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たった一人の魔物使い  作者: 壬黎ハルキ
第三章 ユグラシアの大森林
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第四十五話 ラティVSシルヴィア



「また……アナタたちですのね。いいデショウ、今度こそアナタを討ち、オネエサマを我が手に収めて御覧にいれマスワ!」


 ラティやマキトたちの助太刀に、シルヴィアは怒り狂っていた。彼女の体が更に黒く染まり、口調も変わっている。

 次の瞬間、シルヴィアの周囲に膨大な闇の魔力玉が浮かび上がる。ギラついた真っ赤な瞳が光り出し、思わずマキトは後ずさりしてしまった。

 しかし、ラティは全く動じず、シルヴィアを見据えながら魔力を漂わせている。数秒ほど無言が続いたと思いきや、二人は突然動き出した。


『はああぁぁーーーっ!』


 ラティとシルヴィアの魔力がぶつかり合い、凄まじい火花のような光がバチバチと音を鳴らせている。

 相殺したと同時に二人は再び動き出した。

 魔力を伴うパンチと蹴り、そして魔力玉による攻撃。激しい爆音が飛び交う中、二人は一歩も引く様子を見せない。

 しかしここで、戦いにおける腕前の差が見え始めてきた。

 巧みな魔力コントロールを見せるシルヴィアが、ラティを押し始めていた。戦いの経験値は、明らかに彼女のほうが上。それを思い知らされていた。

 このままで間違いなく、先に倒れるのはラティだ。そう思ったマキトが不意に動き出したその瞬間――


「うぉっと!」


 突如、周囲に漂っていた魔力玉が、マキト目掛けて飛んできた。

 ロップルの防御強化で事なきを得たが、これではうかつに動けないことが分かった。


「こりゃ参ったな。ロップルの防御だけじゃ防ぎきれないぞ……」

「キュウ……」

「お前のせいじゃないって」


 面目ないと言わんばかりにションボリするロップルを、マキトは頭を撫でて慰める。そうしながら目の前の戦況を見てみると、依然として激しさは続いていた。

 依然としてぶつかり合いは続いているが、それもいつまでのことか。

 シルヴィアは余裕そうに笑っており、ラティの表情は少し焦りが出始めていた。

 確かに渡り合ってはいるのだが、シルヴィアに決定的なダメージが全く与えられていないし、そのチャンスすら見えてきていない。心なしかマキトも、手を握る力が強くなってきていた。


「どうですカ? 前回のようにはいきマセンわよ♪」

「やかましいのですっ!」


 負けじと魔力を打ち込むラティだが、シルヴィアは涼しい表情で躱していく。

 流石のマキトでも、焦りでコントロールが鈍っているのが分かった。落ち着けと声をかけても、ラティの耳に届いているかどうか怪しいところだ。


「アレから相当なまでに精進ナサレタようですワネ。アナタをワタクシの好敵手として認めマスワ♪ アナタに勝ってこそ、我が愛しのオネエサマを手に入れたトキの喜びが無限大に増すことデショウ!」

「ムダ口たたくなんて、随分と余裕なのですね!」

「アラァ♪ 別にムダ口ではありません……デスワよっ!」

「ぐ!」


 シルヴィアと競り合っていたラティが押されてしまう。負けじとやり返そうとしてはいるのだが、難なく躱されてしまい、再びシルヴィアの魔力で押される。その繰り返しが披露されていた。

 これは単にラティの焦りだけが原因ではないと、ユグラシアは思っていた。


(やっぱり……魔力コントロールの精度が常人以上だわ。実力のある魔導師でさえも、あれだけの魔力を操ることなんてできない。こんな逸材がサントノ王国の王族にいたなんて……)


 サントノ王国の王族に混血はいないが、純粋な獣人族は決して魔導師としては生まれない、というワケでもない。したがってシルヴィアに魔法の才能があっても、別に驚く要素はないのだが、今回ばかりは驚かずにはいられなかった。

 この世界における種族と素質については、ユグラシアも把握している。だからこそ、ユグラシアはシルヴィアに対して強く思っていた。

 才能だけで言えば、彼女の魔法はエルフ族の魔導師にも決して引けを取らないと。


(シルヴィアさんを鎮めるには、彼女を倒して闇の魔法を浄化させることが先決。でもそれだけじゃ心もとないわ。やはり、アレを使うしかない!)


