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Dragon Sword Saga8『古代の魔法』  作者: かがみ透
第 Ⅲ 話 廃墟のアジト
9/19

魔道士と吟遊詩人

 そこは、暗い森であった。


 地上のどこともつかない、薄気味悪い緑色をしたツタばかりが、痩せた木に、絡み付いている。


 みしり


 枯れ枝の地面を踏みしめる、ひとりの男がいた。

 夜のような漆黒の髪にマント、碧色の瞳に、整った(おもて)

 それは、ダグトが、血眼になって探している、ヴァルドリューズその人であった。


 真っ赤な地に、派手な黄色い斑点のあるヘビが、木の枝に緩く巻かれたロープのように、何重にもなって、巻き付いている。


 目ばかりが大きく見開かれた、奇妙なトリもいる。


 その中を、黒いマントに身を包んだ、その男が、平然と通り抜ける。


 ギャア、ギャア! 


 暗い夜のような空では、不吉なトリの鳴き声が、響き渡っていた。


 普通の人間であれば、真っ先に、逃げ出したくなるような黒い森だ。


 ヴァルドリューズは、顔を上げて、空を見つめた。


 星はない。


 ここがどこであるのか、見当もつかなかった。


 自分の目指し、求めていた場所とは、似ても似つかぬところであることと、異次元の森であることには、違いなかったが。


「やっと見つけた。こんなところにいたのかい? 」


 不気味な森にふさわしくない、明るい声がし、それは、ヴァルドリューズの目の前に、ふっと現れた。宙に浮かんだ格好で。


 その目の前に現れた美少年には、関心がないのか、眉ひとつ動かさない。

 関心がないどころか、驚きもしなかった。


「ごめんよ。今日は、なんだか用事がいっぱいあって、しかも、全部タイミングの難しいことばかりだったもんだから、ちょっと手間取っちゃってさ。でも、もう用は全部済んだから、やっと、きみを、目的のところまで送っていけるよ」


 ヴァルドリューズは、碧い切れ長の瞳を、美少年に向け、初めて口を開いた。


「お前が、私をここに連れてきたのだろう。今さら、何を言う」


 平坦な落ち着いた声で、ヴァルドリューズが返す。


「だから、おわびに、きちんと送り迎えしてあげるって、言ってるじゃないか」


 中性的な顔立ちの、自分を吟遊詩人と名乗る華奢な少年は、からかうような茶色の瞳で、東方の魔道士を眺めた。


「余計なお世話だと、言ったはずだ」


 ヴァルドリューズが、無表情で、冷たく突っぱねる。

 彼の、自分を信用していない目に気付いた吟遊詩人は、弁解を試みた。


「そう言わないでさぁ。ねえ、怒らないでおくれよ。あの妖精のおちびちゃんを、助けたいんでしょう? 僕も、是非きみには、彼女を救い出してもらいたいんだからさぁ。そのためには、協力するって、言ってるじゃないか」


