メリーの
メリーなので、ラミアではないですね。
メリーは幼いので一人称がメリーになっています。
お父さんがすごい顔をして、メリーとお姉ちゃんに荷台の中に隠れているように言って、私は何だか分からないうちに一番奥に押し込められて、すぐにお姉ちゃんにずっと抱きしめられていた。
お姉ちゃんは私の耳を塞いでいたのだけど、それでもメリーは外で大変なことが起こっている音がしているのは分かったので、お姉ちゃんにくっ付いて静かにしていた。
それからしばらくして、私とお姉ちゃんが隠れている馬車の荷台に飛び乗ってきたのがお兄ちゃんだった。
私はすぐにお姉ちゃんに目隠しされてしまい何が何だかわからないのだけど、目隠しを外された時にいたのが、ナーお姉ちゃんと、ディーお姉ちゃんだった。
私はナーお姉ちゃんと、ディーお姉ちゃんの尻尾が今までに見た事なくて珍しかったから、触ってみたり叩いてみたりしたのだけど、そしたらお姉ちゃんがとってもびっくりした顔をして、慌ててメリーを捕まえようとするのが分かった。
きっとあの時、お姉ちゃんをお兄ちゃんが止めてくれなかった、メリーはお姉ちゃんに捕まっていたと思う。
メリーがナーお姉ちゃんの尻尾を触って遊んでいたら、ナーお姉ちゃんは
「それじゃあ、今度はお姉ちゃんがメリーちゃんの足を触っちゃうぞ。」
と逆に触ってきた。
メリーはくすぐったいから逃げたのだけど、そしたらディーお姉ちゃんに捕まってしまった。
ディーお姉ちゃんに捕まって、抱き上げられたのだけど、ディーお姉ちゃんは髪の毛がピンクのフワフワ艶々でとっても綺麗。 捕まっちゃったけど、そのおかげでディーお姉ちゃんの髪を触ってみれたから、逆に得した気分。
メリーはナーお姉ちゃんとディーお姉ちゃんと遊んでいて楽しかったんだけど、遊んでいるところを呼ばれて行ったら、お父さんが動かなくなっていて、土に穴を掘って埋めるところだった。
少し前に、少し前にお母さんが動かなくなっちゃって、土に埋めたばかりなのに、なんで今度はまたお父さんを埋めなくちゃならないの。
メリーはお母さんを埋めただけで寂しいのに、なんでお父さんまで土に埋めなくちゃいけないの。
メリーは泣いてそう言ったのに、お姉ちゃんは聞いてくれなくて、気がついたらお父さんは埋められていて、お父さんを埋めたところが分からなくならないように、お兄ちゃんとサーお姉ちゃんが大きな石を二人がかりで運んできてくれて、上に置いた。
そこから馬車に乗って、大きな洞窟に行った。
メリーはなんだかお姉ちゃんにくっつく事が出来なくて困っていたら、お兄ちゃんが膝に乗せてくれて、お姉ちゃんの隣の御者席に座ってくれた。
お姉ちゃんはなんだか厳しい顔をしていた。
きっとお姉ちゃんも本当はメリーみたいに泣きたかったんだと、その時急にメリーは分かった。
前にお母さんを埋めた時は、お父さんに抱きついて、メリーもお姉ちゃんも泣いたのに、お父さんを埋めたのにお姉ちゃんは泣いてなかった。 きっと、すんごく我慢しているんだとメリーは思った。
洞窟から、今度は森の中に入らなくてはいけなくて、メリーはどこに行くのだろうと思ったし、馬と馬車からなぜ離れなければいけないのか分からなかった。
メリーはお父さんも埋めてしまったし、馬と離れたくなかったのだけど、メリーがそう言うときっとお姉ちゃんが困ると思って言わないで、森の中を一生懸命歩いた。
サーお姉ちゃんたちがオンブしてくれると言ってくれたけど、メリーがオンブしてもらうのを、お姉ちゃんが気にする気がしたので、オンブしてとは言えなかった。
お兄ちゃんたちのお家に着いたら、大っきなお風呂が外にあって、私は大っきなお風呂なんて見たこともなかったので、びっくりした。
お姉ちゃんとサーお姉ちゃんたちと一緒にお風呂に行ったら、他の人もお風呂に沢山の来たけど、私は嬉しくてお風呂で遊んだ。
お姉ちゃんが何か言いたそうにしたら、ディーお姉ちゃんが、
「構わないわよ。 それにレンスも一緒に遊んでいるし。」
レンお姉ちゃんとメリーは一緒にお風呂で泳いだりして、楽しかった。
お家に戻ると、よく見ると右手しかほとんど使っていないお姉ちゃんが、ご飯を作って置いてくれて、メリーはいろんなことをしたからお腹が減っていて、ご飯を食べ始めたのは覚えているのだけど、いつの間にか眠ちゃっていたみたいだ。
目を開けたら、全然知らないところにいて、とてもびっくりしたけど、メリーの横にお姉ちゃんがいたので安心した。
お姉ちゃんに連れられて部屋から出ると、お兄ちゃんたちがご飯を作っていた。
メリーはこの場所がどんなところか分からないと困ると思って、一生懸命探検していると、お姉ちゃんにご飯ができたから、今度はちゃんと食べるのよと言われた。
メリーは今度は寝ないで、ちゃんとご飯を食べたのだけど、お腹がいっぱいになったらまた眠くなってきてしまって、今度はお姉ちゃんと一緒にさっき寝ていたところにちゃんと行って寝た。
メリーはお姉ちゃんにくっついて寝ていたのだけど、夜にお姉ちゃんがメリーから離れてゴソゴソしているのに気がついた。
