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庭に輪が!  作者: アンチエイリアシングジジイ
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不心得者へは反撃を 

 本日は論文の実証だ。計測まで立合うので時間が掛かるだろう。9時に大学に着く。前回と同様に学生課職員に案内され会場に入る。実証物も持参している。前回と同じ教授だけと思ったが違った。実証物のデータ計測の為に人員が駆り出されている「お集りの皆さんおはよう。早速だが、実証物の計測を始めよう。ケイミキハラ君実証物を提出してくれ」ロバート・ウォールディンガー教授が言う「分りました」初めに『非接触状態における通電現象理論』の実証物を提出する。教授たちはそれを計測するための設備に設置する。次に『新素材による超高温超電導現象の実証と理論解明』の実証物を提出し別な班が計測する。計測が始まるまで2時間ほど掛かる。


 相変わらずコッヘル・ガードナー教授の悪意が反応する。思考を読むと(こいつ等どうなっている。特に変わった様子がない。失敗した奴らは屋敷にも入らなかったのか?侵入されたことも気付かないとか?)思考が堂々巡りしている様だ。更に(この様子では実証試験は成功するだろう。此方はどうするか。実証された後では、特許出願も受理されていることだし強硬手段は意味がないか)少し安心材料が出て来たか。いや搦め手に変更か。


 実証は成功し論文が正しいと確認された。当然今まで使われていなかった理論も正しいことが証明された。1つの論文で複数の理論が正しいと証明されのだ。勿論、超高温超電導現象を起こす新素材も認定された。この新素材は驚くことに290Kの温度で超電導状態になるものだ。間違いなく大学からマスコミへ発表するよう促される。プレゼン資料も作成しているから問題ない。プレゼンの手順は大学関係者、学生、マスコミの順だろうな。


 2つの論文が正しいと認められたので、残る脳に関する論文も信憑性が高いと判断されるだろう。物理学部門については、今までより高性能低価格のレールガンが簡単に設置できるのだから、軍関係の動きは表裏関係なく激しくなるだろう。米国の国益に反することには、過剰に反応するお国柄である。楽しいキャンパスライフの終焉かな。


米国が過去、日本に対して行ったトロン計画破棄、半導体産業の芽を摘み日米の経済摩擦にはジャパンハッシングなど、その手段と実績には驚くばかり。陽気なヤンキーが一方では手段を択ばない金の亡者となり襲い掛かる。今回の我々の成果についても、我々の対応が米国の利益に反すると判断されれば、あらゆる手を使って取上げるだろう。突然、友人知人が敵に回ることもあり得る。


 米国の人々が悪いのかシステムが悪いのか、何れにしてもいつも勝組にいる米国は、敗者の涙・苦痛を知るべきだ。我々は、ハイーバード大学の学生の身分を持ち新理論の発表、実証物を開示すことで、世界に対し強大なネームバリューを持つことになる。これは、決して小さいものでなく今後米国が非合法の力を使おうとする際に、躊躇いさせるほどの効果がある。


 予想通り、座長であるロバート・ウォールディンガー教授が「ケイミキハラ君、ハルミフクダ君、素晴らしい論文であると認められた。おめでとう。それでこの論文は、学内は元より、マスコミに発表すべきと思う」、「はい、発表するよう準備にします」、「そうか、よろしくお願いする。それで、君達は是非ドクターコースに進むべきだと思うのだがどうだろうか」俺は「ドクターコースに進むことについては二人で考えてみたいです」と回答した。教授から了解を貰い、2日後に教授連、翌日に学生、次にマスコミにプレゼンすることが決まった。さてコッヘル・ガードナー教授はどう出るか。


 実証物をもって駐車場に行くと当該教授が一人の男を連れ待ち受けていた。「おめでとう。素晴らしい出来事だ」、「ありがとうございます。お待ちになっていた様ですが何か用がありましたか」悪意察知と思考読みを使いながら、昨夜までのことなど素知らぬ顔で対応する。「私の友人が君たちに素晴らしい提案を持ってきたというので、紹介の労を取らせてもらった」ともっともらしい返事。


 その男にも魔法を使いながら「それはそれは有難うございます。どういった事でしょうか」、男の思考は(麻痺で倒し拉致)と野蛮さ剝き出し(ほう、ここで拉致ね~想定外だ。手に麻痺針か使い古しの手だな)「初めましてケイミキハラ、ハルミフクダ」と挨拶しながら握手を求めて来る。(あの手に麻痺針か、少し危険だが今ならまだ、たかが学生と油断している様だし乗ってみるか)女房の顔に頷いてから握手をする。手にチクリとした感覚があるが、昨日の成果で薬は効いていない。そこは演技で乗り越える。(他愛もないな)成功した様だ。女房は驚いた様だが俺の合図で察したのだろう大人しくしている 

  

 予定通りというか予定外というか、車の後部座席に押込まれた直後発進する。車で30分位か。車が止まり身体を抱えられて運ばれる。俺は走行中も周囲を観察していたし停車してからも注意深く観察していた。ここは大学からは東北部に当たる。ルート110を北上してから20程で左折して10分ほどの丘陵地近くだ。奴らのセーフハウスだろう。


 室内に入ると2人待っていた。拉致担当が教授を入れて3人の合計5人。鼻に気付け薬だろう刺激臭を当てられた。麻痺が取れて目が開いた演技。今気が付いて驚いた様に演技する「どうなったんだ。ここはどこだ。」怒鳴る「驚いたかねケイ」、「あんたは誰だ」、「まあ、トーマスとでも名乗っておこうか」目の前の男がこのグループの首魁なのだろう。


