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嫉妬
マンションは築2年程と思われるデザイナーズマンション、エントランスが大理石造りでそこかしこに装飾が施されており、無駄に豪華である。
エントランスは静脈認証型のオートロックの扉があるが、今回の依頼を受ける際に政府に静脈のデータを送信してあったので、難なく突破し、ターゲットの住む部屋へと歩を進める。
ターゲットの住む部屋は16階の角部屋だ。
廊下から見る景色は素晴らしいの一言だ。
事前に届いた部屋の見取り図を見る限り、ワンルームとはいってもLDKは20畳はあるだろう。さらに12畳はある部屋に、ウォークインクローゼットまでついてるようだ。
こんな所に住めるのだ。相当稼いでいるだろうことは容易に想像出来る。
こんないい暮らしをしてるんだ…。と思うと同時に自分よりも年下であるにも関わらず、自分よりも良い暮らしをしている彼女が妬ましく感じた。
今までいい思いをしたんだ。今僕の手で人生の終止符が打たれることになってもいいよな…。と考えている内に玄関の前に着いた。
読み取り口にスマホをかざすと鍵の外れる音がした。
僕はドアを開けるとゆっくり中に入った。




