複雑な気持ち【魔王視点】
城でミオの事を保護してからずっと外に出さなかったからストレスが溜まってるのでは?と思い宰相やミオの専属侍女に相談して急遽ミオと数人の護衛を連れてピクニックに行くことになった。
ピクニックに行く為に今日中に処理しなければならない書類をミオが昼寝をしている間に早急に終わらせて、無事にピクニックに出かける事ができた。
ずっと引きこもっていたミオにいきなり人混みはキツイだろうと言うことで、グリフォン車を準備させて目的地である花畑がある丘へと飛び立った。
ピクニックに行くとミオに告げたが寝起きといきなりのピクニック発言に脳の処理が追い付いていなかったのかしばらく呆然としていて、準備をするさいも侍女にされるがままになっていた。
グリフォン車に乗る頃になってだんだん脳が覚醒し、グリフォンを見たら一気に目を輝かせて笑顔を見せる様になった。
グリフォン車に乗って空を移動しているさいも、瞳を輝かせて空からの景色を楽しんでいた。
しばらくして花畑のある丘に到着した。
グリフォン車を降りたとたんミオはその光景に驚き、花畑に走り出した。
その時のミオの表情を見たときに
「ああ、やはり知らない間にストレスを貯めさせていたのだなぁ。」と思った。
そして、
「仕事を急いで終わらせたかいがあった。」
と心の中で思ったのだ。
花畑に走り出した後しばらく花を眺めていたミオが何を思ったのか私の方に戻ってきた。
私の前に来ると少し興奮した様子でグリフォンに触ってみたいと私に頼んできた。
グリフォン、気高く自分が認めない者は近寄る事さえ許さないプライドが高い生き物。
私は若干不安を覚えたが、ミオの日頃の生活を思い出し目上の者にはキチンと敬語を使ったり挨拶を交わしたりとミオの聡明さを思い出し、条件付きでグリフォンに触る許可を出した。
その後は御者にグリフォンに触る許可を貰い、ミオにグリフォンに触る前に行う挨拶のやり方を教えた。
グリフォンへの挨拶のやり方を教えたが、筋力が弱いミオにはキツかったらしく思わず無理をするなと止めようとしてしまった。
それでもミオは余程グリフォンに触ってみたかったのか、頑張って挨拶の仕方を覚えてグリフォンの元へ向かった。
グリフォンの近くに行ったミオは教わった通りに挨拶を交わし見事に触る許可を貰えた様だった。
だが、ミオがグリフォンに触ると挨拶を交わしてない他のグリフォンまでミオの元に寄ってきて仲間である者にしか行わない毛繕いや頬擦り等をミオにやり始めた。
少し距離を空けて見守っていた私や御者、侍女等も驚いてその光景に魅いっていた。
ミオは自分がどの様な事を仕出かしたか解っていないのか、無邪気な笑顔でグリフォン達と戯れていた。
呆気にとられていた私も直ぐに覚醒し、今後の事を考えて少し頭が痛くなった。
とりあえず、城に帰った早急に宰相に相談してミオの今後をどうするか決めなければと内心ため息を付きながら頭の中にメモしておいた。
でも、今は今だけは無邪気に喜ぶミオをこの目に焼き付けておこうと思った。