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良心の呵責の間に
内容を最後まで読んだ僕に男性は決断を促す。
要は人口調整という名の元の殺人だ。とてもじゃないが受けられる訳がない。
ただ、当時の僕は金が欲しかった。
就職して独立しろという両親から1日も早く離れたかった。
かといってこれといった特技や資格はおろか、打ち込んできたものすらなかった僕には、この話がとても魅力的に映った。
だが、見ず知らずの人を手にかけることなど出来るだろうか?
少し悩んだ僕は、結局この職業に就くことに決めた。
男性が放ったこの一言が決め手だった。
「人類の未来のためにほんの少し良心を捨てて下さい。」
その日の内に登録手続きを済ませ、交通費というには少し多額の現金を受け取り、ハローワークを後にした。




