8巻あとがき
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
そして、お疲れ様でした。m(_ _)m
ヴァルの外伝のようでもあったこの8巻は、いつもと違って、ちょっとシリアス気味でした。
解決したというより、課題を出された感じ?
大丈夫だ、ヴァル!
キミなら出来る!
そう! 丸投げです! (笑)
悪役には悪役の生い立ちがあり、言い分があり、ああなってしまったには、どんな人生を送ってきたのか、すべて理由があると思うのです。
ダグトは、実は、淋しがり屋だったんですね。
誰かに、認めてもらいたかったという思いが強かった。
過去を書いてみると、努力家ではあったのは充分わかりましたが、ねじくれてしまった。
生い立ちは、詳しくは書きませんでしたが、望んでいないのに道場に住み込みになった、と思っているようでしたので、淋しさは既に始まっていて、普通に親と同居していただけでも、彼の人生は、もう少し違ったものになったかも知れません。
ですが、弱い心は、いつかは悪い方向に現れてしまう。
強い心であれば、どんな環境においても、切り抜けて行くのでしょう。
強い心とは、周りに、自分の理解者がいればこそ育つもので、理解者とは、まずは『親』でしょうか。または、兄弟姉妹、友達、先生などの他人でも。
もうひとり、一見、人間が出来ていそうだったヴァルドリューズ。
彼は、随分、無気力な子供でした。
欲もまったくない。
これはこれで、危険な子供だ。
あやうく冷たい機械のような人間になるところでした。
外伝2『光の王女』で、マリスと、サンダガーの特訓をしている時、その非情さに、マリスが逃げ出したくなるほどでした。
しかし、動物には好かれていて、本人も動物好きではあったので、根っからの冷酷人間ではなかったらしかったのですが、人に対しては、心を閉ざしていた。
ダグトは、このような部分に自分と共通項を感じ取ったのか、或は、彼に惹かれ、憧れていた? 実は友達になりたかった? ーーのかも知れませんが、素直に自分を出せる人ではなかったのと、なんでもかんでも「なんか気に入らない」で済ませ、自分の気持ちを分析しないでいたため、変に『執着』という形になってしまった。
ヴァルドリューズも、正義の心があったというよりは、理性が強かったように思えます。「これが正しいと思ったからやる」ではなく、「そうするのが最善の策ならば、しなければならない」のように。
だから、彼には、ケインが自分の頭で考え、「正しいと思ったからやる」場面を目の当たりにして、マリスとともに魔物退治の旅に出た自分と、結果は同じであっても、いきさつは、まったく違ったものに思えたのでしょう。
ケイン、カイル、クレアは、自分の意志で、旅に同行することを選びました。
それだけでも、ヴァルは、彼らを、自分で考えることの出来る人間だと、尊重しているのではないでしょうか。
それと、ラン・ファ。
彼女との出会いが、まずは、ヴァルに変化をもたらしました。
ですが、一緒に旅をしていない。
理由は、『光の王女』で。
そのうち、本編でも明らかになるかも? ……ですが。
今後は、ご一行の子供たちを温かく見守るお父さん役に、なってくれるといいです。
そうそう、この8巻では、ラン・ファが本編初登場しました!
ヴァルはあんまり喋らないし、ダグトは陰気だし、魔道士たちも重苦しく喋るし、セリフ自体が少ないものだったので、当時は、筆がなかなか進まなかったようです。
そんな中で、ミュミュやラン・ファが、心を和ませたと、あとがきにありました。
自分からは脱出することを考えず、ただ助けを待っているミュミュだけよりも、自分で道を切り開こうとするラン・ファがいて、話がもったようです。(^^;
そのラン・ファも、幼い頃は、両親と離れ、意外と苦労していたみたいでした。
ですが、ひねくれず、だからこそ、人の痛みがわかる人に。
彼女は、身も心も強く育ったんですね。両親と離れていても、実は絆は深かった? 自分を認めてくれる師匠がいたり、友達がいたりしたからが大きかったかと。
ミュミュも、これまでになかった一面を見せていました。
ケインと組むと、なにかと失敗の多い彼女でしたが、今回は頑張りました。
今後も、成長していってくれるといいです。
えっ? それだけ?
