表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/71

私も(温泉でのおしゃべり)_1

ものすごく久々の更新になってしまいました。

本編の方が自転車操業で、こっちまで手が回りませんでした。


長くなってしまったので2話に分けました。

サーブが教官となって、ラーリア様から任されている若い子たちの訓練に、私たち人間の女も参加させてもらっている。

私は1人で参加しようと思ったのだが、私が参加させてもらえるようにサーブに頼んでいると、2人も一緒すると言い出したのだ。


正直なところ、訓練については私たちはお荷物でしかない。

エリーゼはこの地方の有力者の娘で、正直なところお嬢さん育ちのようで、剣を握ったこともなかったし、体力もない。

マリアンヌは騎士の家の娘なので、子供の頃少しは剣の練習を男兄弟に混じってしたことがあるとのことだが、大きくなってからは逆に女らしくなるようにと禁止され、運動をしなくなっていたようだ。

私はというと、もちろん商人の娘である私は剣などまともに振った事はないが、ラミアの里で暮らすうちに、外で動き回る機会も増えたり色々経験するようになり、いくらか体力がついた気がする。


でも結局は私たちは訓練はみそっかすも良いところだ。

一応フラフラになりながらも、サーブが若い子たちにさせている事を、なんとか形だけこなすのだが、訓練が終わった時にはもう本当に動けない。

私たちは軽い服装に、木剣を、それも軽い物を持つだけなのだが、ナーリアたちは完全武装の上、重い本物の剣と槍などを持ち、弓と矢も装備して、その上で若い子たちの相手をする時に使う木剣も持って走っている。

エーレアたちは槍などがない分はナーリアたちより楽なはずなのだが、息を切らしているのだが、ナーリアたちは息も切らさず余裕でこなしている。

ま、なんていうか、ミーリア様たちとの本気の訓練をしてきた賜物なのだな、と思うけど、その訓練がどれだけ厳しかったかという事だ。

ターリア・ワーリア・ヤーレアは防具が出来ていないのだが、クロスボウは普通の弓矢より重く、サーブはそれも持たせて走らせているからか、彼女たちはエーレアたちよりも苦しそうだ。


訓練が終わると、私たち3人は動けないくらい消耗していて、草原に取り残されるような形になってしまう。

最初メリーが、ウスベニメとモエギシュウメと一緒に訓練の終わりの方に見学に来たのだが、私たちが消耗して動けないので、仕方なしに温泉まで空を運んでくれた。

ウスベニメとモエギシュウメが順番に運んでくれたのだが、2人は消耗が酷くて最初空を飛ぶのを怖がるだけの気力も残っていないようだった。

一番初めの時などは、先に2人をお願いしたのだが、後から私とメリーが戻ると、2人は下ろされた温泉の前で、下ろされたまま蹲ったままだった。

ウスベニメとモエギシュウメに手伝ってもらって温泉に連れて行ったのだが、2人はなんとか服を脱いだものの、洗い場でへたっている。

ハーピーの2人が「本当に仕方ないわね。」と言って、温泉のお湯を桶に汲んで、それを2人に掛けて、汗を流してやる羽目になった。

ハーピーの2人がそんな事をすれば、自分も羽をお湯につけることになり濡れてしまうので、なんとなくなし崩し的に毎回私たちは訓練の後は、体が慣れてきて少しは動けるようになってからも、メリーもいれて人間4人とハーピー2人の6人で温泉に入っておしゃべりするのが恒例になってしまった。

若い子たちが汗を流しにやって来るまでの、ほんの少しの時間なのだけど、ナーリアたち抜きでハーピーとおしゃべりするこの時間は、ちょっとだけ特別で、私にとっては貴重なものだった。


もっとも、メリーは子供だから、温泉に入ってもすぐに体が温まるからか、先にすぐに出てしまう。

レンスが居ると、一緒にお湯の中で遊んで、もう少し長く入っているのだけど、ハーピーの2人は温泉ではそんな訳にいかないし、私たちはやっと浸かっているという感じだから、すぐに出てしまうのだ。

メリーに、ちゃんと服を来て出るように言わなくちゃ、気をつけてないと裸で出ていってしまうから。

まあ、裸で出ていっても誰も問題視しないし、イクス様が見つけてちゃんと服を着るように言ってくれるだろうから、何も心配はないのだけど。


でもメリーが先に出てしまう事は、ちょっと利点もある。

メリーにはまだ聞かせられない大人の話が、4人と出来たりするからだ。

「ナーリアたちって私たちと同い年なんだよね。」

「という事は、私の方が一つ上なの、何だか大人びて見えるのだけど。」

エリの言葉にマリがそう返した。


エリはエリーゼというのだが、自分からエリと呼んで欲しいという事だった。

領主様の三男であるデイヴの奥さんになるのが、前からほぼ決まっていたらしい人で、最初マリはエリーゼ様と呼んでいたから、私にはわからないが有力者の娘なのだろう。

マリはマリアンヌで私の名前の前にマリが付いているのが本名だ。 紛らわしくなってしまうので、こちらも自分でマリと呼んでと言ってきた。

エリは私と同い年、つまりナーリアたちとも、ハーピーの2人とも同い年なのだが、

マリはキースと同い年という事なので、私たちより一つ上だ。

ちなみにアレクたちは、狩人学校の同級生という事で、彼らの中に上下関係はないみたいだが、アレク・デイヴ・エレク・ハキ・キースが私たちより1つ上で、ボブ・ケン・ヤーレン・ギュートが2つ上、ダイクとバンジは3つ上で実はアレア様・ロア様・アリファ様と同い年という事だ。


