16、永久の幸せを
陸が居なくなって1週間がたった。
1週間はあっという間で長かった…
そう…わかんないんだ
でも1週間たってわかった事は陸が私にとって大きな存在だって事
当たり前の事なんだけど…改めて実感した。
けど陸の事だけを考える時間はなくなった。
良いのか悪いのか
大きな行事が迫ってるから…
「花恋
最近、元気ないけど…
どうかした??」
亜弓は私をよく見てくれてる。
だから変化に敏感だ
「うん…
今週の土曜日に中学の同窓会なんだ…」
「そうなんだ。
楽しんできてね。」
亜弓には出来るだけ笑顔を見せたが、そんな良い話じゃ無かった。
考えてみてよ…
私の過去が、愛しき人の死だけだと思う??
その後にもう一つトラウマがあるの…
「ハァ…」
誰から見てもわかる暗さをみて、クラスメイトが心配してくれる。
けど、花恋は
「ありがとう、大丈夫」
としか答えなかった。
自分の穢れが始まった黒歴史
それは中学にある…
同窓会1日前
「花恋、やっぱり変だよ。
どうしたの??」
亜弓に心配をかけたと思うと
少しは話さなきゃならない気がする。
「同窓会で会いたくない人がいて…」
かなり抽象的な言い方だったが亜弓はあえて何も聞かなかった。
「そっか…
まぁ無理に行く必要もないし、よく考えると良いよ。」
行くなとも行けとも言わない亜弓の言い方
きっと自分で決める事だって言いたいんだよね…
「うん、一晩考えるよ。」
翌日
花恋は考えた結果行く事にした。
いつまでも過去から逃げるわけには行かない
ちゃんと向き合わなきゃ
たどり着いた同窓会会場では
1番に会いたくない人が目に入った。
友人が
「花恋!」と
呼び掛ける声に気づき彼が花恋に近づいてくる。
「花恋か?
久しぶりだな。」
あの頃と変わらない雰囲気
嫌でも過去の記憶が頭の中で鮮明に蘇る。
愛しき人を亡くし、毎日が嫌だったあの頃
私に近づいてきてくれたのは彼だけだった。
「俺さ…花恋ちゃんを支えたいんだよね
俺じゃダメかな??」
孤独で寂しかった花恋の心に彼の優しさが染み渡る。
2人が仲良くなるのに時間はかからなかった。
そして、花恋と彼は身体の奥まで結ばれた。
けど抱き合ってから彼は急に冷たくなった。
メールも電話も無視
そしていきなり届いた
「別れよう」ってメール
納得が出来なかった花恋な彼の一人暮らしの部屋に訪れた。
そこで花恋の心は折れた…
「何してんの??」
部屋に入り声を震わせながらきく。
すると素っ気ない答えが返ってきた。
「何って
どっから見てもセックスだろ。」
鼻で笑うような言い方
ベッドにいた女の子は、こっちを見ながらクスクス笑っている。
「だぁれ?
あ、もしかして
貴方が彼女と勘違いしてた人?」
突然告げられた衝撃の一言
「え…
勘違い…」
ボソッと、女の子が言った言葉を頭の中で繰り返す。
「そうだよ。
ヤる事を目的で声かけた女
超長かった…
まぁ初めてだったらしいから、締まりはよかったけどな。」
えっ
優しさも愛の言葉も全部嘘??
花恋はこの場所に居る事が耐えれずに逃げ出した。
彼とはそれ以来会ってなかった
でも確実に私を壊した男
私に愛の儚さを教えた男
「久しぶりだね。」
あの頃とはちがう
そう言い聞かせてるのに何故か声が震える。
大丈夫…もう弱くない
そう言い聞かせても怖い
彼を見る事自体が恐い
「お前綺麗になったな…」
ちがう
こんなの落とし文句
いつもの事じゃん
落ち着いて
少しでも冷静でいる事に必死だった…
そんな花恋に気づいたのか彼はいきなり花恋を抱擁する。
「ちょっ…やめ」
嫌がる花恋の耳元で彼は囁いた。
「ずっと後悔してたんだ。
なぁ花恋やり直さないか??」
愛しき人を失った時と同じ甘い囁き
まるで身体が崩れおちそう
耐えれない
そう思った瞬間
「キャ〜」
女の子の歓喜の声が聞こえる。
初めて出会ったあの時みたいに彼は歓喜に包まれていた。
「俺の彼女に触れんなよ。」
軽く振りかざした手から危険を察したのか身体を離される。
急に離されてバランスを崩し転けそうな時に陸がサッと支えてくれる。
「大丈夫か?」
心に勇気を与えてくれる。
彼の暖かさ
「陸…」
名前を呼ぶと陸は優しく微笑んだ。
陸は花恋の手を握りながら、トラウマの男の元へ連れていく。
花恋の恐怖を感じたかの様に陸は手をいっそう強く握りしめてくれる。
「今後、俺の彼女に手を出したらブッ殺す!
花恋、行くぞ。」
男は陸の勢いに圧倒され何も反抗が出来なかった。
何も言わずに会場をあとにしたまま陸は花恋を離さない。
「ちょっと
陸!
どこ行くの?」
黙々と歩き続けてた足がやっと止まってくれる。
「俺んち。
俺の事話すから花恋も全部聞かせてよ。」
私達は全てを話し合ってこそ彼氏と彼女の関係になれるのではないだろうか?
