いざ、キャンパスライフⅡ
大学に通い始めて2ヵ月、友人知人数知れず。コロナ禍であろうに、様々なソーシャルパーティーに呼ばれた結果である。友人同士の小さい集まりであるが、回数をこなせば友人知人は増えていく。お返しにと、我が城にもお呼びしました「貴方達入学直ぐでこの住い、リッチね~」皆親の懐から出たものと思っている。正直に話す心算はない。
できるだけコロナ禍を避けるため、30畳程の大きさの会場に15人を招待した。女房が加入した社交クラブのメンバー、俺が加入したフェンシングとアーチェリーサークルのメンバーが中心。無論、最初に知り合ったキャッシーも招待した「結局買ったんだね。この屋敷」キャッシーの弁「キャッシーが案内してくれたお陰だよ」、「フフフ、それでご家族はいつ来るの」、「今は自分達が忙しいからもう少し後だね」、「じゃあ二人きりか楽しいよね」キャッシーは見当違いの方向に突き進む(心が若ければね~)俺はサークル仲間の処に行く。俺が選んだサークルは、当然武力向上に繋がるからだ。手加減も簡単にできる。刺突や鷹の目獲得が狙いだ。
俺の「若い心」は得られていない。脳強化や精神強化が悪影響しているのかな。女房もまだの様だが、俺よりは可能性が有りそうだが。話題の中に学生が運営するラジオ局「ウォルバ」があった。まだ聞いていなかったのでどんなものか聞いてみよう。皆の関心は、学業は当然だがやはり社会活動について関心が高い。エリートは社会活動を通じて社会貢献するのが当然といった思想である。ノーブスオブリージェかよ。
「若い心」を取戻そうとしている俺達が、社会活動なんてしてたらより遠くなるだろうから、社会活動については余り関心がない態度をとっても、友人たちは特に批判することもなかった。そこは個人主義なのだろう。
夏学期の終りに、『非接触状態における通電現象理論』、『新素材による超高温超電導現象の実証と理論解明』、『脳の進化過程における形態保管機能とその刺激による影響の考察』の3つの論文を、女房と共著で提出した。試験考査を終えた後での提出なので教授も関心を持ってみてくれるだろう。当然考査は満点だ。学期中の課題も全て高評価なのでA+評価は間違いない。
選択した全ての学科の単位を取得する心算だが、今回の論文評価による単位獲得ポイントも確認する。提出した論文は、魔法で実現した現象を解析し、科学技術に落込んだものなのでまだ証明されていない理論も持ち出している。従って、提出した論文を評価するのは簡単では無い筈だ。その場合は、脳に関するもの以外は実証できる現物を見せる心算だ。当然特許案件にしている。脳機能に関しては大学に任せる。実証提出なんて無理だ。
秋学期初日、学生課に呼ばれた。教授会で行われた論文評価について我々と面談したいとの話である。面談は明日で、面談後に相談したいとのことだ。翌日の面談会場には、物理学、脳生理学の高名な教授が5名ほど並んでいた。学生課事務局から各教授の紹介がある。座長は物理学のロバート・ウォールディンガー教授が務める様だ「ケイミキハラ、ハルミフクダで間違いないね」ロバート・ウォールディンガー教授が聞いてくる「はい間違いないです」と二人応える「早速議題に入るが、今回提出された3本の論文は何れも素晴らしいものだ」とほめ言葉「ただ、論文で使われた理論には証明されていない物があり、その理論部分の詳細も証明もない。つまり真偽の判定が出来ない」
俺は、出席者全員に対し悪意察知を使う。座長のロバート・ウォールディンガー教授の思考を読みながら教授の話を聞いている。このような場合は特に注意が必要だ。必ず権力者サイドから送り込まれた人物が混じっている。案の定、同じ物理学のコッヘル・ガードナー教授に悪意察知が反応する。この教授の思考を読む(論文は間違いないが、重要な部分がなくて使い物にならない。どんな手を使ってでも手に入れる)
軍属か軍事産業からの送込みらしい。くわばらくわばら。こんな物でも強奪まで考えるのか。俺がビッグと考えているものだったらどうなるんだ。危険察知も掛けておく。 やはり、様々な対応策を考えておいたのは間違いなかった。俺は教授に質問する「教授のおっしゃり様は真偽の判定ができれば論文の評価が確定するということですか」、「そうだ」、「その場合の評価は?」「A+評価になる」、「この論文の主たる部分は、証明されていない理論を含め特許案件として提出済みです。
ついては、我々の論文の正しさを証明するために実証物を提出します」教授たちが響く「2日後持参するので、我々の前で計測をお願いします。無論、計測後の実証物は御渡しできません」、「言い忘れました。脳機能に関する実証物は当然ありませんので大学側にお任せします」