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第一八章:シアンとクララ

今回はシアンとクララのお話です!

クララの意外な過去が明らかになります。

二人はどうなってしまうのか……

シアンはクララを部屋まで案内していた。

廊下はランプがついており仄かに明るい。


「あの……」

「今日は色々とご迷惑を……」

クララはシアンの後ろを歩きながら、

改めて謝罪した。


「問題ありません」

「あなたがいたおかげで、」

「全員無事だったのですから……」

シアンは振り向かずに淡々と話し続ける。


「あとで聞きましたが……」

「アリシア様は飛び出したそうで……」


「今後はどうされますか?」

「実家まで送りましょうか?」

部屋に着いた二人は、

中に入っていく。


クララは床に荷物を置き、

ベッドメイキング中のシアンを眺める。


「まだわかりません……」

綺麗な背中……


「そうですか……」

二人の間に気まずい雰囲気が、

漂い始めている。


「でも……」

「あなたが好きなんです……」

あー……

言っちゃった……

クララは内心後悔していた。


「え?」

「それは……」

シアンはどういう意味なのか。

一瞬わからなかったようだ。


「そういう意味です……」

「一目惚れでした……」

クララはシアンにゆっくりと近づいて……

両手を優しく握りしめた。

クララの手は握るときに、

少しだけ震えてるのがシアンに伝わる。


「私は……」

「ど、どうすれば……」

シアンは動揺しうろたえてしまう。

繋がれた手を振りほどくこともできない。


「あたしも……」

「本気で恋したのが初めてで……」

「よくわからないんです」


でも諦めたくない……

勝ち目がないのは、

明らかだけど……


だがクララは、

後悔だけはしたくなかった。


「困りましたね……」

シアンはどう声をかけたら、

いいのかを考えている。

顔つきが少し険しくなってしまう。


「ごめんなさい」

「急に告白って……」

「……気持ち悪いですよね」


いきなり告白と手を、

握るのはまずかったよね……

クララはショックを受けて、

表情がこわばる。


「いえ!」

「そんなことはないですよ!」

慌てて否定するが……

いつもより声が高くなってしまう。


「シアンさんは……」

「アリシアさんが好きなんですよね?」


馬鹿……

あたし何聞いてるの……

どう考えても自滅するじゃない……


「私は……」

「アリシア様の幸せを、」

「一番に願っています」


「もし他の人が良いと選ばれるなら……」


「そしたらシアンさんはどうなるの?」

「ずっと辛いままじゃない!」

「永久に片想いなんて……」


ああ……もう無理だ……

耐えられない。

この人は諦めようとしてる……

自分の気持ちを……


「あたしはずるい人間です……」

クララはシアンを、

正面から抱きしめていた。


「そんなことは……」


「嫌だったら……」

「転移魔法で、」

「外に飛ばすなり……」

「殴り飛ばしていいから……」


「絶対にしません……」

「ただしクララ様……」

「まだ何か隠してませんか?」


「どうしてですか?」


「独特の雰囲気と魔力ですね」

「勇者の頭の中を覗き見たので……」


「バレちゃったら、」

「仕方ないですね」

「あたしも実は転生者なんです……」


声が少しだけ震える。

クララは拒絶されたくないと考えていた。


「やはりそうでしたか」


「ここであたしを始末しますか?」


「間違ってもそんなことはしません」


「ありがとうございます」


「ちなみに……」

「昔の名前をお伺いしても?」


「えっと……」

「ルリコです……」

久しぶりに昔の自分の名前を言ったな……

少しだけ懐かしかった。


「透き通った綺麗な名前ですね」

名前を褒められるとは思っておらず……


「あ、ありがとうございます……」

「祖母がつけてくれました」


「あなたも女神様から能力を?」


「特にチート能力は貰ってません」


「え?」

「では何を?」


「運命の人に出会いたいと……」


「それはまた……」

「とんでもない願い事ですね」


「あたし元々のセカイでも……」

「恋とか愛は……」

「理解できなかったんです」

恋を知る前に働き過ぎて……

過労死したとは言えない……


「なるほど……」

「私も同じようなタイプです」

「今は多少マシになりましたが……」


「恐らく女神様が……」


「いえ……」

「その先はやめておきましょう」


「ごめんなさい……」


「謝る必要はありません」

「良かったら、」

「ここに住みませんか?」


「実家に帰るくらいしか、」

「用事もないでしょう?」


「え?」

「いいんですか?」


「大丈夫です」

「好きなだけいてください」

「似た者同士ですからね」


「今晩はゆっくり休んでください」

「この話は二人だけの秘密にしましょう」

「ルリコ様」

人差し指を唇の前に、

そっと重ねて微笑む。


「はい……」

「ありがとうございます」

「シアンさん……」

「おやすみなさい」


「おやすみなさい」

「良い夢を……」

「ルリコ様」


シアンは部屋から出て、

廊下を歩き角を曲がったところで、

座り込んでため息をついてしまう。

「はぁ……」

「困りましたね」


一方部屋の中でクララは、

ベッドに倒れ込んで悶絶していた。


「何やってるんだろ」

「あたし……」

「でも昔の名前で呼んでくれた……」

「これ脈ありなのかな……」


二人はお互い深いため息をつきながら、

悶々とした一晩を過ごすことになる。


クララの片想いが報われるといいのですが……

今後の展開に期待してくださいね!

引き続き応援よろしくお願いします!

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