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愛を捧げて  作者: 花恋
15/17

14、複雑な運命を


花恋と陸が別れた噂は瞬く間に広がり、また靴箱の手紙は大量になった。

けど、キッパリ篤哉と付き合う事を言い続け1週間

やっと元の平和が戻ってきた。

1つを除いて…


花恋と篤哉が付き合っている話が校内に広がった時、もう1つ皆の注意を引く話があった。

花恋と別れた陸が彼女を作ったという話

聞いた時はショックだったけど、相手の噂は3人ぐらいいて

長続きはしないみたいだ。


でも、自惚れたりしない

今も自分を好きだから続かないなんて決して考えない様にしている。


篤哉と付き合い出して、花恋は生徒会を手伝う事が多くなった。

初めは亜弓を気遣い悩んでいたが笑顔で迎えてくれるので、気にしない事にした。


「花恋!」


生徒会室へ向かう道で不意に声をかけられる。

懐かしい

そんな声に花恋は振り替える。

相手は勿論わかってる。


「聖…」


見るからに不安そうな顔をする花恋に、聖は優しい笑顔で告げてくれる。

まるで不安全てを取り除く様に


「おめでとう。

きっと会長は花恋を幸せにしてくれる。」


大切な友達に言われて嬉しいはずの言葉

でも相手は…

大切な人に祝福されない虚しさ

そんな些細な事が胸をズタズタに引き裂く


「私もそう思う。

ありがとう。」


涙ぐんでいるのは嬉しいから

決して悲しくなんてない


「じゃあね。

お幸せに」


幸せに

そんな言葉を何度望んだ事だろう…

でも彼との間に起こるのは問題ばかり。


陸と昼ごはんを食べる事が無くなったので、今はまた亜弓と食べている。

たしょうぎこちなさは残るものの、だいぶ自然になってきた。


「花恋、今幸せ?」


皆同じ事ばっかり…

幸せかって…

幸せとしか言えないでしょ

世界には恵まれない子供達が沢山いる


な〜んて事が通じる真面目っ子だったらよかったのに


「幸せだよ。

私、愛するより愛されたい派だから。」


これはホントの気持ち

偽りなんかじゃない


「そっか…

だったらもっと笑ってあげてね。

会長の前で。」


亜弓の会長への一途な思いがヒシヒシ感じられる。

ごめんね亜弓

今私は彼を手離せない

彼を身代わりにしてる事ぐらいわかってる

けど彼を失えば私は全てを失い壊れる


今日の放課後、生徒会の仕事は皆お休み

亜弓も誘ったけど断られ篤哉と2人で帰る。

まだ2人の間には縮まらない距離がある。


そんな2人の後ろからカップルが近づいてくる。

後ろから聴こえてきた声だけでわかる。

陸だ…

彼女また変わったんだ…


「り〜く

手繋いでいい?」


ぶりっこな女の子が陸に問いかける。


「いいよ。」


そんな2人が花恋と篤哉の横を全くみずに通りすぎる。

もう私の事なんて何とも思ってないんだ。

そんな事を考えているといきなり、篤哉が手を目の前に出す。

意味がわからない

そんな顔をしていると


「あいつの事なんて見んなよ!」

って言われる。


その表情は一生懸命そのものだった。

きっと彼なら私を大事にしてくれる。

きっと彼なら好きになれる。


「ごめんね。」


謝んなよ

そう言おうとしたが花恋がまだ話をしたそうだったので、言わない事にした


「私、もう篤哉をとおして陸を見ない。

篤哉だけを見る。

ちゃんと向き合う。」


花恋が慎重に言葉を選び告げてくれた言葉が余りにも嬉しくて篤哉は花恋を抱きしめた。

愛しい

その言葉しか見つからない


でも花恋はこの時まだわかっていなかった

好きになるって言って好きになれる物ではない

恋は本能的な物だ…


花恋と篤哉は付き合い出してから一度も身体を繋げていなかった。

花恋は全く何も考えず聞いてみた


「ねぇ、何で私を抱かないの?」


普通の男なら簡単に崩れそうな理性をしっかり持ち、篤哉は花恋の問いに答える。


「身体だけの関係に戻りたくないし

それに心が通じあった時に抱きたい。」


普通に見える答え

でも、それって私はまだ篤哉を好きになってない事がわかってる言い方だね。

篤哉がわかってて付き合い出した事は知ってる

でも何も考えずに付き合っていれるほど性悪じゃないよ…


休み時間

亜弓は日直で先に行ったため、1人で移動教室に向かう。

陸にフラれた時に醸し出した雰囲気が原因で、未だにクラスメイトは少ししか近づいて来ない。


1人虚しく廊下を歩き階段を降りようとしたその時


ツルッ


「キャッ

ヤバッ」


ボスッ


何故かびしょ濡れな階段で滑り階段から落ちてしまった

でも痛みはない


「あのさ、いい加減どいてくれない?」


不意に後ろから言われた声に振り替える。


「キャーーー」


り、りく

何でこんな所に


「俺は天然記念物かよ。」


何て言いながら陸は去っていった。

よく見ると少し向こうからクラスメイトが走ってくる。


「花恋ちゃんわりぃ」


目の前で手を合わせ頭を下げられたが意味がさっぱりわからない。


「な、何が?」


やっと頭を上げたクラスメイトが事情を説明してくれる。


「実はさ、ダチと遊んでたらバケツの水を溢しちまって…」


だからこんなにびしょびしょだったんだ…

納得はしたけど運悪いなぁ…


「わかった。

気にしてないから良いよ。」


「怪我もないみたいでよかった。

陸がとっさに飛び込んでくれたしな。」


…?

陸が飛び込んだ?


「偶然じゃないの?」


花恋にクラスメイトは首を横に降りながら答えてくれた。


「ちがうっすよ。

花恋ちゃんが滑った瞬間陸が離れた所から飛び込んだんすよ。

かなりのファインプレーだな。」


誰にでもする優しさ?


それとも…


まだ私は特別なの?


