優しさに潜む狂気
男性はソファーに座ると、僕にも座るよう促す。
僕が座ると、
ほどなくタブレットをテーブルに置き、内容をよく読み理解した上でこれから話すことを聞くよう指示した。
男性の表情は柔和なままだったが、これまでとは違い冷酷さが垣間見れた。
画面には誓約書とあり、これから話すことに関する全てのことを口外しないというものだった。
そして、口外すれば僕に何らかの不利益が生じる旨の内容が記載されていた。
不利益の具体的な内容を尋ねたが、詳細は答えられないと一言だけ答えただけだった。
内容を読みながらふと男性の方に眼をやると、その表情は冷酷さを通り越し狂気すら感じさせるものだった。決して崩れない柔和な表情がより恐ろしさを増している。
画面の下部には署名欄があった。
男性は署名は任意であると言ったが、男性の表情に拒否を許さない圧力を感じた。
僕には署名以外の選択肢がなかった。
僕がタブレット画面に署名と利き手の全ての指の捺印を済ませたのを確認すると、ようやく男性の表情から狂気と圧力が和らいだように感じた。
そして、僕が感じた通り男性の声色が変わり、これから本題に入る旨を話すと、タブレットを操作し別の画面を表示させ、僕に手渡した。




