親との再会
ここで、本編の前に読者の期待をぶち壊し、設定をあまり書いていないので、書かせて頂きます。
実は、第一章の墓場のある町と、主人公が住んでいる町は違うところです。
墓場の町は、和夢市 泡沫町(なごむ市うたがた町)
そして、主人公が住んでいる町は、和夢市 山憑町(やまつき町)です。
泡沫町もたびたび出てきますので、お頼みを
さて本編へ行きましょうか
~本編~
何で今更紹介なんだよ、ここまで読んでくれる人がいると思ったのかな?FHUだから思ったんだろうね。
「ねぇ、ねぇ、聴いてる?」
「あ、うん、えっと、なんだっけ?」
君はムスっとした顔をした。
「もう!だから、お肉セールしてるよ、これお買い得じゃない?」
肉か、確かに安いな。
最近食べてなかったし食べるか。
「そうだね、安いし買っとこう。」
「うんうん!お肉は、私も食べる!」
贅沢者め。
帰宅道、行きは曇りで、涼しかったのに、帰りは青空が広がっていた。
「暑いな…」そう言って汗を流してる僕をみて、君は
「水も滴る良い男…的な?」
ふざけるのも、大概にしろ。君は幽霊だから汗かかないだろうが、こっちは洪水警報なんだよ。
「暑いし、早く帰ろう」
僕はそう言った、しかし、その話を遮って君は話しかけてきた。
「ねぇ、さっきから追いかけられてるの気付いてる?」
ん?追いかけられてる?どういうことだ。
~松多 勇作パート~
スーパーから出て来たなぁ!!
普通に買い物かぁ?ん??
あれはなんだぁ!!!!肉だぁ!!!!普通に考えると、スーパーで売ってる肉なんだが、こいつは、ちっとばかし臭うぜぇ!!
尾行だぁ!。
~主人公、帰宅道にて~
暑いなぁ…これが地球温暖化って奴かぁ…幽霊隣にいるくせに少年も暑そうだぜぇ…
ん!ヤバイ!バレたか!!ひとまず退散だぁぁ!!!!
~本編~
「誰もいないじゃん。」
「あれ?おかしいな…」
「気のせいだよ、さっさと帰ろう。」
「うん!」
家の前で携帯が鳴る。
「ん誰からだろう」
携帯を見てみると、それは君の親だった。
「もしもし。」
「もしもし!ねぇ娘が貴方に取り憑いてるって本当なの!」
…霊次の仕業だな。
「一応、そうです。」
「ちょっと家まで来てくれない?娘に会いたいの…」
少し涙声になってた。
「なんか君の母さん、君が僕に取り憑いてる事を多分、霊次から聞いてて家まで来てくれない?って言ってるけどどうする?」
「お母さん!行く行く!久しぶりに会いたい!」
「でも、君の事見えるのかな?」
「うーん、それでも会いたいよ」
会いたいのは当たり前だよな。それが家族というものだ。
「もしもし、わかりました。荷物家に置いてから向かいます。」
「ありがとう!待ってるね。それじゃあ、あとで。」
よし早く会わせてやりたいな。
蝉の声が響く夏の出来事。これは、夢ではなく、現実の事。
君との思い出を、僕はまた刻み始めた。
歯車が動きだし、君との日々は進んでいく。
普通とは、少し違うけれど、神様が僕に、謝る機会と、希望を与えてくれたのだろう。
「ハァハァやっと着いた」
息を荒らしながらインターフォンを押す。
「久しぶり。さぁ入って、クーラー効いてるから。」
「お邪魔します。」
君の母さんは辺りを見渡す。
「ねぇ、娘は?」
やっぱり、見えてない。君は隣にいるのに
「お母さん…」
君は汗を流す変わりに大粒の涙を流し自分の親に抱きついた。
それなのに、気付かれてない君をみて、何故か、少し悲しくなってしまった。
「おばさん、見えてないんですね。今、おばさんに抱きついていますよ。」
「えっ?」
戸惑いながらもその言葉を信じ話しかける。
「久しぶりね、会いたかったわ。ごめんね、こんなお母さんで…守って…やれなかった…」
「ううん…私が死んだのは、誰のせいでも無いよ、悪いのは私…」
もちろん、おばさんには聞こえてない。ただ泣き声だけが響く」
「やっぱ家族ですな、娘が見えなくても、何故か分かり合ってるようでござる。」
「霊次、いたのか。」
「人の命は儚いもの、しかし、思い出や絆は、永遠でござる。」
確かに、その通りだ。
君が死んでからも僕は、ずっと君の事を思っていた。
「今日は来てくれてありがとうね、またいらっしゃい。娘もまた一緒にね」
「お母さん、またね。」
「はい、また、それでは。」
懐かしい気持ちを、夏の暑さに任せ、解き放つ。
思い出は始まったばかり。学校では教えてくれない事を、君と、君のお母さんから教わった。
松多勇作は、こちらの「夏のヒトトキ」のスピンオフ作品「ヒトナツの夢」の主人公です。こちらの作品も、よろしくお願いします。
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