篤哉を見る


そう誓ったのに陸の事しか考えられない

フッたくせに忘れさせてくれない。

貴方も残酷ね…


花恋が滑って階段を落ちた事をきき、篤哉はすぐに現場に向かっていた。

現場には元気そうな花恋がいて安心した。

けど花恋は陸の膝の上だった…

あからさまな態度の花恋

ホントはすぐにでも近づき陸から奪いたかった

でも花恋の頬の紅さが行動を邪魔する


わかってたつもりだった。

花恋がまだ陸を好きな事

でもこの目で見ると辛いものだな…


篤哉は何も見なかったフリをして教室に帰っていった。


〜放課後〜

花恋は放課後になると1人の人物に向かって歩き出す。


「あれ

どうしたの?」


昼の事件を知っていても何もきかない亜弓

でも今は貴方に相談したい

心から信用できる女友達に


「あのね…今日、生徒会の仕事休めない?」


ホントは罪悪感でいっぱいだった。

亜弓は真面目で毎日生徒会に行ってるから…

でも亜弓は真剣な花恋の表情を見て悩みもせずに、うんと返事をくれた。

仕事を休ませちゃったのに亜弓はどこか嬉しそうだった。


放課後2人で訪れた場所はよく行っていたカラオケ。

でも歌は歌わずに話を始める。

直球に

何一つ隠さずに


「私ね…陸の事まだ好きなんだ。

ホントはこんな事言っちゃダメな事ぐらいわかってるよ。

篤哉を身代わりにしてるって事だし。

でもね、消えないの。

私の中にある陸への気持ちが。」


勢いよく言いきって息を切らしていると亜弓がジュースを勧めてくれる。

その優しさを素直に受けジュースを飲んでいると亜弓は、噛み締めるように話し始める。


「私は花恋が幸せならそれで良いよ。

たとえ、会長がフラレる事になっても花恋の幸せが1番なの。

花恋はいつだって人の事ばっかり考えてて。

自分の事を考えない。

だから今回ぐらいは自分の幸せを考えてあげて。」


自分の幸せ…

他人ではなく自分の

他の人なんて関係ない

だったとしたら私が望むのは…


「私、もう一度陸と付き合えるように頑張る。

陸が好きだから。」


嘘偽りのない正直な気持ちを亜弓は笑顔で受け止めてくれた。


次の日花恋はすぐに篤哉と話をした。

でも想像どうりに


「今花恋を手離す気はない」


と、キッパリ言われてしまった。

でも諦めるつもりは微塵もない。

言い続ければきっと納得してくれる。

花恋は篤哉の優しさを疑わずに信じていた。

けど何もかもが、うまくいくわけがなかった。


篤哉に別れたい事を言い続け早1週間

一度良いところまで行ったが、ある時を境に頑固になった。

何か訳でもあるのだろうか?


「ねぇ亜弓

篤哉って意外に頑固だよねぇ?」


あれ以来2人の溝はなくなり元通りの仲の良さに戻った。

そんな2人の柔らかな雰囲気に段々花恋に話しかけてくれるクラスメイトも増えた。

全部亜弓のお陰だね。


「そうだねぇ。

割と自分の意見を貫き通すタイプだよね。」