 馴れ馴れしい吟遊詩人に、ヴァルドリューズの碧眼が、じろりと向けられる。


「なぜ、お前が、そんなことをする? 」


「僕が今、護ってる人には、是非必要なんだよ、妖精の力が。その護っている人ってのは、きみの関係者でもあるんだけどなぁ」


 ヴァルドリューズは、そのまま油断のならない目で、美少年を見る。


「いい加減なことを言うな」


「いい加減なんかじゃないよ。きみと一緒に旅をしている人だよ」


 吟遊詩人は、にっこり笑った。


「知ってるはずだよ。ドラゴン・マスター・ソードの使い手、ケイン・ランドールを。ね? ヴァルドリューズ」


 ヴァルドリューズは、目の前で微笑む吟遊詩人を名乗る少年を、黙って見つめた。


 だいたい、彼は、ヴァルドリューズに、「困っている人がいるから助けて欲しい」と、そう言って、さかさまの森から、彼を連れ出したのだ。

 だが、実際には、この暗い森に置き去りにしたまま、どこかへ姿をくらませてしまったのだった。

 というのも、ケインたちを、ドラゴンの谷へ送っていったとは、ヴァルドリューズでさえ知らない事実だ。


「困っているという話は、嘘だったのか」


「嘘じゃないよ」


 吟遊詩人は、けろっとした顔で答えた。


「では、その困っているという連中は、どこにいる? 」


「それは、『これから』の話なんだよ」


「これから……だと? 」


 ヴァルドリューズの目が細められる。


 吟遊詩人は、ふと顔を上げて、真っ暗な空を見渡すと、視線を、ヴァルドリューズに戻した。


「もう行こう。そろそろ見つかってしまったかも知れない」


 ヴァルドリューズは、そのセリフに驚くわけでもなく、不思議にも思わず、問いかけた。


「また別の次元へか? 」


「そのとおり。さすがに、察しがいいね」


 吟遊詩人と、長身の魔道士の姿が、そこから、ふっと消えた。


 と同時に、ひとりの男が、姿を現した。


「やっと見つけたと思えば……ちっ! 」


 ダグトは、悔しそうに、顔を歪めた。


 ヤミ魔道士を取り締まっている最中、他の魔道士の目を盗み、あちこちの次元を覗いていたダグトは、森の中を飛び回っていたが、ヴァルドリューズの痕跡も何も掴めないことがわかると、悔しそうな表情で、姿を消した。




「遅かったな、ダグト。どこへ行っていた? 」


 ダグトが魔道士の塔に戻ると、魔道士のひとりがやってきた。


「なんだ、ドーサ。お前には、関係ないだろう。ヤミ魔道士を追って、ちょっと遠出しちまったんだよ」


 ダグトは面倒臭そうに答えた。

 頬のこけた、少し悪役顔の中年魔道士は、上目遣いで、ダグトを見返した。


「貴様と同じ班の奴らとは、最近、別行動を取ることが多いらしいな。それに、こんな話も聞いたぞ。お前は、あのヴァルドリューズを見つけておきながら、みすみす逃がした、ともな」


 ダグトがドーサを睨む。


「へっ。そんなこと、お前が、俺に言えたもんかね? お前こそ、トアフ・シティーで、ヴァルドリューズと他のヤミ魔道士どもを取り逃がしたって話じゃねえか」


 ドーサの顔が、ほんの少しだけ紅潮した。


「私の場合は、他のヤミ魔道士のこともあったから仕方がないとしても、お前は、昔から、ヴァルドリューズに対し、執着していた。そのせいで、ヤツを逃がしてしまったのではないのか? 」


 ダグトが、カッとなって、ドーサを見る。


「俺は、昔から、あいつを知ってるんだ。昔から、あいつが憎かった。今度こそ、奴を取っ捕まえられると思ったにもかかわらず、とんだ邪魔が入りやがったんだよ! あんな奴が、仲間にいたとは……! お前が、トアフで、奴らを見た時の報告では、聞いていなかったぞ! それさえも、見逃してたんじゃねえのか!? 」


「少しは、落ち着かぬか。どのような奴だというのだ? 」


「男か女かわかんねぇ、妙に、なよなよした奴だよ。あの野郎、普通の人間が迷い込んだら、二度と出て来られねえ異次元の森から、簡単に姿を消しやがった! そいつが、ヴァルドリューズを連れ去ったんだよ! 」


 興奮するダグトに対し、ドーサは、落ち着きを取り戻しており、腕を組んだ。


「私がトアフ・シティーで見かけた時は、ヴァルドリューズと一緒であったのは、ベアトリクス王女と、神官のなりをした娘、旅の剣士二人のうち、ひとりは、長い金髪の青年、もうひとりは、栗色の髪の青年であったが……? 」


