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近未来ショートストーリー  作者: 横小路櫻
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任務遂行

私は24歳女性。政府公認の殺し屋だ。

今回がちょうど10回目の任務だ。


私は今仕事場で待機中。

これからターゲットが入ってくるとのことだ。


仕事場は政府が用意したワンルームマンション。


そしてメールの指示通り部屋に甘い香りを漂わせるべくアロマを焚く。


ターゲットは28歳の男性。

メールよるとこの部屋に入ると程なく浴室に入るらしい。


そして…、


メールの指示通りの時間に玄関の開く音がして、人が入って来た。

足音はゆっくり浴室に向かう。全くストーリー通りだ。


浴室の扉が開く音を確認すると、私も浴室に向かう。


脱衣場に入ると浴室が見え、男性が洗剤のキャップを開けようとしている。

しかし、力が入りにくいのかなかなか開けられないようだ。


それもそうだろう。焚いてあるアロマには筋弛緩剤の成分が含まれてあり、吸い始めて数分で効果が現れる。

万一抵抗にあった際にも対処出来るようにとのことだ。


もちろん、私は防毒マスクを被っている。


なんとか1つの洗剤の中身を出し切り、しゃがんた姿勢でもう1つの洗剤のキャップに手をかけた男性の背後に近づき、ストッキングを長く伸ばすと、それを男性の頸に巻き付けストッキングの両端を力一杯左右に引っ張った。


男性は驚いた表情で私を見る。

抵抗しようと私の手を振り払おうとするが、すでに筋弛緩剤が効いている彼の腕には力が入っていなく、子供よりも弱々しい。




程なく男性の身体が崩れ落ちた。



それを確認すると浴室から出て、次に脱衣場から出たとき、私の目の前に私と同じマスクをした男性が立っていた。


驚く私。

と、次の瞬間私の胸に何かがぶつかって来た。

激しい痛みを感じた。


男性の手には刃渡り20センチはあろうかというナイフが握られてあった。

私は何が起こったか理解出来なかったが、胸に手をあてると今の状況がわかった。


マスク越しに見える男性の表情は冷酷な笑みを浮かべていたがその表情には見覚えがあった。


誰だ?


そうだ、ハローワークでスカウトしてくれた初老の男性だ。


思い出した時、すでに私の身体は床に崩れ落ちており、視線も床をさまよっている。

意識が遠くなるのを感じた…。





翌朝、ニュースでは都心部のマンションで若い男女の変死体が発見されたと報じていた。

現場の状況から男性が女性を刺殺したあと、浴室の扉で首を吊って自殺した無理心中との公算が高いとのことだ。




そして…、初老の男性は今日もハローワークに入っていった。

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