表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
愛を捧げて  作者: 花恋
6/17

6、苦しき愛を

〜次の日〜

通学路を歩いてるとみんなの視線が集まってきているのがわかる。

ただいつもと違うのが誰も近寄ってこない所だ。

こっちをみてヒソヒソと朝から気分が悪い。

教室に入っても誰1人声をかけてこない。

そう、亜弓さえ…

「亜弓、おはよっ」

亜弓はこっちをみてからプイッとしてしまう。

…なんで?

「ねぇ、花恋ちゃん

嘘だよね?」

普段、私のまわりにいる男子の1人が声をかけてくる。

「えっと、何が?」

男子が恐る恐る取り出したものは昨日の遊園地でいっしょに歩いてる花恋と篤哉の写真だった。

手は繋いでないが割りと親密にみえる写真

これが原因か…

「会長とは何もないよ。」

「だったらどうしてこんな写真が?」

「友達と遊園地に行った。

それだけ、だけど。」

誰も信じていないみたいだ…

いったいこんな写真誰が…

教室に沈黙が訪れる。

「ねぇ、この写真誰がとったの?」

近くにいたクラスメイトの女の子に話しかける。

「朝、学校に来たら全員の机の中に入ってたの」

机の中…

みんなに、ばらしたかったって事か…

誰かが私を貶めようとしてる。

私を憎んでる人なんて、いっぱいいるだろうし…

特に女の子に!

「そっか…

写真、捨てといてね。」

篤哉に迷惑かけちゃったな…

でも、謝る事もできないし。

その時、

携帯が鳴る

着信はまさかの篤哉だった


〜くだらない噂がながれてるみたいだが、堂々としてれば問題ない。

俺も出来るだけ誤解をといておくから。

心配するなよ。〜


あんな事言ったのに篤哉は私の心配をしてくれる。

優しい人

でも、今の私にその優しさは罪悪感が募るだけだ…


昼休みになっても亜弓は話をしてくれない。

そのため、屋上で1人でお弁当を食べる。

何だか味気ない…

食べ進めていた箸を止め空を見上げる。

空にポツンと浮かぶ雲

他の雲から孤立している。

まるで私みたいだ…

今の私の横には誰もいない。

モテても意味なんてない。

そんな表面だけなんていらない。


ガチャ


「ん、誰かいるのか?」

いきなり入ってきたのは陸だった。

「わりぃ

誰もいねぇと思った…

出てくわ

じゃあな」

花恋の顔をみるなり、さっさと去ろうとする陸。

「待って!」

とっさに出た言葉が陸にちゃんと届いた。

陸は複雑な顔をしながら振りかえる。

「どうかしたか?」

「何もないけど

ちょっとだけ居てくれないかな?」

花恋の珍しい弱々しい姿に陸は腰を下ろす。

「例の噂か?」

やっぱり陸も知ってるようで、花恋は素直に頷く。

普段強気な花恋の素直さに気がついたら陸は抱きしめていた…

「大丈夫だ。

じきはれるさ、あんな嘘」

前の冷たさとちがい優しい言葉をかけてくれる陸に花恋は身体をしばらく預けていた。

篤哉と私がセフレの関係にあるなんて知ったら幻滅するよね?

バレないだろうけど…

「なぁ、会長も身体だけの関係なのか?」

まさかの言葉に花恋は陸を軽く突き飛ばす

「何言ってるかさっぱりわかんない!」

突き飛ばされた陸が少しずつ花恋に近づいてくる。

「俺、知ってたんだ

花恋と会長の関係…」

以外な言葉を呟く陸に花恋は驚きを隠せない。

「俺が中西にヤられた時、会長はお前を花恋って呼ぼうとした。

それに、会長の花恋をみる目は愛しい以外に例えようがねぇよ」

篤哉の目?

そんなのわかんないよ。

でも、私はそんなに愛してくれていた人を傷つけてしまったんだね。

改めて実感する。

罪ほろぼしのつもりなのか、目から涙が流れてくる。

「うっ……わ〜ん

ぐす…」

「おい!

大丈夫か?」

急に泣き出す花恋を陸はおどおどしながら、抱きしめる。

胸の中で頷きながらも泣き続ける花恋が陸は愛しくて仕方なかった…

陸は花恋の顎に手をそえ上を向かせる。

そして、ゆっくりと自分の唇を花恋のにくっつけた。

あえて、触れる程度にしかせずに流れてくる涙を口で拭っていく。

「他の男を思って泣くなよ…」

やっと理性が戻った花恋が陸を見つめる。

「陸…ありがと」

お礼を言いながらもクスクスと花恋は笑いだす。

「何だよ?」

「キス…優しすぎでしょ」

その一言に陸の顔が紅く染まる。

「うっせぇ…

あんな時にディープなキスして、どうすんだよ!

それとも、ディープなのがよかった?」

「うん!