その他の登場人物や注釈です。
魔道士の塔に出て来たドーサーーダグトに伝達をしていた人ーー彼は、以前トアフ・シティーで、スーちゃんたち黒い騎士団とバトル中に現れ、ヴァルとマリリンちゃんを、ヤミ魔道士だと言って、とっ捕まえようとしていた人です。
覚えてなくても話は通じるので、ご安心ください。
ダグト、始末書を書かされてましたね……。
『心話』の魔法で、ドーサに悪態もついていた。しょうもないです……(^0^;
魔道士の名前というのは、過去にいた魔道士から取ったものだったのですね。
だから、皆、本名は別です。
ダグトの本名『ティエ・ジエン』は、当時はなかったので慌てて考え、『鉄』『強』から連想しました。
『光の王女』のあとがき(おまけの方)にも書きましたが、ヴァルの本名フェイ・ロン=飛龍、ラン・ファ=蘭華です。
そして、ここにも出て来た吟遊詩人。謎の人。
正体は、第一部終了(10巻くらい? )にはわかります。
それでは、ここで、なんとなく、ケインを呼んでみましょう。
ケイン「あのー、『なんとなく』で、呼ばないでもらえます? 」※眉間にシワ
作者「いやあ、『あとがきにキャラクター出す』って、予告しちゃって。過去のあとがきにケインが出てたから。でも、今回は、いらなかったかもな〜」
ケイン「ひどくない? 」
作者「まあまあ、現在連載中の作品には、本編にも外伝にも出て来てないので、久しぶりってことで。主人公だって、忘れられないようにさ! 」
ケイン「この8巻連載中に、新作UPしてたよな? 新作って言っても、『Dragon Sword Saga』より先に出来た話らしいけど。最近、その恋愛コメディー「カクテル・バー『J moon』」の方で、俺の素になってるキャラだという『奏汰』を書いてるもんだから、それで満足しちゃって、俺のこと忘れてるのは、作者の方じゃないの? しかも、俺自身が今、記憶喪失(一部)だし。それって忘れまくりだろ? 」※三白眼になって睨む
作者「いやいや、きみのことは、水面下で書いておりますよ〜! ああ、最近は、止まってるけど」
ケイン「やっぱり、書いてないじゃないか! しかも、水面下って? (>_<)」
作者「大丈夫、本編はこれからだけど、ちゃんとUPするってば! それでは、あとがきに戻って……。当時、読者になってくれていた友人のひとりが、『少年ヴァルが食べていた辛いスープが美味そうだ! 』と言って、そこから、勝手に独自のメニューを考えてくれました。ついでに、それを載せておきます。ああ、ヴァルの飲んでいたスープ(チゲみたいなのだったかな)とは、違いますので。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜☆東洋鍋(ラータン鍋)☆〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
★材料:鶏、豚バラ、野菜、えび、ねりもの(おでんの具、つくね、つみれなど)
★調味料:黒胡椒、鷹の爪、ねぎの青いところ
トリガラスープ、日本酒、ゆずポン酢、ナムプラー、
レモン汁、豆板醤(多め)
《作り方》
大きめの鍋に水を適当に入れ、だし袋に入れた黒胡椒、鷹の爪、ねぎの青いところも一緒に浸し、火にかける。
沸騰したら、肉類、えびを入れる。
材料に火が通ったら、野菜、ねりものなども入れてしまい、あくを取る。
その後、だし袋とねぎは取り出す。
後は、調味料を加えていき、必ず味見をする。
好きな味になったところでやめる。
お好みによって、うどんやおもち、ゆで卵を入れるのもよい。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ケイン「どんな味になるのか、まったく見当付かないんですけど? 」
作者「当時、その友人が材料を入れ、味付けは、作者だからって私がやらされた。ちなみに、その友人は、料理経験があまりなさそうだったので、味見が怖かった。(^^;」
ケイン「闇鍋!? 」
作者「みたいな(笑)。でも、意外に、美味しかったかと。辛いの好きな人は、豆板醤で調整してください。当時は、ティースプーン山盛り3杯入れた記録が……。最後は、作る本人の舌だけが頼りという」
ケイン「無責任なレシピだね。(^0^;」
作者「全体的に、トリガラベースの鍋で、酸味もあり、スープの色は白っぽい茶色でした。友人が勝手に考えるには、ラータンには、赤と白のスープがあり、風を引いた時などは、赤のスープがいいのだと。上記は、『白のスープ』で」
ケイン「それで、『赤のスープ』は? 」
作者「『赤のスープ』には、トマトとショウガを入れ、調味料は洋風にしたが、なぜか中華風の味になったらしい」
ケイン「赤いスープのレシピは、……ああ、あった! 白ワインやコンソメ使ってるけど、トリガラスープも使ってて、具材は赤と同じだからか? 」
作者「ですかね? なんか、小説の創作から、そんなことまでしていたようです。(^∇^;」
ケイン「……腹が減ってたの? 」
作者「かもね(^_^; それでは、本編は、次回9巻に。半分くらいは、外伝2『光の王女』の前半舞台だったベアトリクス王国の話とか、他の人の話の予定。本編初の、ベアトリクス編です」
ケイン「ってことは、セルフィス王子が初登場!? 」
作者「そうです! 側付き魔道士ギルシュは、前に、砂漠編で、ちらっと出たか。本編では謎のベアトリクス、あちらでは、今、どうなっているのでしょうか? そして、行方不明中の重要人物も登場。『彼』は、今、何をしているのか? その前に、外伝カイル編『トリック・オア・スイート』の続きも書こうかな」
ケイン「俺の出番が、どんどん遠ざかっていく……」※遠い目になる。
作者「それでは、今後とも、どうぞ、よろしくお願いいたします。(^∇^)/」




