ヤーレンさんの人間の妻のエーデルさんは、アレクさんの妹のエーデルちゃんと名前が同じだから、私はなんとなく呼びかけるときに照れくさい。

 私はデイヴさんに連絡に行くのもなんだか照れくさいけど、クリスズメとアイクイメもそれぞれエレクさんとハキさんに連絡に行くのは照れくさいらしい。


 この里の中の連絡係の仕事をするのは、私たちも役に立っている気がして、私は嬉しいし、好き。


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