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庭に輪が!  作者: アンチエイリアシングジジイ
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第二の人生船出の準備

 連休も終わり夫婦だけの日常に戻った。室内では若い姿でいるので魔素の輝きと相まってキラキラ感が半端ない「私には魔素が見えないのよ」残念そうに女房が言う。渡航の準備で最も必要なものは戸籍の取得だ。二人分作らなくてならない。


 戸籍の管理は、ほぼ100%電算化されているので、戸籍システムにログインするためのパスが必要である。また操作記録ログの抹消も必要だ。更に、住民票と戸籍は、ほぼ連動しているので住基ネットの改竄も視野に入れておく。個人番号は住基ネットと連動しているのかな。


  俺は、ハッキング手法についてネットから情報を集めた。プログラミング技術、ネットワーク構築などハッキングに必要となる全てを一から学ぶ必要があったので、強化した脳と並列思考をもってしても技術習得に半月ほどの時間を要した。


 嬉しい誤算は、この勉強の終わりには、ハッキング魔法というべき能力を獲得していた。この魔法は、関係する部署のシステムで、必要な現象をイメージするだけで完了する優れものだ。当然、侵入記録や改竄記録も残らない。


 我々の別戸籍は、戸籍台帳の鬼籍簿から係累がなく20歳ごろの子供がいても問題ない者を探し、その鬼籍簿に自分の出生記録を書き加え更に戸籍台帳を作成する。また、住民票システムも改竄したが、住民票は移動すると戸籍台帳に移動履歴が報告されるので、不一致がないよう注意する。住民票は後に作成する履歴との整合性を取る必要もあるので、並列的に履歴書を作成しながら住基ネットに改竄を掛け、戸籍システムも連動させる。


 俺の新たな戸籍は宮城県北部の耕地村で、今は限界集落になっている住民を使い三木原慧とした。女房は宮城県北部の金富町の山間集落の住民で福原遥美にする。二人には県内を2~3か所ほど転々と移動させた。最終的な住所は渡航に必要なパスポートやビザを受ける為にも現在の住所とした。親が古い知人で間借りさせているとの説明であれば不自然さはない。


 小・中校の記録は特に準備しないが、高校卒業資格は高認(旧大検)で得る予定である。来年の渡航とするので年齢設定は17歳とする。アメリカの大学を受験する予定なので、試験を受けるために必要なトフル、SAT等の受験、アイビーリーグであれば面接や推薦状も必要になる。これらの準備をしている中で、嬉しい能力を獲得した。ラノベ定番の鑑定である。


 アカシックレコードの無い(ハズ)この世界では、多くの知識を蓄えなければいくらイメージを働かせても、鑑定能力など発現しないようだ。この鑑定は不思議な能力である。初めは情報量も少ないので役に立たないと思っていたが、例えば、人物を鑑定すると

名前 ー

年齢 ー

性別 男

職業 ー

状態 健康

と、聞かなければ分からない名前、年齢、職業がーなのは理解できるが、何故状態に記載があるのか。推測すれば、鑑定する時は無意識に魔力を放射し、その魔力の反射を受けとり鑑定能力が判定しているのではないか。更に、各項目は、ラノベによくある項目で自分が無意識に参考にした様で、レベルは自分で無理と思っていたので項目に現れなかったのではないか。


 そうであれば、項目は鑑定者のイメージにより設定されるものであるかも知れない。であれば、鑑定能力が成長し、能力、危険度や信頼度をイメージすれば表示も可能となる理屈だ。これは、急ぎ鑑定を成長させ検証してみよう。


 アイビーリーグ受験に必要な推薦状を得るため司法試験を受けることにする。司法試験は、静から受験制度が変わったと聞いていた。予備試験コースでの受験なので先に予備試験に合格して司法試験の受験資格を取る必要がある。予備試験はもうすぐで司法試験は9月である。


 試験に合格すれば知合いの法学部教授にお願し推薦状1通は貰える。もう1通は、トフルやSATで満点に近い成績を取り、推薦状を書いてくれそうな教授を紹介してもらおう。面接はどうするか米国大学機構にでも相談するか。


 米国への渡航旅費や大学費用、生活費など今後相当な資金が必要になる。俺は、その資金調達に自信があった。FX(為替)取引だ。俺は、ただ積んでいるだけの退職金から1千万円を使った。脳強化と並列思考を試す、レバレッジを200にして米ドルの現在価格1ドル103.7円を19百万通貨分買い、4画面上に株価や原油取引などの指標となる相場を出す。米ドルは下げ場なので売値103.1円に設定する。


 売却が成立し、1通貨が0.1銭のスプレッドで計算すると取扱会社に190千円を支払い、11.4百円の利益となった。この取引に要した時間はわずか3分だ。1日で20億円の利益など簡単だった。


 女房と二人で精力的に準備を進め高認資格を取った。トフルは満点、SATも満点の成績であった。ところが、米国大学機構に面接について相談した処「高認資格では公立大学には受験できないところがありますよ」と担当者から知らされる「ですが、著名な私立大学であるハイーバード、ストンフォード、プリンス、シーカーゴ大学などの入学条件には【高校卒業と同程度の学力を有していること】という記述しかありません。貴方達ならこれらの大学であれば間違いなく合格できます」とのお墨付きを貰った。


 更に、米国大学機構の担当者から「ハイーバードを選ぶなら、入学に必要な残りのエッセイ、推薦状2通、面接のうち、面接者については日本に住むハイーバード大学の卒業生を紹介します」と積極的だ。紹介する面接者は、我々の年齢に近い年代の卒業生になるとのこと「司法試験に合格したならば、推薦状についても機構がサポートします」とのことなので懸念が無くなった。


 大学への出願時期は、11月から12月末で手続きはすべてインターネットで行うことができるが、出願までに大学が課すエッセイを準備するなど出願前が大事である。司法試験は予定どおり受け二人共合格した。なので推薦状は機構にお願いした。エッセイは二人共【人生の目標とその動機】について、論調に仕上げた。11月末、提出する全ての資料が整い手続きをする。面接日程は後日通知される。


 色々準備で忙しい日々を過ごしていて余り気にしていなかったが、少し可笑しな事に気付いた。家の近所では、欺瞞で元の姿に見せているが中身は20歳バリバリの健康体だ。買物で出歩けば可愛い女性やお色気のある人妻にも出会う。本来なら「お近づきに成りたいな」とか「いい女だなあ」と思うはずだが元の68歳時の気持ちと同じで何も感じないのだ。昔の若い頃なら女房が傍にいても、少なくとも目で追いかけたりしたものだ。今は全くそんな気にならない。


 人生やり直すのに気持ちが68歳ってないだろう。これも魔法でなんとかできるんだろうか(女房に、心の問題を確かめたいから別な女性と付き合って良いかって言えないよなあ~。折角立派なものを準備したのに!)出るは溜息。女房が「どうかしたの?」と聞くが答えようがない。



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