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何か大切なもの

作者: 時雨修

分かりにくいときはごめんなさい

 僕が子どもの家に来てからもうすぐで五年がたつ。

僕の親は六歳の時に離婚した。

父親に引き取られたが、虐待されていたことを近所の人が知り、警察に追放され僕はここにきた。この家では、僕のようなケースは珍しくない。ここに住んでいる子どもが皆、何か理由があって一緒に暮らしている。お互いに何があったのか話すことはないが、自分と同じような境遇だったことは分かるのだ。


 入ってきたばかりで、まだ馴染めていない小学二年生のりょうとたくまを見て、自分も四年前は同じように、どこかおどおどしていたことを思い出した。


りょうはいつも

「何か」に怯えていた。小学校で見かけても口もきかずに、辺りをキョロキョロ見回してどこかに行ってしまう。


たくまはずっと

「何か」を探している。

「何を探しているの?」と聞いても、わからないと答える。

「何か大事なものがないように思うんだけどなぁ」 そう言ってまた

「何か」を探し始める。僕にはなんとなく分かっている。

同じこの家に住んでいるお姉ちゃんも二人のことはちゃんと理解してくれているようだ。りょうがそわそわしている時には、皆を自分の部屋に呼んでくれてゲームやトランプなどをして遊んでくれる。学校の勉強と部活で忙しいのに、本当に優しいお姉ちゃんだと皆が言っている。僕もその通りだと思う、そしてそれ以上に僕たちのことを良く理解してくれている。


お姉ちゃんはたくまの探しものはここにあるよと言っている。たくまはわかっていないが、お父さん(養父)とお母さん(養母)はそれをきいてやさしく微笑んでいた。僕はそれをみてわかった。


僕とお姉ちゃんとりょうとたくま、そして母と父、今は六人で生活しているけどもうすぐ春になるのでまた家族が増える。そしたらりょうの不安はなくなって、たくまも

「何か」を探すことが減ってくるだろう。


皆が一番求めるもの。

ごく普通に、自然に欲しいと思うものが、ここにもちゃんとある。それを僕に教えてくれたのは、温かく、かけがえのない、新しい家族だった。

皆さんもこの「何か」を大切にしてください。これさえあればなんでも出来ますよ(・ω・)!

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