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年の差0の親子リプレイ  作者: 7×3=佐藤、水ーー(パシリ) と読まれる事もある
第1章 : : リビング・オブ・ザ・デッド
7/8

1-1 その名は……

「で、だ、何がどうなってるか説明してくれ」

 リビングに入って全員が腰をおろすと、パパの息子の巨人がそう言って偉そうに仕切り始めた。

 しかし、あたし達と相対した、その息子の座っているソファーは三人がけにもかかわらず

 その真ん中に腰掛けて膝の間に幼女を座らせて、後ろから抱きしめている図はあまりにも背徳感を感じさせていた。

 こっちがどうなってるのか説明して欲しいところである。


「と、突然お父さんの隠し子が訪ねて来たのよ!」

 息子の腕に(あら、なかなか)幼女は頬を擦りつけながら、あたしとパパを睨みつけてきてそう言った。

 血管フェチのあたしはそこに目を奪われた。

 不覚にもそこ変われとか、思ってしまったあたし。

 掴んでいるパパの腕を見てみると、まぁ歳相応かとガッカリした。

 どうした、あたし。思い出補正か? 現実はむなしいのか?

 いやいやいや……あたしは頭を振って妙な考えを払拭しようとした。


「い、いやだから誤解だって、こんな子知らないよ」

 幼女を見つめてから、あたしに目を向け。

 それに君、いい加減離れてくれないかと腕を振りほどこうと身をゆするパパ。

 あたしは意地でも離すものかとしがみつき、胸の間で腕をコく。


「や、やめなさい!?」

「パパ気持ちいい?」

「バカ言ってんじゃないよ君」

 パパの反応は思ったほど面白くなかった。

 あたしは目線落とし……

 あからさまに歓ばれるのもあれだが。

 ムッツリという感じでもなく。

 ただただ、子供扱いみたいで。

 その様子が、ほんとうにあたしに興味がないのかもしれないというあらぬ不安を呼び寄せる。


「ところでこの子の名前は?」

 巨人があたしの方を見てそうたずねる。

 あたしに聞いているのではなく。

 周りに当然聞いてるよね? 教えてくれというおもむきである。

 それに対して、そういえばというように

 パパと幼女は顔をしかめる。


「ねぇ君、名前はなんて言うんだい」

 とパパはこちらに顔を向け、

 それが大変、娘のあたしには不愉快でならない事を、まったくといいほど感じていないようだった。

 もう分かってるはずなのに、

 今の幸せを壊されたくないのだろう。

 あたし達を捨てておいてそんな事、絶対に許せるはずがなかった。

 どうせとぼけているなら、

 あたしは名乗る気などさらさらなかった。

 そうだ! 偽名にしよう!

 パパをもっと苦しめて上げるんだから……


 あたしは嗜虐的な気持ちで何にしようか少し考えるとこれだ! と

「あたし、ユウシ」

 と言った。

 遊び人のあそに数字でよんで遊四と続けた。


 あたしはこの状況で最も効果があるだろう

 カードを切って場に投げった。


 そして、

 パパから順に

 遊一、遊二、

 誰もいない空間――遊三

 と指をさしていき。

 最後にその指を自分に向けて遊四と続けた。


「どういう事なのパパーー」

 幼女はフツフツと沸いていた。

 顔を真っ赤にしてこちらに飛びかからんばかりだ。

 それを後ろか抱きしめて止める遊二。


「それにもう一人隠し子がいるみたいねぇーー遊三っていう!」

「なに言ってるんだ。さちたん少し冷静に考えるんだ。そうだほらクマさん」

 とパパはいい、おもむろに横においてあったテディベアを取ると。

「僕、遊三よろしくね~」

 と人形劇を始める。

「あなたぁーー」

 何故か火に油を注ぐパパ。

 天然なのか? 天然なのか? それは天然油なのか?


「母さん! 大丈夫だからウソだよウソ」

「うそぉーー?」

 まだ気付いてない幼女にほくそ笑むあたし。

 これだから子供は純粋で助かるわニヤリ。

「そもそもそんな分かりやすい名前を隠し子に付けるわけないだろ?」


 それでも何度か名前を訪ねてくる。

 が、あたしは遊四、遊び人にあそに……とNPCのように繰り返すともう諦めるしかないようだった。


 それから散々、幼女を合法的に虐めたあたしは。

 もう帰ってくれとか、ふざけた事をのたまうパパに。

 絶対に帰らないと言い。

 それに帰ったって、もう何も解決しないよ?

 とパパを脅す。

 涙目で巨人に頭を撫でられ、なだめられてる幼女をパパは見つめると。

 はぁーとため息をつき。

 お家には連絡しておきなさいと言った。


 そうだね。

 パパも久々にママとお話したいよねと言ってスマホを取り出す。


ーー次回予告ーー


 少女の必死の説明は、何故か全く響かない

 何かがおかしい? それが少女が初めて感じた違和感

 少女が何かに気付いた時――物語は遂に始まろうとしていた


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