「そのどれでもねぇよ。おめえの調べが足りないのか、トアフの後に知り合ったのかは知らねえが、とにかく、妙な女男が何者なのか、おめえも知っておいた方がいいんじゃねえか? あいつは、絶対に正規の魔道士なんかじゃねえ」


 ドーサは眉間に深く皺を刻んだ。


「また新たなヤミ魔道士が出てきたか……。ダグト、後で報告書を提出するのだぞ」


「わかってるよ。けっ! くそ面白くもねえ! 」


 ダグトは近くにあった書類の箱を、蹴飛ばした。


「それからな、ダグト、ガーネスト殿がお呼びであったぞ。お前に聞きたいことがあると、おっしゃっていた。早く行ってこい」


 無言でドーサを通り越すと、他の魔道士たちがテーブルで書き物をしている中を抜け、ダグトは扉の奥へと向かった。


「まったく、あいつは、未だに魔道士には向かんな」


 ダグトの背を見つめながら、ドーサは、溜め息混じりに呟いた。




 扉の向こうでは、少数の魔道士たちが、水晶球や、刻印のされた石を連ねた輪などを手に、目を閉じ、精神を集中させていた。


 ダグトは、その中をすり抜け、奥に座っている、頭の禿げた、白い髭の、厳格な顔つきをした老人の前まで行き、(ひざまず)いた。


「ガーネスト殿、ただ今戻りました。ご用がお有りだと聞きましたが、如何(いかが)なことでしょう? 」


 ガーネストは、ダグトを見下ろし、口を開いた。


「単刀直入に言う」


 重い声が、語り始めた。


「ドーサから聞いたと思うが、近頃、お前の行動は、少し妙だと思ってなぁ」


 ガーネストの後ろから、二人の中年魔道士が、すっと現れる。

 険しい表情で、二人は、それぞれダグトを見下ろした。


「お前のヴァルドリューズに対する執着は、今に始まったことではないが、それは、奴が現役の頃から注意しておいたはずだ。魔道士同士は、相手がすぐれているからといって憎んだり、(ねた)みを持ったり、羨ましく思ったりしてはならぬ。同じ正規の魔道士として魔道士の塔に尽くし、発展させることに協力しなければならぬ」


「それを、お前は、ヴァルドリューズを敵対視するあまり、当時は蹴落とそうとさえ、しているかのようだった。奴が現役の頃から、我々も、お前には、再三再四に渡り、注意をしてきたはずであったが、未だに、お前には伝わっておらぬようだ」


 ダグトは下を向いたまま、唇をかんだ。

 二人の魔道士の話は続く。


「ただ捕えればよいものを、自分の思い入れから、彼を魔道士の塔には引き渡さず、個人的に恨みをはらそうとしているのではないか、との見方もある」


「もし、そのような理由で、彼をここへ引き渡すつもりがないのだすれば、近いうち、お前にも処罰が待っているぞ。その上、ヴァルドリューズを取り逃がそうものならば、処罰は、さらに厳重なものとなろう。わかっているな? 」


 三人の魔道士たちの威圧的な空気が、ダグトの上にのしかかる。


「お前を呼びつけたのは、まあ、このようなことだ。お前たちは、もう下がってよいぞ」


 脇にいた魔道士二人を下がらせると、ガーネストは椅子から立ち、ダグトに背を向けた。


「これは、ワシしか聞いておらぬ話だが……」


 ダグトは、頭を低くしたまま、黙っている。


「お前には、もうひとつ妙な噂もある。上層部で内密に、ずっと保管してきたものが、突然消えたそうだ。知っての通り、魔道士協会の人間以外は、ここに、ましてや上層部になど入ることは出来ぬ。従って、内部の人間の仕業と考えるほうが自然であろう。そのものの行方に、お前ならば心当たりがあるのかも知れぬと囁かれているのだが、どうだ? 身に覚えはないか? 」