中途半端より、全てを満たしてくれる激しさの方がいい。」

さらっと告げる花恋に陸は何だか負けたような気がして、悔しかった。

「じゃあ、してやるよ」

顔を近づけまさにキスしようとした時、

寒気がした。

辺りを見渡すとドアな所に人影が…

「沙織、待てよ!」

いきなりの事で花恋には何もわかんなかった。

でも、1つわかるのは陸が他の女の子を選んで行ってしまった事。

しかも、あの沙織とか言う性悪女を追って…


1人気持ちを下げていると、急いで階段をかけあがってくる音がする。


バンッ


「花恋!」

「亜弓…」

いきなり亜弓は花恋を抱きしめる。

「ごめんね…

ごめんね…」

亜弓は何を思ってるんだろう…

「亜弓、私こそごめんね…」

きっと誰よりも傷つけたよね

「会長が全て、教えてくれた

ごめんね…花恋も悩んでたんだね」

篤哉が…

「自分で話さなきゃダメだったのにごめんね…」

「ううん。

花恋、友達で居てね

嫌いにならないでね…」

涙を流しながら一生懸命うったえてくる亜弓に花恋は力強く抱きしめ返す。

「当たり前じゃん。

たった1人の親友なんだから。」

しばらく2人で泣いていだが、亜弓が身体を離す。

「私ね会長にフラれたんだ。

でもね、フラれた私より会長の方が傷ついた顔してた…

行ってあげてよ」

「でも…」

「花恋にしか出来ないんだから行って!」

亜弓は半ば無理矢理花恋を屋上から追い出した。

だって…

あんな事言われたら諦めるしかないもん。


1時間ほど前

「西川!」

いきなり亜弓の元に走ってきた会長。

「ど、どうかしたんですか?」

珍しく息をきらしている。

「北原と仲良くしてやってくれよ

全部誤解だから!」

いきなりの会長の発言に亜弓は驚きを隠せない。

「俺は花恋のセフレだった。

けど、写真を撮られた日、花恋は西川のために俺をフッた…

だから、花恋は悪くないんだ。」

会長が花恋って呼ぶだけで苦しいくらい嫉妬する。

内気な私に秘められた激しい恋心。

「会長は私の気持ちに気づいてたんですか?」

会長はメガネを軽くあげ、目線をしっかり合わせてくれる。

「あぁ、俺は西川の思いには答えられない」

「花恋が好きなんですか?」

きっと今ひどい顔してる…

会長を追いつめてるよね…

「俺は女子に触れれない。

唯一触れる事が出来る女が花恋だった。

そして、一方的に花恋を愛してしまった…」

花恋を責めるとこなのに、こんな会長みたら責めれないよ…

私には諦める道しかないんだね

「会長、これからもご指導お願いしますね」

精一杯の笑顔をつくり、会長の元を去る。

泣きたい…

けど、会長には笑顔を向けていたい。


「篤哉!」

やっとの事でみつけた、篤哉に花恋は叫びかける。

「どうかしたか?」

今までと何一つ変わらない優しさで接してくれる篤哉に胸が痛くなる…

「ごめんね…」

篤哉を人気の少ない場所に連れていき、いきよいよく抱きしめる。

篤哉は背が高いから私の顔が篤哉の胸のあたりになる。

そこから、聞こえるはやい心音…

それがどこか懐かしく心地良い。

「もう、いいよ。

俺はいずれ関係を終わりにするつもりだった。」

悲しげな顔をしながら、私を引き離す。

「…どうして?」

「お前が作ったルールだろ?

私に好意を持ってる男は近くに置かないって言ってたじゃん。

俺はお前を愛してしまった…」

普段クールな彼が私の前だけは、弱気になる。

そんな特別を彼女でもないのに味わっちゃいけないのかな…

「そのルールは…」

これ以上セフレを増やさないために言っていただけだった

実際、聖の気持ちも気づいてたし…

「お前に彼氏がいる訳でもないし、俺に彼女がいる訳でもない。

だからはじめは別に良いと思ってた。

でもな、この関係に心を挟むと案外辛いんだぜ…

身体が繋がっている時に言ってくれる

愛してる

って言葉も。

俺以外のセフレにも言ってるのかなって考えちまう…」

花恋はただただ篤哉の言葉に耳をかたむけていた。

そんな風に思ってたんだ…

私ってやっぱり残酷なのかな

きっと止めちゃだめなんだよね…

綺麗に失恋させてあげた方が篤哉のためになるんだよね?

「ごめんね…私は篤哉の気持ちには答えられない。

セフレからただのセンパイと後輩の関係に戻ろう?」

篤哉を手離すのは正直言うと辛い。

でも、この気持ちは恋愛じゃないから

「あぁ…

今までありがとう。

なぁ、最後に1度だけキスしていいか?」

しばらく続けたセフレの間で篤哉とキスした事なんて1度もない。

今が貴方にとって1番大事な時なんだね

「いいよ」

篤哉は花恋の腰に手をあて、優しく引き寄せる。

触れあった唇から感じる熱は、とても暖かかった

触れ合うだけのキスなのに、熱く感じる。

「ありがと…」

優しい口づけをして去って行こうとした篤哉に1つだけ、幸せを差し出す。

私からの精一杯のプレゼント

「中村センパイ!

私、セフレの中で愛してるなんて、言ったのセンパイだけですから」

振り返った篤哉は今までの中で1番優しい笑みを浮かべていた。

これは、優しい嘘なんかじゃない

ホントの話


篤哉との関係に終わりを告げ、家に帰ろうとした花恋は下駄箱をあけた。

そこに、入っている一通のピンクの封筒。

ご丁寧に北原花恋様って書いてある

また嫌がらせ?

恐る恐る封筒を手にとる。

その封筒には前みたいなカッターは挟んでない

中身もいたってシンプルな紙切れ一枚

開いてみると前と同じ筆跡で字が書いてあった。


〜北原花恋様〜

陸の事でお話したい事があります。

放課後、家庭科室で待ってます。

もちろん、陸にも同席してもらいます。

あ、そうそう来なかったらまた陸が怪我するかも知れませんね。

〜沙織〜


…何これ?

優しく書いて脅してんじゃねぇよ。

あ〜もうめんどくさい。

こんな事ばっかり

一体何を企んでるんだ?

自分が好きな人を殴る意味がわからない。

普通、殴るなら私でしょ?

こんなの行くっきゃないじゃん!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