 とあるモノを思い浮かべながら、ユグラシアは思った。

 それを使えば、より安全性が高まる。彼女がすぐにまた、再度暴走する可能性を極端に抑えることができる。

 しかしそのために、一番の問題があるとすれば――


(このまま下手に私が動けば、間違いなく彼女に感づかれてしまう。何か……彼女の気を逸らす何かがないと……)


 杖をギュッと握り締め、ユグラシアがシルヴィアを見据える。

 変わらず余裕な表情を浮かべており、大きな黒い魔力の塊を掲げていた。


「さぁ……そろそろワタクシもお遊びはここマデにして……」


 言いかけたその時、後ろの茂みから複数の魔力が次々と飛んできた。

 シルヴィアはそれを何なく躱すが、集中が途切れたため、掲げていた黒い魔力は消えていた。

 そして次の瞬間、茂みの中から大勢の妖精たちが姿を見せた。


「消えろバケモノめーっ!」

「これ以上私たちの森で好き勝手はさせないわっ!」


 妖精たちが次々と魔法をシルヴィアにぶつけていく。威力は小さいが、数の多さがシルヴィアの動きを止めることに成功していた。

 周囲に浮かんでいた魔力玉も、次々と妖精たちに飛んでいくが、妖精たちはそれをすばやく飛び交って躱していった。


「ユグラシア様を助けに来たのは、クーだけじゃないんだ!」

「私たちが来たからには、もう安心だよ!」

「さぁ行こうぜ! 妖精の底力をナメるなっつーんだ!」


 威勢の良い妖精たちの掛け声が響き渡る。次第にラティの表情にも明るさが戻りつつあった。もうさっきみたいに焦っている様子はなかった。

 再びラティの表情に笑みが戻り、颯爽とシルヴィアに向かっていく。

 そのドサクサに紛れて、ロズがユグラシアの元へ近づいていた。


「ユグラシア様。ご無事でなによりです。さぁ、アレの準備に参りましょうぞ!」

「……はい!」


 ロズとユグラシアは、急いで神殿の中へ入っていく。完全にシルヴィアの気が逸れているおかげで、感づかれずに済むのだった。

 一方マキトは、なんとかしてこの状況を動かしたいと思っていた。

 確かに首飾りのおかげでラティも変身を長時間保っているが、それも決して無限ではない。ここで手を打たなければ、確実に勝てるチャンスを見失ってしまう。

 そんな焦りも生じてか、マキトはなかなか良い手が思い浮かばないでいた。


(くそっ、一体どうすれば良いんだ? あんなに魔力玉の数が多けりゃ、ラティたちも対処なんてしきれな……ん?)


 ここでふと、マキトはあることに気づいた。


(そういえばあの魔力玉……よく見たらさっきから、妖精たちにしか反応してないな。なんでラティには反応してないんだろ? あんだけ動いてるんだから、ちょっとぐらいラティに向かっても良いハズなのに……)


 さっきと違う点があるとすれば、シルヴィアがラティを全く見ていないことだ。あちこち飛び回る妖精たちに意識を取られているのだ。たったそれだけの違いでしかないのだが、マキトが見ている限り、どうもそうとしか思えなかった。


(まさか……お姫様が実際に見ている相手には、飛んでこない仕組みなのか?)


 そう考えるのが自然だとマキトは思った。

 なんとかそれを利用できないかと考えようとしたその時、ラティの死角から大きな魔力玉が迫ってきた。


「ピィッ!」


 咄嗟に反応したスラキチが、魔力玉に向けて思いっきり炎を放った。しかしその炎はかなり小さく、相殺するには威力が足りない。

 加えて他の魔力玉もみるみる集まってきており、炎はあっという間にかき消される。魔力玉はそのまま、スラキチ目掛けて一直線に迫ろうとしていた。しかしそれは、直前で見事打ち消されていた。

 咄嗟に前に躍り出たマキトとロップルが、防御強化を発動していたのだ。


「ふぅ、危なかったな」


 なんとか事なきを得たところで、マキトは少し気になることがあった。ここでマキトの頭の中に、ある一つの仮説が思い浮かんだ。


「あの魔力玉……もしかして動くモノなら、なんでも反応するのか?」

「……かもしれないね」


 相槌を打つアリシアの声に、マキトがニヤリと笑みを浮かべる。


「ならこれはどうだ? 妖精たち、聞いてくれ! 手当たり次第にあちこち魔法を打ちまくるんだ! この状況をひっくり返せるかもしれないぞ!」


 マキトの叫びに妖精たちは一瞬戸惑うが、すぐに頷き合い、魔法を放つ。狙いも何もない、まさに手あたり次第そのものであった。

 すると魔力玉が、面白い具合に魔法に集まっていき、ラティの周囲から魔力玉を引き剥がす結果に繋がるのだった。


「今だっ!」


 マキトの叫びにラティが反応し、即座に動き出す。

 無論、シルヴィアもその叫び声は聞こえており、ラティを迎え撃つべく、両手に魔力を溜め始めていた。

 しかし周囲の妖精たちも黙ってはいない。魔力玉から防御する役割と、サポートがてら攻撃する役割に分担して、なんとかシルヴィアに魔法を打たせないよう動いていた。

 完全に注意を逸らすことは無理でも、ラティの一撃にしっかりと繋げさせることには成功していた。


「グ……小癪な……アアアァァッ!」


 シルヴィアは吹き飛ばされながらも即座に体勢を立て直し、猛然とラティに拳を振るってくる。もはや完全に怒りで我を忘れていた。余裕な表情で魔力を打ち込んでいた姿と、同一人物とは思えないほどに。