惚れてる弱味じゃないけど

何と言うか…


「良く言いすぎだよ。」


呆れるような言い方をした花恋を亜弓が笑い、

笑った亜弓をみて花恋が笑った。


「あ、もうこんな時間だ。

今日さ、会計の書類を提出しなきゃいけないから、またね。」


最近、生徒会に行くのを止めた。

篤哉は来いって言うけど出来るだけ距離をおきたいから


花恋と別れた亜弓は急いで生徒会室へ向かう。

急いで来たものの生徒会室は空っぽで誰も居なかった。

亜弓は仕上げてきた書類を篤哉の机の上におく。

その時1つの書類が目に入った。


「何これ…」


ガチャ


会長には書類を提出してるように見えたみたいで、ただ

「お疲れ様」

と、しか言わなかった。


「今日は、遅いんですね。

何処かに行かれてたんですか?」


適当に流されると思っていたが会長は、ちゃんと答えてくれた。

それを嬉しく思うと同時に、恋愛対象じゃない事を実感し悲しくもあった。


「あぁ…

花恋の所にな。

忙しいって逃げられてしまったが。」


逃げられたくせに笑っている会長に亜弓は厳しい所をつく。

わざと嫌味っぽく


「笑っている理由はあの書類ですか?」


さすがに会長も予想外の質問に驚いてるみたいだ。

亜弓も複雑な気持ちだった。

見た事がバレるし、会長を傷つけるし

でも花恋の為、そう思うと口からスムーズに言葉が出ていく。


「見たのか…

花恋に話すつもりか?」


「いえ、会長に話していただきたいです。

花恋に会長が自らお話になってこそ意味があるので。」


はいと答える事を予想してた

そんな表情をする会長


確かに花恋の幸せになる方法は考えてる。

でも、どこまでも2人の間にズカズカ入るつもりはない。

あくまで2人の問題だから、最後は2人で解決しなければならない話だ。


「俺は花恋に話すつもりはない。

こんなチャンス二度とないしな。」


もう一声かな…


「会長はもう花恋を傷つける事が出来ないハズです。

それでは、仕事が終わったので失礼します。」


会長は後輩からこれほど嫌味を言われてブスッとしていた。

亜弓はその顔をみて、クスクス笑いながら出ていった。


篤哉はしばらく仕事が手につかず花恋の事ばかり考えていた。

何度考えても思い出すのは作った笑顔

そして時々みせる寂しげな顔

俺は花恋に何をしてあげていたのだろうか?

花恋を幸せにする

そう言って陸から奪ったのに、俺は一度も笑顔に出来てない。


ならば俺が出来る事は…

携帯を取り出し花恋にメールをする。


〜来週の日曜日

デートしないか?〜


〜いいよ〜


来週の日曜日

それは花恋の運命を変える大事な日となる。

来週の日曜日の重さを知っているのは、篤哉

亜弓


そして陸


3人だけである…


続き遅くなってしまってごめんね。

さらっと次話いきまっせ

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