私の家は事故物件?
ここ数年の間、気になってたことがあった。
それは、自宅にいると誰かに見られている気配を感じるという事。
私だけならよかったんだけど、どうやらそれは息子にも影響を与えてしまったようで…。
「ねえサトシ、それ…ホント?見間違いとか夢とかじゃないの?」
「違うよ?母さん。だって僕はずっと見てきたから。子供の頃寝てた布団の中に黒い影が入っていたし、何なら部屋のあちこちでいろんなもの見るよ。」
「え〜!でもここは昔から住んでる場所で、事故物件じゃないよ?何で?」
そう、それは確かに事実である。
結婚してここに越してきてからと言うもの何十年も住んでいるのだ。ありえない。
「ねぇ、もしかして母屋以外でも見えたりする?例えば離れとか。」
「古いほう?新しいほう?」
「どっちもだって。」
「古いほうは鍵かかってて入れないからわかんない。でも新しいほうは出るよ。だから子供部屋だって言われても行きたくないんだ。」
「そうなの?知らなかったわぁ。なら使うのはやめとこう。でも母屋は何ともならないよ?盛り塩でも使おうと思ったけど、父さんにこっ酷く怒られたからさ。近所の目があるからって。何かあったら…では遅いのにね。」
「うん、分かった。」
「でもどうしようかなぁ?サトシ、倒れたりするじゃん。頻度も高いし。これをこのまま放っておくのはどうかと思うよ?現に今この事をパソコンで入力してるとコンコンと大きな音がするし。」
「怖い怖いと逃げてても始まらないかもしれないから、母さん色々と調べてくるよ。」
「そんなぁ〜、大丈夫?そう言えばそう言うのネットで調べたら色々と出てくるって話し聞いたことあるよ?」
「映画もやってたよね?まんまおんなじだけど…【事故物件】って。」
「そうそう。それな。でも第二弾が今度やるらしいから、ますますやだな。」
「まぁ、見に行くことはないから大丈夫だけど、何とかならないかなぁ〜?お守りも効かないしね。」
「だね。困っちゃうよ。どうしたらいいんだ?僕はわからない。」
「お母さんだってわかんないよ。まぁなるべく意識して見えないと思うしかないか?無理かなぁ?」
「多分無理じゃね?」
「後は…引っ越しかぁ〜。1番現実味がないよね。父さんその他の話は信じないから。」
「確かに…。」
「母さんも最近じゃあ家にいるのが苦痛で…。車に乗ってのドライブは好き。」
「母さんも無意識に感じてるんじゃね?元々見えてたって昔言ってたじゃん。」
「あゝあれね、修行して見えるようになったんだよ?今はそう言うことしてないから全くだけど…。」
「そうだったんだ。じゃあ、僕が見えるのは母さんの影響?」
「かなぁ?妹は全く見えないみたいだけどね。話にも上がらないし。」
「良いなぁ〜。うらやま。」
「とにかく無視するしかないかなぁ〜?」
「う〜ん、難しそうだなぁ。」
「やるっきゃないよ。じゃないと怖いのは消えてくれないよ?」
「わかった。努力してみるよ。」
2人での話はこれで終わり、母さんは買い物に出掛けて行った。今家にいるのは僕1人だけ。
まだ見られてる感はあるけど、なるべく無視するようにした。だって見えたって何にもできないんだよ。無理じゃん。」
ペットもいるからその相手をしてたらそれのことも忘れていた。と言うことは分からなくなったか?それならそれで良いんだけど…。
私がこの件を話さなくなってから息子がこの話をするのは無くなった。見えなくなったかと思ったけどそうではないようだ。
「母さんの言う通りに無視してるだけ。」って言ってたな。
う〜ん、考えても答えは出ない。
だからね、息子は昼間は寝てることにしたって。
昼夜逆転してる。
仕方がないと言えば仕方がない。
そんなある日、バタンと言うもの凄い音がした。
見に行ってみるとそこには息子が倒れていた。
「どうしたの?」
「もう嫌だ!えらい。怖い。」
弱音を聞いたのは初めてだったのでどうしたもんかとオロオロ。
そこに旦那がやってきて、「こう言うことは何度かあったのか?」と聞かれたから「うん。」と答えた。
それからは何も隠すことをやめて色々と旦那と話をした。
今後についても…。
まぁ簡単に言えばさっと引っ越せば良いんだろうけど、親戚の手前そうはいかないことは分かり切っていることなので、息子だけを退避させることにした。とは言ってもなかなか良い物件が見つからない。新築でいいかなと思っていたところは大体が借りてが決まっているか息子が何かを感じる場所が多かったから。
そこで考えたのは息子自身で見聞して決めてもらうと言うこと。まぁ、予算の関係があるから高い場所には住めないけどね。
決まったらそっこー一人だけ引っ越した。
それからは息子は倒れることは無くなったそうだ。
引っ越させてよかったと思う。
問題は我々だ。
感じなくても…いや、私も感じるが、今のところ悪さはない。最後の手段と神頼みすることにした。毎日毎日お経をあげ続けていたらそれはある日突然感じなくなった。
よかったと思った瞬間だった。