 魔法合戦から魔力をまとった肉弾戦に移り変わり、ラティとシルヴィアは激しくぶつかり合う。拳と蹴りが炸裂する度に、凄まじい衝撃が周囲を揺らしていた。

 周囲の魔力玉は、相変わらず動き回っている妖精たちやスラキチ目掛けて飛んできていたが、シルヴィアと向き合っているラティには全く飛んできていない。

 やはり実際に見ている相手には飛んでこないようだと、マキトは思った。


(ラティが押している。この調子なら……)


 勝てるとマキトが思ったその時、シルヴィアの表情が歪んだ笑みに変化した。


「……かかりマシタわね♪」

「えっ?」


 次の瞬間、妖精たちやスラキチを追っかけまわしていた魔力玉が、一斉にラティ目掛けて飛んできた。突然のことで本人も周囲も反応できず、直撃を受けて後ろに吹き飛ばされる。

 ラティはよろめきつつもなんとか立ち上がり、シルヴィアを見据える。かなりの労力を使ったのか、シルヴィアも額に汗をにじませていた。


「よくも……」

「ワタクシを甘く見過ぎたようデスワね。もっともアレが限界ですケドっ!」


 この隙を逃さないと言わんばかりに、シルヴィアがラティに向かう。

 妖精たちがすかさず魔法を放とうとしたその時だった。


「邪魔っ!!」


 シルヴィアが叫びが闇の魔法を発動させ、妖精たちを薙ぎ払っていく。

 直撃を受けてしまった者、免れたが爆風で吹き飛ばされた者。ここにきて大きな被害となり、ラティを大きく動揺させてしまう。

 そしてそれはシルヴィアにとって、絶好のチャンスでもあった。


「ガラアキですワ……なっ?」


 シルヴィアが思いっきり蹴りを打ち込むも、鋼鉄のような硬さで弾かれる。

 よく見ると薄いオーラのようなモノが、ラティの体を覆っていた。シルヴィアはそのオーラを前にも見たことがあり、後ろに控えているロップルの存在に気づく。


「ちぃっ! アノ白い生き物またしても……グゥッ!」


 足元から砂煙が巻き起こり、シルヴィアの目を封じさせる。


「私を忘れてもらっちゃ困るよ!」


 少し移動していたアリシアが、杖を掲げながらシルヴィアに笑いかける。

 もう黒い魔力玉は漂っていなかった。ラティへの不意打ちと、妖精たちへの攻撃で使い尽くしたのだ。おかげでアリシアがサポートに入るチャンスが、満を規して訪れたのである。

 本当はシルヴィアを睨みつけるハズだったのだが、やっとの出番に嬉しさが込みあげてきてしまい、思わず笑みを浮かべてしまったのはここだけの話だ。


「お、オノレ……ガアッ!?」


 スラキチの炎がシルヴィアに直撃した。ありったけの力を込めた一撃であり、流石に疲れ果てて倒れてしまう。

 意識が朦朧とする中、シルヴィアに確かなダメージを与えたことを確認し、ようやく一矢報いたぞと言わんばかりに清々しい表情を浮かべた。


「決めろ、ラティっ!」

「はあああああぁぁぁぁーーーーっ!!」


 ラティの魔力を込めた一撃が、シルヴィアを後ろの大木に激突させる。

 シルヴィアはそのままズルズルと落ちて、気を失ってしまった。


「今ですぞ、ユグラシア様!」

「えぇ!」


 神殿の中から戻ってきていたユグラシアとロズが、シルヴィアの元へ向かっていく。そして浄化の魔法を発動し、淡い緑色の魔力がシルヴィアの体を包み込む。

 魔力が光り出すと、徐々に黒い肌が元の白い肌に戻っていった。

 相当な量の魔力を消費しているが、ユグラシアの表情に辛さは見られない。彼女自身の魔力の大きさもあるが、なによりロズが魔力を尽きさせないように、供給のサポートをしているのだ。

