②~楽園の都~
リンゴをちびちびかじって1時間...。
俺はいつの間にか王都の城門が見えるところまで近づいていた。
「うわぁ~、改めてみるとやっぱでかいなぁ...。」
見た目からしてまさに楽園の都のようなとても大きな城に動揺しつつも、
とりあえず城門にいる2人の兵士にコンタクトを試みた。
「ええっと...」
...何を話していいかわからない。
「...貴様、何者だ?」
警戒しながら槍を突き立てる兵士。
「ええっと...ご、ご飯を食べ...に来ましたぁ~!」
...やっちまった。
何言ってんだ俺は...。
さすがに戦争中の国にこんなこと言うのは失礼だろうが、
何も考えてない俺がバカだった。
門前払い決定だな...。
諦めかけて肩を竦めた俺だったが、兵士の一人が予想外な話を持ちかけてきた。
「金が欲しいのか?」
「えっ、あっ...はい!」
「だったら王国兵団に入団するといい。」
確か他国の者は王国兵団入れなかったはずなのだが...
「今、わが軍はレジル帝国と戦争下にある。」
「わが軍は極めて劣勢な状態が続いており、
国が王都まで押し寄せてくるのは時間の問題だろう。」
するともう一人の兵士がこう言った。
「今は一人でも兵士が欲しい。たとえ犬でもな。」
...
少し考えてから...
「ご飯食べれますか?」
腹がものすごく減っている俺はそう答えた。
「入隊すれば、食事や寝床くらいある。」
「じゃあ入る!入ります!入らせてください!」
だんだんと兵士に顔を近づけながらそう答えた。
「まあ...問題はどこの部隊に配属されるかだがな...。」
「えっ?」
近づけた顔を元に戻し、そう答える。
「とりあえずついてこい。」
そう言うと2人の兵士は門を開け城内に入った。
とりあえず俺も兵士に続き中へと入る。
城内では市場でにぎわう人々。
「これあげる!」
少し歩くと小さな女の子が近づいてきて、俺にホットドックをくれた。
「貰っていいのか?」
ホットドックに目を奪われながらそう言った。
「うん!」
そう答えると少女は嬉しそうに親の方へ走り去っていった。
少女の母親はまるで「よくがんばったね!」っと言うように少女の頭を撫でている。
...恐らく兵士と兵士に挟まれている俺が
どこかのお偉いさんに見えたのだろう。
幼い少女がホットドックをタダでくれるとは...
...ここは楽園か?
そんなことを考え、アツアツのホットドックをほおばりながら
城の正門(さっきの城門とは別の)メインゲート前に到着した。