女子高生士族の胸の内
挿絵の画像を作成する際には、「Ainova AI」を使用させて頂きました。
私こと岩屋茉穂も、この春でいよいよ高校生。
志望校の合格通知が届いた時には天にも登る程に嬉しかったの。
だけど書類手続きや制服の採寸等で春休みが過ぎ去り、入学式を経て通常授業が始まる頃には「何か物足りないな…」と感じるようになったんだ。
授業にはついて行けているし友達も出来たし、それに制服のセーラー服も堅実な感じがして悪くない。
だけど惜しい事に、私の高校では本差の帯刀が校則で禁じられているんだ。
せっかく士族の家に生まれたのに、十五歳にもなって躾刀の脇差しか差せない。
これって残念だよね。
家で愚痴っても、あまり意味はなかった。
「仕方ないでしょ、茉穂。生徒手帳にも書いてあるんだし。」
「学校には士族じゃない子もいるからね。大小二本差を威圧的に感じる子もいるんだよ。」
両親の言葉も、分からなくはないけど。
それより惜しかったのは、華美な刀装具も校則で禁じられていたって事だよ。
「あ〜あ、せっかく堺伝匠館の売店でお洒落な鍔と目貫を買ったのに…」
御年玉で買った刀装具だけど、校則じゃ仕方ないね。
だから私は、今日もシンプルな脇差だけを帯びて登校しているんだ。
ビシッと二本差で登校するのは、大学生になるまでの辛抱だね。