『取引屋』
「あーあ、とんだ厄日だぜ。」
そう俺が呟き、歩きながらに道端に転がっていた缶を蹴飛ばす。
自動販売機で詐欺られるし、営業店はどこも開いてないし、やっと見つけた営業店で飲物を買おうにも全部偽金だったし..。
「しかも、今からあいつにも怒られることになるなんて……よ!」
そういって缶を思いっ切り蹴る。
缶は割と遠くへと飛んでった。
そしてその缶の方向の路地裏に、誰かいることに気付く。
「あんなところに人陰……。」
俺は期待を胸に、路地裏へと近寄る。
「身体で許されるだけマシと思え!さっさと脱げよ!」
「や、やめて……!やめて下さい!」
そう、三人の男が、女の服を無理矢理剥ぎ取っている光景。
ビンゴ……!
「とんだ幸運だ!」
すぐさま、女の回りの男を蹴り飛ばす。
男達も、すぐに立ち上がり、こっちに怒りの刃を向けた。
「てめぇ!いきなり何しやがる!」
「何したか?それはこっちの台詞だろ?お前らはこの人に何してたんだよ。」
そう逆に尋ねてやると、男が舌打ちする。
「お前ら!こいつもぶっ殺すぞ!」
そういって、二人の男を呼び寄せ、三人でこっちへと向かって来る。
最高だ!久々に戦える!
「悪いがストレス解消に使わせてもらうぜ!」
俺は男達に向かっていった。
西暦とか、なんとかはしらないが、俺達の生きている現代は、きっと最悪の状況なんだろう。
昔は世界にはルールがあったらしいが、俺が生まれた時にはそんなものは、とうに廃れていた。
だからか、犯罪なんて概念さえなく、人は好き勝手にやりたいことをやっている、そんな日々だ。
そんな中俺は、好き勝手にやりたいことをやってるやつに、好き勝手に戦いを挑むことで、ストレスを解消していた。
そして、人々が好き勝手に振る舞うようになった理由は、人それぞれが『力』をもつようになったからだといっていた。
そう、「人それぞれが、それぞれに魔法みたいな『力』をもっているから」と。
『力』によっては、誰にもばれずに何かを盗めるし、誰にもばれずに誰かを殺せる。
逆に、いつの間にか何かを盗まれるかもしれないし、いつの間にか殺されているかもしれない。
それらの心情が、全ての秩序を乱した。らしい 。
「ただいま、っと。」
そういってぼろ臭いアパートに入る。
玄関などないから、靴のままで中へと入る。
そこにはボロ臭い服を着た、男にしては少し長い髪をした、糞野郎がいた。
「ん?なんだ、戦いにしか脳がない野郎のくせに、女性をつれてくるなんて、明日は天から沢山の恵みがきそうだな。」
「俺だって、女になんて興味ねぇよ。」
「女性の前で『興味ない』って……、少し傷つきますね……。」
そういって、女性が前に出る。
「私は、こちらの方に助けられたもので、名前はジーナ=ストレイジです。」
そう頭を下げる。
それと同時に、きれいな長い髪の毛と、大きい胸が垂れ下がった。
「…………Fか。」
糞野郎が胸をガン見しながら呟く。
こいつは本当に糞だな、
「しかもFじゃない、Gだ。」
俺がツッコむ。
「なんだテメェも人のこといえないな。」
「おまえとは違って下心はねーよ。」
そう小声でいっている間に、ストレイジは頭をあげていた。
「……それで私がここ、『取引屋』にきたのは理由があるんです。」
『取引屋』というのは、俺達が開いている店のことだ。
簡単にいえば『何でも屋』とか『万屋』だが、気に入らなかったため『取引屋』で営業している。
それをきくと、 すぐさま糞野郎も真面目モードにはいる。
ストレイジがここにきた理由を聞くために。
「この本の内容を、人々に広めてほしいんです。」
そう女性は真剣にいった。
「本?」
俺が尋ねる。
女性はすぐさま持っていた鞄から、分厚い本を取り出した。
「神についての本なんです。」
「神について?また面白いこというな。」
「話は最後まで聞いてから口を出せ。」
そう怪訝そうに糞野郎がいってくる。
お前だって想ったことだろ。
内心で反論する。
「その、『この世界には神がいる』、と人達に伝えたくて……。」
「それは、本当に人々に信じてもらいたいだけなのか?それとも治安を『犯罪』の悪さを伝えるためか?」
「信じてもらうためです。」
ストレイジが、はっきりといった。
それをみて、糞野郎は歯を見せるように笑い、キメ顔で口を開く。
「わかった、引き受けよう。」
そういうと、今更ながらに自己紹介をはじめだす。
「俺はケイト=ユノワール、でそっちの短髪の戦闘好きはレム=ロバートだ。よろしくな。」
そういって、ケイトがストレイジに手を伸ばす。
「こちらこそよろしくお願いします。」
そういって、ストレイジもケイトの手を握った。
ここまで読んで下さってありがとうございます。
突然ですが、失礼ながら、この作品は勢いで書いていきたいため、誤字や、地の分の単調化や意味が不明となる部分があらわれてくると思います。
見つけ次第書き直すので、生暖かい目で見守って下さい。