連れていかれたのは1LDKのマンションの一室
部屋の中にはまだダンボールがあって引っ越したてみたいだ。
「俺さ両親が離婚したんだ。
で、母親が実家に帰るって言ったから一度は九州に行った。
けど俺はお前なしの生活は耐えれなかったんだ。
だから母親説得して来た。
お前の為に」
ギュッと包まれた腕の中は私が最も望んでいた暖かさだった…
陸は私を強くしてくれる
そして、女にしてくれる
「全部話す…
私ね愛しき人を亡くしてから彼と付き合って
それでヤリ捨て去れたんだ。
初めてだったのに…」
陸はいっそう強く抱きしめ、優しい言葉をくれる。
私が幸せになれる言葉を
「そっか…辛かったんだな
俺はそんな事絶対にしないから。
大切にするから。
だからもう一度俺の彼女になってくれ。」
こんな優しい人を誰が断るの??
今が何よりも幸せだよ
「私も大好きだよ。」
すると陸はサッと身体を離す。
「何か飲み物とってくるかな…」
そう言って離れようとした陸の腕を掴む。
お互いを知ったなら身体まで知ってほしい
セックスは最大限の愛情表現だから
「ねぇ抱いてくれない??」
振り返った陸は返事をせずに花恋を抱きしめ、ベッドに軽く押し倒す。
花恋は愛しき人の元で乱れ最高級の幸せを手に入れた
全てが満たされる
そんな幸せを
「り…く………愛してる……」
「あぁ……俺もだよ…」
翌日
「キャ〜りく〜」
陸の姿を見つけた女の子がすぐに集まってくる。
「何で居るの??」
なんて質問に陸は、うもれた花恋を引き寄せながら答える。
一切恥ずかしそうな表情なんてせずに
「愛しの彼女が居ない場所は耐えられないから」
そう言って見せつけるように、ほっぺたに軽くキスをする。
そんな事に慣れない花恋は陸の手を弾く。
「ちょっと止めてよ…」
すると陸は逃げれないように後ろからスッポリと花恋を抱きしめる。
みんなの前って事もあって花恋の頬が真っ赤に染まる。
「わぁ〜お。
ツンデレちゃん」
「照れてなんか無いし」
皆が2人の仲睦まじい様子を見ていた。
「おい、そこのおまえ!
学園の風紀を乱す行為は止めてもらおうか。」
生徒会長として誇りをもってあらわれた男
篤哉
誰よりも不器用で、誰よりも優しい人
私を最後まで支えてくれた人
「不純異性交遊ですか〜??」
陸がふざけて問うと篤哉は余計に怒り出す。
「そんなのはどうでもいい。
お前の恰好の話だ。
ネクタイをきちんとつけろ!」
陸はめんどくさいと言ってネクタイを着けていなかった。
どうやらそれを言ってるみたいだ。
「転校生なんだから勘弁してよ。」
そう言うと篤哉はメガネを軽く上げながら
「そうか
だったら転校生には放課後我が学園の風紀をみっちり指導してやろう。」
と、言ってきた。
陸が嫌な顔をしながら反抗しようとした時女の子が間に入ってくる。
「会長も陸くんもストーップ!
はい、ネクタイ着けて、ねっ。」
陸はしぶしぶ差し出されたネクタイを着ける。
「会長、これで良いですよね?」
女の子なのにしっかりしていて、可愛くて頭が良い。
亜弓
世界にたった一人の私の親友
「あぁ、今日の所は勘弁してやる。」
そう言って篤哉は去っていった。
「花恋、よかったね。
陸くんが戻ってきて。」
優しい顔で微笑んでくれる亜弓を抱きしめる。
すると、後ろから声がきこえてくる。
「花恋、より戻したなら早く皆に言ってあげてよ。
ラブレターがてんこ盛りなんだ。
もう、整理が大変でさ。」
聖
一途に私を愛してくれた人
大事な友達
「ごめん。
いつもありがとうね。
これからもよろしく!」
聖は花恋を抱きしめようと手を伸ばす。
けど、誰かにその手をはらわれる。
「ダメだし。
花恋には幸せになってもらわなくちゃ。」
祐樹
陸と引き離してでも私を幸せにしようとしてくれた男
「停学、今日までだっけ??」
未だに聖の腕を掴みながら祐樹は笑ってくれた。
「あぁ
心配かけたな。」
あんな事があったけど、やり直せる。
それを教えてくれた。
「貴方じゃなかったら作戦成功してたかも。」
沙織
私達を何としてでも別れさせようとした女
精神科に通ってたハズなのに??
「何で居るの??」
すると沙織は笑いながら言った。
「陸中毒が治ったから。」
その声に少し離れていた陸が反応してやってくる。
「人のせいみたいな言い方すんなよ!
お前が勝手になったんだし。」
ふざけてる2人と違い花恋は不安で仕方なかった。
そんな気持ちを読み取ったのか沙織が鼻で笑った。
「いつまでもこんな男の事見てないわよ。
彼氏出来たし。」
沙織が腕を組んでいる男は、花恋に嫌がらせをしてる時でも沙織を守ってた男だった。
人は、時間がたてば変わる事もある。
それが普通だ
けど私達の思いは永遠
それを沢山の人が愛をこめて教えてくれた。
だから私は陸を愛し続ける
皆さんは愛の大切さを知っていますか??
(完)
今まで読んでくれてありがとうございます^^
ちょいディープな話になっちゃったから
次作は軽く・・・は無理かww
まぁでももっと明るいのがいいかな☆
ちなみに主人公が花恋になってるのは偶然であって
何の関係もありませんww
ではまた違う作品で会えたら
幸せです^^