 「今日来て頂いたのは、君が取得する特許のライセンス契約を結んで貰おうと思ってね」、「特許はまだ取れていないしライセンス契約ならこんなことをしなくてもいいだろう」、「だから青田買いさ。条件は契約額1万ドルの独占的ライセンス契約。つまり我々だけが使用する」、「そんなふざけた契約があるか。脅かされて契約しても効力はない」、「ああ、それについては心配ない。特別な舞台を準備している」、「どういうことだ」、「今わかる」


 すると男二人が女房に近付き服を脱ぎ始める「彼女が薬を使いながら男とやってる写真は担保になるかね」もう遠慮はいらない「ああわかったよ」加速を使い一瞬で男4人を倒し首魁だけを残す。「ど、どうなってるんだ」首魁の慌てた声「主客逆転だな」男の首を掴み「もう一度聞くがどんな条件だって?」、「そ、それは」震える男の鳩尾を撲付け身体検査を行い、脱がした上着で拘束する。倒れている男達も同様に拘束する。


 その後女房に声を掛ける。少し震えている様だ、精神が強化されていても怖かったんだろう怒りがこみ上げる「怖かったよね。ごめんね」、「すこしね。突然拉致されるし薬や暴行されそうになったから」と震える声で言う。頬に涙が流れている。それを見て、俺は女房を思ってみなかった危険な目に合わせてしまったと酷く後悔した。薬と強姦までは考えもしなかったからだ。平和な日本で暮らしていた我々には考えられないような事を平然と行う連中がいることを、もっと心に留め置くべきだった。俺が甘かった。安易に、拉致されても大丈夫なんて考えていたから。怒りに染まりながら二度と失敗はしないと決意する。


 「さて、ふざけた招待は終わりだ。ここからは俺が仕切る。彼女に薬と暴行までしようとしたお前達だ。これから聞くことに下手な答えをすれば手足が無くなることも覚悟しろ」思考を読みながら質問する「お前の身分証は本物か、この後の予定とこれからの来訪者はあるか」、(本物を持つはずがない素人め、今日は契約させるまで終わらない予定だ)「身分証は本物だ。来訪者はない」、「そうか早速嘘か」男の左足を身体強化を使い踏みつける「ギャァー」凄い悲鳴を上げる男「先に言ったろう下手な返事をするなと」、「因みにお前の名前、所属、今回の命令者と命令内容を言え」男は身分証を持っていた。レセオニ・カンパニーという軍需産業の特別顧問となっている。名前はハートリー・レブナン44歳、ダミーかな?男はうめき声を上げるが返事をしない。(パトリック・シュナイダー、デストロン社所属、特別顧問、元海軍中尉で海軍調査部西部方面担当と開発部長からの命令、此方の条件による契約と沈黙させる手段の構築)思考を読んで本当の名前が分かる。身分は別会社のダミーだ。 


 「パトリック・シュナイダー、デストロン所属、装備顧問、元海軍中尉」俺が言ってやると夜襲の時と同じ反応。今回は産軍合同による権利奪取だ。俺はパトリックに「お前には、今日の犯行を証言してもらう」と言って、元特殊部隊員と同じ方法で魅了状態にする。落ち着いた様子の女房に「ハルミ、車からカメラを持って来て証言を記録してくれないか」とお願いする。女房は「分ったわ」と返事をして出て行った。女房にパトリック元中尉の証言する姿を撮影させる。米国でよく行われる証言前の宣誓をさせてからの証言だ。


 俺は、コッヘル・ガードナー教授を叩き起こす。加速しての打撃だった為、酷い状態だが自業自得だ。「コッヘル教授聞こえているか。」、「ああ聞いている」、「お前は随分ふざけたことをやってくれたな。死ぬ覚悟は出来ているだろうな」、教授はビクッとして「な。何のことだ」、「ふざけるな。2回も夜襲を掛けやがって、お前の命令だと聞いているぞ。今回は彼女をレイプして薬漬けにするとはゲス野郎が殺しても飽き足りない」、教授は泣き声で「今回は俺の命令じゃない」と言い訳する「教授のくせに従犯同罪だ」、「殺さないでくれ」、「殺さなくても、このことをマスコミに流せばお前は終わりだ」更に脅す「マスコミは本気にするものか。お前の言う事より俺のことを信じるさ」殺されないと思ったか反論する「あれを見ろ。パトリックが宣誓して証言しているぞ。そんな強気でいいのか」、「あぁー嘘だぁー」教授は半狂乱「何故だ何故証言している」、「お前も証言するんだよ」、「嫌だー止めてくれ」


 教授を殴り付け静かにさせてから魅了状態にする。教授は抵抗なく魅了状態になり問題なく証言した。パトリックの部下達である3人には、女房を強姦されそうになった怒りで、身体強化を使ってかなりダメージを与えた。そんな後でも精神的抵抗が強い彼等なので、元特殊部隊員と同じ方法を使い魅了状態にした。全員の証言を取り、今後は情報収集と我々に不利になる行動を起こす人間を誘き出し、我々の前に連れて来るよう命じた。更に、我々の秘密情報の漏洩を禁止する。教授には、大学内で捜査機関や産軍組織への協力者の割出しを命じた。これで手駒は15人になる。これだけ魅了の経験値を得たなら洗脳も獲得できないか。



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