 その光景は神々しさを醸し出しており、その場にいる全員が見入ってしまっていた。

 やがてはびこっていた闇の魔力は完全に取り除かれ、元の煌びやかな王女の姿に戻るのだった。


「闇の魔力の浄化完了! 更にシルヴィアさんにはこれを……」


 ユグラシアはシルヴィアの左腕を手に取り、そこに腕輪を装着させる。すると腕輪から淡い光が放ち、やがてパチンと消えた。

 それを確認したユグラシアはゆっくりと立ち上がり、満面の笑みを浮かべた。


「今度こそ本当に終わりました! これで森の危機は去りましたよ!」


 ユグラシアの言葉に大歓声が沸き起こる。

 マキトは戦いが終わったことに安堵の息を漏らしつつ、アリシアとお疲れさまの握手を交わす。

 元の姿に戻ったラティは、スラキチやロップルと勝利を喜び合っていた。その姿を見て、ラティが気を失っていないことに気づき、マキトは笑みを浮かべる。

 妖精たちがはしゃいでいる中、ロズが前に出てきた。


「喜んでおる場合か! まずはキズを負った者たちを介抱するのが先じゃろうに。後ろを見てみい。まだたくさんおるじゃろう。分かったらさっさと動かんか!」


 ロズの一喝を受けた妖精たちは、大慌てで動き出す。自然とマキトたちも一緒になって、妖精たちの介抱に向かっていた。

 シルヴィアの魔法を受けて倒れた妖精たちは、思いの外多かった。

 数人をまとめて運べるマキトやアリシアの存在が、大きな活躍を見せていた。二人に話しかける妖精たちもチラホラと見られ、マキトから駆けつけてくれてありがとうと、お礼を言う姿も見られた。


「はぁ……揃いも揃って勝手な行動をしおって……」

「ロズ様。あの子たちもたくさん頑張ってくれましたから」

「分かっております。今回ばかりは、ワシも大目に見てやるつもりですじゃ。ちっとだけ修行を厳しくする程度にしておこうかと」

「そ、そうですか……」


 ロズの言葉にユグラシアは表情を引きつらせつつ、神殿に向かって歩き出した。


「私たちも手伝いましょう。このままサボるわけにもいきませんからね」

「そうですな」


 徐々に妖精たちの声が増えてくるのを聞きながら、ロズもユグラシアに続いて、神殿に向かうのだった。



 ◇ ◇ ◇



 サントノ王国の荒野を、一台の馬車が北上していた。

 現在は大きな岩陰で休息をとっており、五人の人物が地図を広げている。二人の獣人族と三人のエルフ族という組み合わせだが、冒険者としては別に珍しくもなんともないと言える。

 しかし、一行はかなり目立っていた。一人のエルフ族の美女が、一行の存在感をかなり引き立てさせているのだ。

 実際にすれ違った行商は自然と振り返り、馬車を呆気なく転倒させていた。それだけならまだしも、とある冒険者グループがすれ違った際には、女神が通り過ぎたとうつつを抜かす事態に陥り、そのまま明後日の方向へ歩いて行くという現象が発生していた。

 五人揃ってそのことに全く気づいていないのは、ある意味幸いだと言えていた。


「メルニーさん。闇の魔力の行方は、やはり北西ですか?」

「えぇ、恐らくシルヴィア様は、ユグラシアの大森林へ向かわれたのかと……」


 エルフ族の美女、メルニーの仮説を聞いて、ラッセルは顔をしかめる。

 パーティメンバーであるオリヴァーやジルも同じだ。そして、メルニーの護衛という名目で同行している、サントノ王宮騎士団長のダグラスもまた同じく。


「今どうなっているかは……分からないですよね?」

「すみません。流石に距離が遠すぎて、辿るのが精いっぱいなんです」

「なぁに、それだけでもマシってもんでしょう。今はとにかく追いかけないと!」

「オリヴァー殿の言うとおりですよ。そろそろ動きましょうか。もう十分に休息をとれたでしょう?」

「はい」


 ジルとオリヴァーが休憩用のテントを片付ける横で、ダグラスが北に延びる道に視線を向ける。


「恐らくこのペースだと、数日もすれば大森林に到着できそうですね。それまでに追いつければいいんですが……」

「そもそもシルヴィア様は徒歩のハズですよね? フツーに追いつけるんじゃ?」

「どうだろうな? 闇の魔法で魔物を操り、それに乗って移動する……なんてことも考えられると思うぞ?」


 テントをバッグにしまいながら、オリヴァーがジルの言葉に意見する。

 その手があったかと言わんばかりにメルニーとダグラスは驚き、ジルはため息をつきながら、目を細めてオリヴァーを見る。


「……本当にオリヴァーって、時々すっごい勘が鋭くなるよね」

「よせやい。照れちまうじゃねぇか」

「全く……」


 苦笑を浮かべるジルにつられて、ダグラスやメルニーも笑みを浮かべる。

 一方、ラッセルも仲間たちのいつものやり取りに安らぎつつも、改めてここにはいないもう一人の仲間に対して思いを馳せるのだった。


「待っていろアリシア。俺が必ずお前を助けに行くからな!」


 事態が既に落ち着いていることなど露知らず、固く拳を握るラッセルであった。



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