 ガーネストは目だけを、跪いているダグトに向けた。


 ダグトの様子は変わらず、冷や汗を流すでもない。ただ屈辱に唇を噛み締めている。


「なぜ、自分の名前が、そこに上がったのでしょうか? 」


「確かな証拠はないそうだ。だが、お前の行動を見ていると、今までとは違う魔法をも操るようになったのではないかと」


「例え、上級の魔道士であっても、修行はかかさぬものです。出来なかった技が出来るようになることが、それほどに、珍しいことでしょうか? 」


「その『出来るようになったこと』は、普通の黒魔法でも、白魔法でも出来ないことだ、と聞く」


 ダグトが、一瞬、黙る。


「それでは、いったい、私に、何が出来るようになったと言うのでしょうか? それが、普通の黒魔法ではないのだとしたら、どんなものだというのでしょうか? 」


 ガーネストは、その質問には答えずに、続けた。


「とにかく、最近のお前の行動には、反省すべき点が多い。ヤミ魔道士取り締まりの他にも、提出してもらう報告書は多いぞ。以後、気を付けるように」


 ガーネストは、ダグトに背を向けると、それきり口を閉ざしてしまった。


 ダグトは挨拶をし、出て行った。


(なんだってんだ、あのじじい! いっつも、俺ばっかり叱りやがって! )


 ダグトがイライラしながら自分のテーブルにつき、羽ペンで、カリカリと、山積みになっている羊皮紙に書きなぐる。


「ダグト、さきほども言ったが、ヴァルドリューズと一緒にいたという男の特徴も、出来るだけ詳しく書くのだぞ」


 ドーサが背後から念を押す。


(わかってるよ。まったく、いつもうるせーんだよ、てめえは! 威張ってんじゃねえ! )


 ドーサが、ダグトを振り返る。


「『心話』で悪態をつくのはよせ」


(ふん! どいつも、こいつも、気にいらねえ! )


 ダグトは黙ったきり、書類の山を片付けていった。




「こうやって、ちょっとずつ、いろんな宝石を削っていって合わせると、まじないの効果が出て来るんですって」


 ミュミュは、言いながら宝石をナイフで削るラン・ファの手元を、テーブルの上に、腹這いになって、眺めていた。


「その粉をナイフにふりかけると、ちょっとした対魔物用になるの。どのくらいの魔物にまで通じるのかはわからないけど、ただのナイフよりは使えるでしょう」


「ふうん。おねえちゃんは、どうしてそんなこと知ってるの? 」


 ミュミュは不思議そうに、ラン・ファの黒い瞳を見上げた。

 ラン・ファが手を止める。


「私には、魔道士のお友達がいるの。知り合って、まだ間もないんだけどね。その人から、教わったのよ。彼のオリジナルの魔法みたいで、魔道士の塔さえも知らないことなんですって。だから、他の魔道士には絶対内緒にって、言われてるの」


 ラン・ファは人差し指を唇に当て、片目をつぶってみせた。

 ミュミュも真似をして、指を口に当てる。


「わかった。ミュミュ、絶対言わないよ」

「そう、いい子ね」

「その人って、どんな人? ラン・ファおねえちゃんの彼氏? 」


 ラン・ファがくすくす笑った。


「ただのお友達。そうねえ、魔道士にしては、ちょっと変わった人だったかも知れないわ」

「どこにいるの? 」

「南の方の国よ」

「南の国!? 」


 ミュミュが瞳をくるくると輝かせ始めた。


「ミュミュ、南の国に行ったことない! カイルが言ってたけど、南の国って、こっちとは全然ふんいきが違うんだってね? 美味しい果物や食べ物がいっぱいあるんだって! 」