エリの言葉が続く、

「でもさ、エーレア・ターリア・ワーリア・ヤーレアって人たちは、ナーリアたちの姉妹という事で、彼女たちも私と同い年なんだよね。

 不思議と彼女たちの方は私たちより幼く見えるよね。」

「うん、ナーリアたちは他の姉妹より、一回多く脱皮しているから、体が比べると大きいのだと言っていたわ。

 他の姉妹の方が普通で、ナーリアたちの方が特別なのだと自分で言ってた。」

私がそう説明すると、マリが

「脱皮すると大きくなるというのは、子供がつい最近脱皮したから、なんとなく分かるけど、どうしてナーリアたちだけ特別に一回多く脱皮してるの。」

「ナーリアにそれを聞いたら、アレクが死んでしまうかもしれないと、とても心配したら、体が子供が作れるまでに成長したっていう話だよ。」

「なんだか良く分からない話ね。

 フロードの件で砦で戦った時とかって、危険なんてなかったってデイヴは言ってたけど。」

エリがそう言うと、ウスベニメが

「ナーリアたちが本当に心配したのは、その時じゃないの。

 私たちハーピーとしては不本意だけど、ナーリアたちがアレクだけじゃなく、デイヴとキースもだけど、殺されてしまうかもしれないと本気で心配したのは、ハーピーの里を彼ら3人が訪ねてきた時のことなの。

 私にしてみれば、あり得ないと思うのだけど、ラミアたちや彼らからしてみれば、本当に命を懸けて、ハーピーとラミアの間の同盟の画策をしてくれたの。」

「実際には危険はなかったのだけど、彼ら3人が命懸けでハーピーの里を訪れてくれなかったら、今のハーピー・ラミア・人間の同盟なんて、夢にも考えられないことだった。

 我々はみんな、3人に、特にこの策を考え出したアレクに、どれほど感謝してもしたりない、アレクこそが歴史を動かしたのだ、とハルオン様は言ってたわ。」

モエギシュウメがその時の彼ら3人の行為がどれ程意味のある事であったかを説明したけど、私もだけど、エリとマリは全然解っていないようだった。


「でもなんでハーピーの里に行くことが、そんなに命懸けだと感じるようなことだったのかな、私にはそこからして分からないから。」

エリが疑問を続ける。

私もそれは前から疑問だったのだが、その詳細となるとナーリアたちは話したがらない。 悲しい顔をして、口をつぐんでしまうのだ。

「その直前、エルシム様が、ミーレア様という人をある事情から死なせた、いえ、はっきり言うわ、殺したのよ。

 それには事情があって、本来ならミーレア様が責任をとって自害または処刑されるべきところを名誉のために戦っての死の形にしたいという願いを、エルシム様が聞き入れたということらしいのだけど。

 そのミーレア様という人も立派な人だったらしくて、エルシム様はその最後を任された事を生涯の誇りだと言いつつ、今でもその結果を悔いているのよ。

 そんなハーピーにとっても、ラミアにとっても大事件の直後に、まあ、そんな事件の直後だからなんだけど、3人はハーピーの里を訪ねて来たのよ。

 ラミアの使者としてハーピーの里を訪ねたのだから、殺されても文句も言えないという風にラミアからは思う時期だったのよ。」

なんとなくウスベニメも聞いているから、このモエギシュウメの言葉はシロシュウメ様から聞いたことも入っているのかな、と私は思った。

そうか、それでミーレアにはミーレア様と呼ばれる人がいないのかと私は合点もいった。


「でも、なんだか私たちの夫が、そんな風に命を懸けて大きな事をするような人だというのは誇らしい気持ちよね。」

エリがそんな風に言ったので、私は少し訂正した。

「えーと、それは少し違うわ。

 このラミアの里にいる男の人は、みんなその殺されるかもしれない役を、自分がすると争ったんだって。

 その争っていた場をセカンとレンスは隠れて見ていて、涙が止まらなかったって、思い出すだけで涙が今でも出て来ると言って話してくれたわ。

 だから私たちの夫だけではないわ。」

「アンはとても公正なのね。」

マリが私の言葉をそう評してくれた。

「そして、それがきっかけで、ナーリアたちは脱皮することになったし、みんな一気に子供を作ったらしいわ。

 なんでも一番最初にイクス様がアレクの子供を作ってしまって、後はラーリア様たちが我先と争って作ったらしいわ。」

えっ、それ、どういう状況。

2人の顔がそう言っていた。

「うん、あのね。

 ラーリア様たちが子供を作るというのは決まっていた事ではあったらしいのだけど、それは次にゴブが現れたら、ま、今でも同じだけど死んでしまう確率も高いから、その前に子孫を残してやりたいという気持ちだったらしいの。

 でもその一件があって、残してやりたいという気持ちではなくて、なんとしてもこの男たちの子供を残したいに変わったという事らしいのね。」

4人とも、なんとなくその気持ちの変化は分かるという顔をした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