なんとなく目を開けちゃいけない気がしたので、薄目で見ていたら、お姉ちゃんは服を脱いで、お兄ちゃんの方に近づいて行った。
メリーはお姉ちゃんがメリーから離れていっちゃうのにびっくりして、お姉ちゃんに声をかけようか、お姉ちゃんを追おうか迷っていたら、センお姉ちゃんが音もなく近づいてきて、とても小さい声で
「メリー、一緒に寝てるふりしよう。」と言われた。
メリーはセンお姉ちゃんに、急にそう言われたので、それにもびっくりして、とりあえずセンお姉ちゃんの言うとおりに寝てるふりをした。
そうしたら、お姉ちゃんがお兄ちゃん抱きついて、大泣きを始めた。
やっぱり、お姉ちゃんも本当はメリーとおんなじで泣きたかったんだと分かった。
お姉ちゃんが泣いていると思ったら、メリーもまた、なんだか泣きたくなってきて涙が出てきたのだけど、寝てるふりをしているんだからと思ってすごく困った。
そうしたら、センお姉ちゃんがメリーの頭を撫でてくれた。
気がついたら、ディーお姉ちゃんもすぐ近くで、メリーのことを見ていた。
メリーはセンお姉ちゃんとディーお姉ちゃんの手を握っていたら、なんとなく少し安心して、きっとお姉ちゃんは泣きたいのを今まで我慢していたのだから、お姉ちゃんが泣くのを邪魔しちゃいけないと思った。
お姉ちゃんの泣き声を聞いていたら、メリーはまた知らないうちに眠ってしまった。
メリーはラミアのお姉ちゃんたちの名前を教えてもらったのだけど、なんだかひとりでに呼び方がだんだん決まっていった。 なんとなく、そうなった。
でもイクス母様だけは違う。
イクス母様はレンお姉ちゃんのお母さんなんだけど、とっても優しくて、なんだかお母さんと一緒にいた時と同じ気分にメリーはなっちゃう。
一番はイクス母様のお膝のところに寄っかかって頭を撫でてもらっていると、メリーは前にお母さんに頭を撫でてもらった時と同じ気分になる。
そんな感じでイクス母様に頭を撫でられていたら、メリーは間違えてイクス母様のことをお母さんと呼んでしまった。
イクス母様は、何も気にせず「なあに、メリー。」と答えてくれたのだけど、メリーは、あっ間違えちゃった、と思った。
それで、それをお姉ちゃんが見ていて、一瞬だけとても悲しそうな顔をしたのが、メリーは見えた。
メリーがイクス母様のことを、間違えて「お母さん」と呼ぶと、お姉ちゃんが悲しい顔をするなら、イクス母様のことは絶対に「お母さん」と呼ばないように気をつけようとメリーは決めた。
それでイクス母様はイクス母様になった。
レアお姉ちゃんまでは、メリーは何も考えないでお姉ちゃんだと思ったのだけど、本当はリアおばちゃんは、どっちなんだろうって考えた。
でも、ラーリアおばちゃんはおばちゃんであっているみたいだったし、ラーリアおばちゃんは周りの多くの人にラーリア様って言われていて、リアおばちゃんもミーリア様って言われている。
同じように「様」って言われているのだから、やっぱりきっとおばちゃんで正しいのだとメリーは思う。
リアおばちゃんは
「どうしてお姉ちゃんじゃなくて、おばちゃんなの?」
ってメリーに聞くけど、「様」って呼ばれているんだからおばちゃんが正しいのに、なんでメリーに聞くのだろう。
メリーは「様」がつくのにお姉ちゃんじゃ、絶対におかしいと思う。
メリーがこのお家に来て、すぐに馬も来て、馬車を引く今までの馬だけじゃなくて、お兄ちゃんと一緒に背中に乗せてくれる馬も来た。
それからハーピーのお兄ちゃんとお姉ちゃんも来た。
もちろん、お兄ちゃん以外の人間のお兄ちゃんもいるし、ラミアのお姉ちゃんやおばちゃんもたくさんいる。
沢山の人がメリーのことを可愛がってくれるから、メリーはとても楽しい気分でいる。
時々、お母さんやお父さんを思い出したりして、ちょっと悲しい気持ちになることがあるのだけど、そういう顔をお姉ちゃんに見せると、とても心配するから、私は絶対に見せないようにしようと思っている。
そう決めていたのだけど、こんなの考えてなかった。
お姉ちゃんがメリーから離れてどこかに行くなんて、そんなこと考えてなかった。
だって、お母さんもお父さんも土に埋めちゃって、もうメリーとお姉ちゃんしかいないんだよ。
お姉ちゃんもいなくなったら、私ひとりぼっちだよ。
そんなの嫌だ。
メリーがなんでそんなことをするのって聞いたら、お姉ちゃんはとても真剣に何か言った。
メリーはお姉ちゃんの言ったことを聞いていたけど、何も頭の中に入って来なくって、何を言ったのか分からなかった。
でもメリーは、お姉ちゃんがとても真剣なのだけは分かった。
メリーは、メリーは、メリーが悲しいだけで、そんなお姉ちゃんのすることを止められないよ。
メリーは、メリーは我慢する。
お姉ちゃんはすぐに戻ると言っているし、お兄ちゃんはすぐに連れて帰って来ると約束してくれた。
ナーお姉ちゃんたちもいるし、イクス母様もいる。
お兄ちゃんが時々家にいない時、ナーお姉ちゃんたちも寂しいけど我慢している。
同じ様に、今度はお姉ちゃんもちょっとだけ居ないだけだ。
メリーも、メリーだって、我慢できるよ。