(挿話3)長男家の孫娘がデビュー?Ⅱ
早番の勤務が終わり15時に帰宅した「ただいま」、「お帰り。今日ね前に行ってた歌レッスンの教室から連絡が有ったんだよ」妻が言う「ん?で何だって」、「音楽教室の協会があって、ブロック別の事業振興策として、教えている子供達のカラオケ大会を開いているんで出てみないかってお誘いがあったのよ」、「ふ~ん恵理花はどういってる」、「出ても良いよだって」、「なら良いんじゃあない。何時なの」、「来月末の日曜日10時からだよ」、「分った。何を歌うの?」、「教室に行って先生と決めようかと思う」、「良いんじゃあないかな」、「でね、折角出るんだからデザインやらせてみようかと思っているの」、「えぇ~大丈夫か?」、「だって、将来はこんな風になるだろうなって感じの土台作りだよ?」、「じゃあ、20歳の顔を描いて逆回しに幼くする方法か」、「そうそう」、「お前絵心あった?」、「この強化された能力に不可能はない!!」
恵理花にデザインをさせる前に「自分達で体験してみよう。父が注意してたこともあるし」という事になった。父親に聞いていたところでは、魔力を回しながらイメージを維持し続けるのが大変だと言っていた。出来るなら補助者がいて、魔力を回した方がいいということだ。確りイメージを整え、魔力は俺と理恵の二人で回し途中イメージの維持が難しくなったら理恵一人で回して貰う「じゃあ始めるよ。補助お願い」、「大丈夫任せて」妻の心強い返事で魔力を回し始める。イメージがしっかり出来た。
理恵は哲也が魔力を回すと同時に自分も同調する。哲也の姿が淡く発光して朧げになる。お義父さんの言っていた現象だ。途中魔力の周りが遅くなった気がして自分が強く回す。多分哲也がイメージの維持に傾注した為だろうやがて発光が消えた。哲也の姿が現れる、やはり驚く凄い。理恵は哲也を美男だと思っていたが、若返って淡く輝いている姿を見ると倍以上良くなってると思って嬉しくなる。やがて哲也が目を覚ました「お疲れ様凄く良いよ」、「そうか。途中魔力回すことが出来なかった」、「うん、そうだと分かったよ」、「親父の忠告どおりだな」、「そうだね。一人では無理だよね」、「親父は一人でやったんだよな凄い精神力だよ」、「ホント。じゃあ少し休憩し交代しようか」哲也は姿見に自分を映しニヤケている。「いやぁ目線が高いわ。足長ッ!」
「じゃあ、ベッドに寝てくれ」妻が横になる「始めよう」妻が魔力を回し始めると自分も同調する。妻が淡く発光し始める(始まったな)ここからは慎重になる。途中妻が言った様に魔力の動きが悪くなる。やがて発光が終わり妻が現れた「おぉ~凄い」やはり淡く輝く姿、引き締まった顔に細く高い鼻梁が美しい。自分より少し顎が張った感じは前の面影がある。八頭身の足長は完全にモデル体型だ「やあ凄いよ」妻が目を覚ましたので話し掛ける「変じゃあない?」、「全く!凄いから姿見に映したら」妻は急ぎ姿見の前に「フフフ想像以上ね」、「ああ凄いだろう」、「こんな力知ったら大変ね」、「ホント親父が心配する訳だ」、「貴方のお義父さん知識も凄いね」、「ああ博学だ」
二人のデザインアンチエイジングが終わり、本命の恵理花のデザインだが姉の顔から子供の顔にするため画像加工アプリで修正する事にした。姉に事情を話し画像を送ってもらい加工したら素晴らしい出来になった。だが、今の姿とはかなり違うので少しずつ表面に出すことにする。3回くらいで完成するよう欺瞞で誤魔化せるか、恵理花に確認したところ大丈夫というので、デザインすることにした。恵理花に時間を掛け完成した姿を確りイメージさせる。
「じゃあ始めるよ。イメージ確りな」、「大丈夫だよ」今から恵理花にデザインを始める。大事を取って妻と二人で補助する。「恵理花、魔力を回して」魔力が回り出し、二人も魔力を恵理花に流すイメージで同調する。身体が淡く発光し始める。恵理花のイメージが固まったのだ。途中、魔力の回りが弱くなったので、恵理花に強く魔力を流しながら回すイメージを続ける。やがて光が消え、恵理花の姿が現れた「成功だ、凄いぞ」、「ホント凄いわ。妖精みたいね」恵理花が目を覚ます「フフフ恵理花頑張ったね。凄いよ、妖精みたいよ」、「本当に」、「ええ姿見に映してみて」恵理花が立ち上がり、自分を姿見に映して見ている「どう凄いでしょう」、「本当ね。凄いなんてものじゃないね。怖いくらい」、「3回でこの姿になる様に練習しないとね」、「分ってるよ」
今日は、音楽教室の協会が催す子供達のカラオケ大会だ。家族全員で応援に行く。この日の為に理恵は、恵理花にブルーのワンピースを買っていた。歌う曲は、アニメ、ラピュタの【君をのせて】だ。恵理花はデザイン後の姿から少し幼くぽっちゃりした感じに欺瞞している。それでも、将来美しい少女になると想像させるには十分だった。歌う順は最後から3番目である。子供達は皆精一杯に歌って愛らしくて皆で応援した。ついに恵理花の番だ。舞台の袖からブルーのワンピースが出て来た。知ってはいたが、こうして遠くから見ると随分垢抜けした姿だ。
歌が始まった「おいこれ魔力が乗ってるぞ」、「えぇ確かに」、「魅了が掛かってないか?」、「分らないわ。でも魅了の訓練はしてない筈よ」、「まずいな。周りを見て見ろ」周囲は歌に陶酔している「恵理花が感情を込めて歌ったから魅了と同じ効果が生まれたかも知れないな」、「そうね」、「今はどうしようもないから、終わったら早く帰ろう」、「分った」歌が終わっても咳き一つしない。恵理花は戸惑った顔をし、お辞儀をして舞台から引っ込んだ。
カラオケ大会が終わり、5名ほどの優秀者が発表された。恵理花は入っていなかったが、二人には理由が分かった。レベルが違うので対象に出来ないのだろう。要らぬトラブルに巻き込まれるのは拙いので急いで帰る。無事に車に乗りホッとする「恵理花凄く良かったよ」、「エッでも優秀貰えなかったよ」、「あぁそれは違うんだ。お父さん達には理由は分かっている」、「そうなんだ。歌え終わった時にも拍手もなかったし」、「大丈夫分ってるから。じゃあ車出すぞ」