「そうよ。こっちの大陸と違って、海の向こう側の国とも取引があるから、本当にいろんなものがあるのよ」


「ミュミュも行ってみたいなー! 珍しいもようのトリさんとかもいるんだってね? ミュミュ、そのトリさんに乗ってみたいなぁ! 」


 ミュミュは、うっとりと天井を見上げた。


 ラン・ファは、そんなミュミュを、微笑ましく見つめていた。


「ここを出られたら、ヴァルドリューズにでも連れていってもらうといいわ。カイルくんにも案内してもらったら? 」


「うん! ミュミュ、そうする! 」


 ミュミュは立ち上がって、テーブルの上で飛び跳ねた。


「おねえちゃんも行こう」

「えっ? 」

「ラン・ファおねえちゃんも、ミュミュたちと一緒に行こうよー! 南の国には、お友達もいるんでしょう? 」


 ミュミュは、ラン・ファの手を引っ張った。

 ラン・ファが、少し浮かない顔になった。


「……先のことは、わからないわ」


「なんで? どうして? ここを出たら、マリスに用があるんじゃなかったの? その後、おねえちゃんも一緒に旅をすればいいよ。ミュミュ、みんなとも、おねえちゃんとも一緒にいたいし、マリスだって、おねえちゃんと一緒なら淋しくならないと思うよ」


 ラン・ファがミュミュを見た。


「マリスは、淋しがってるの? 」


「ううん。野盗とかやっつけて楽しんでるよ。だけど、たまに、ベアトリクスのこと、思い出すみたい。そういう時は、なんだか、ちょっと淋しそうだったよ」


「そう……」


 ラン・ファは、マリスの幼い頃を思い浮かべた。

 短い黒髪に、黒い瞳の元気な少年ダンとは、いつも一緒だった。

 当時は公子の身分であった、現在のベアトリクス王子セルフィスと三人で、楽しく過ごしていた。マリスが、国王の娘だと発覚するまでは。


(王女と正式に認められてからは、ダンが国を出てしまい、私も旅に出てしまった。恋仲だったセルフィス様とも婚約者となった彼女の人生は、順風満帆だと思っていた。だから、安心してベアトリクスを出たのだけれど……)


 今からちょうど一年前、マリスと偶然会えた時のことを、ラン・ファは思い出す。


(一年前に再会した時、私には、どうも、あの子がヤケになっているようにも見えて……。ベアトリクスでの陰謀で、まさか、亡命していたなんて……。あの子が大変だった時に、一緒にいてやれなかった。それを補うように、一年前は、しばらく、あの子とも過ごした。ヴァルドリューズと彼女の召喚魔法の訓練も、険悪な感じで、心配したけど、ヴァルドリューズも、最初に出会った時ほど冷酷ではなくなってきたから、彼に任せて、旅立たせてしまったけれど……それは、私たちの都合もあった)


 ラン・ファは、ヴァルドリューズの無表情な顔を思い浮かべると、沸き上がる強い感情を振り払うように、思わず、視線を横に、窓の外に向けた。


(私は、もっと、マリスのそばにいてあげなくちゃ、いけなかったのかも知れない。なのに、いつも私の都合で……! )


 複雑な想いにかられているラン・ファに気が付いたミュミュは、ラン・ファの手を揺すった。


「おねえちゃん……? どうしたの? マリスが心配なの? 」


 ラン・ファは我に返り、心配そうなミュミュの頭を、やさしく撫でた。


「そうね。ちょっと心配だわ。ここを出たら、マリスに会って、とにかく話をしてみるわ。一緒に旅をするかどうかは、あの子の様子を見てから考えるわ」


「じゃあ、おねえちゃんも、一緒に旅をしてくれるかも知れないの!? 」


「まだわからないけど、マリス次第ね」


「一緒に行こう! 一緒に行こうよー! 」


 ラン・ファは、必死に訴えるミュミュを愛しく思い、ミュミュを手に乗せると、その小さい頬に、チュッと口づけた。


 ミュミュも嬉しそうに、ラン・ファの頬に、口づけを返した。


 そこへ、突然、ドアを開ける音がし、黒いマント姿が現れた。


「ダグト!? 」


 ラン・ファの声に驚いて、ミュミュがテーブルに飛び降り、ラン・ファの影に隠れた。


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