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8/11

8: 北大西洋の孤島

この物語はSFカテゴリーにて投稿中の『光と陰-織りなす夢の形-』のプロローグ(下巻)です。主人公”ヒデ”の視点でソフィアとジュリアのBLANC TWINSが描かれている日記をお楽しみください。


 《あらすじ》

1980年代のある夏の暑い日に偶然上野公園で1人の金髪美女に出会う。まるでアニメフィギュアのような容姿のソフィアにノックアウトされてしまった。生まれて初めて情熱を感じるようになった理屈っぽい性格の大学生のヒデ。そして今までろくに1人で国内旅行もしたこともない彼だが、それがきっかけで夢を探すヨーロッパへの一人旅が始まった。ヨーロッパの国々で過ごすとともに異文化や価値観の違い、また真のライフスタイルというものを実感する事になる。しかし、その先には予想もしていなかったことが起こるのであった。さて異文化の果てとは一体どんなことろなのであろうか?


日本での価値観しか知らないヒデは、スイス・フランス・イギリスと放浪しつつその国のカルチャーや価値観の違いを体感し少しずつ異文化を理解し吸収していく。

そしてその異文化の果てには・・・


その先には驚くべきパラレルワールドがあったのだ。ソフィアとジュリアの謎の双子美人姉妹 Blanc Twins との関係が深まり吸い込まれるようにSF体験をしていくのだが…


モラトリアム期間にいる思春期のヒデは『いったい自分の夢のかたちとはなんなのか?』という問いかけに悩みながら自分なりの将来を模索していく。


荒廃したパラレルワールドを舞台に水陸両用の移動ヴィークルであるホバージェットでヒデと一緒に旅をする美人姉妹の妹ジュリア。彼女と一緒に行く先々で戦いに巻き込まれながら“剣姫ジュリア”に惹かれていく。

そして2人はお互い同じ価値観を持っている事に気が付き愛が芽生えていくのだが…


本編も宜しくお願いいたします!

さて、早速ホバージェットに戻り、僕らはハドソン湾を後にして北極海に出た。この辺りはサブマリンが偵察のために周回しているので僕らの存在は予め知らせてある。帝国の船舶だと思われて魚雷を1発くらえばお陀仏だからだ。温暖化したと言っても未だ流氷は存在している。しかしこの流氷の氷の中にブルーが存在するのはなんとも神秘的な光景である。僕らは戦時下の流氷を眺めながら、左手方角に位置するグリーンランドとバフィンアイランドを背にまずはニューファンドランド島へと向かった。そしてその遥か先の北大西洋上にアトランティスが浮かぶのだという。位置はポルトガル沖約1000キロメートルと、僕の世界でいうアゾレス諸島が浮かぶあたりとなる。この辺りは北アメリカプレート・ユーラシアプレート・アフリカプレートのアクティブな3重会合点上にあり、新第3紀の火山活動から続く9つの火山でできた群島である。そもそも1つの陸地であったが、やはりここの世界でも温暖化の影響を受け低地が沈み群島という地形になってしまった。その中の大きな島がアトランティスと言われているのだ。


出発してからは、なるだけ早めに激戦地から離脱したいため夜通し航行し朝方にはやっとニューファンドランド島が見えてきた。海岸線付近を移動しているのでセントジョンズの街並みも確認できる。教会を頂きにしたカラフルな家々が綺麗に並んでいた。この辺りはまだ平和であることが確認できた。そして、ここから僕らは陸地を離れてこの北大西洋のど真ん中を東南東方向に向けて進むのであった。


今までホバージェットの海路では、海といえども海岸線付近を必ず航行してきた。すぐに陸に脱げられるようにだ。今日は天気が良いので嵐は想定外であろう。それは良かった。軍艦とは戦時下であっても地理的にこちらにやって来るメリットがないため遭遇しないことを願うが、海賊はいるであろうと容易に想像がつく。一体ジュリアはどう感じているのだろうか? 聞いてみようと思った。 

「ねえ、ジュリア! 海の真ん中で海賊に遭ったらどうする?」、「そうよねー 私もそれを心配していたんだけど、一応ステルス塗装してもらったから目視で見つからない限りレーダーでは捕まらないと思うわ。こちら側の索敵レーダーをマックスにしてまずは注意しましょう。もし出会っちゃったら、まあ行く途中に島は幾つもあるだろうから上陸して戦うしかないわね。もし島がなかったら・・・その時はその時ね。」と、いく先の危機があるにも関わらず、僕らは不思議にもレーダーと目で見える範囲に注意を払いつつもお気楽に航行していった。


南下するに従いどんどん気温が上昇してきたため僕らは夏服に着替えた。そして南の海をクルーズしているような温かい海風を感じるようになってきたため、開けられる窓を全て開けて風を船内に誘い込んだ。「気持ちいいね! 最高な気分だわ。ランチタイムは一旦停止してデッキで食べない?」、「そうね!いいアイデアね! そうしましょう!」


僕らはランチタイムになり、ちょうど先ほど調達してきたオーガニックの肉野菜のサンドイッチとワインを持ってデッキに出た。「しかしほんと気持ちいいねー ミハスコスタのビーチで食べたの覚えてる? その時と同じように最高の気分だよ。」「そんなこともあったわね。随分昔に感じるわ。」360度見渡す限り広大な『海』。僕らは海の藻屑となって浮かんでいる。今までは視界のどこかに陸地が見えていたので、360度大海原のうねりの中で、このボバージェットのあまりの小ささに今まで感じたことがなかった不安を感じるようになっていた。そこでワインでも飲んで気持ちを上げていこうと思ったのだった。「このカナダの赤ワインも美味しいね! 凄く幸せな気分になるよ。今まであまり太陽にあたっていなかったから久々の日光浴ってほんとに気持ちいいよね。」と言って、僕はティーシャツを脱いで上半身裸になり日光浴を始めた。ジュリアもワインを飲みながら、半袖のシャツを脱いでタンクトップだけになった。海風を浴びながらしばし目をつぶり日光浴を満喫した。僕らは時の流れがとまったかのような幻想の中で寄り添っていた。


「そろそろ 日が暮れる前に進みましょう! 行くわよ!」と言ってジュリアがエンジンを掛けてまずレーダーを確認した。そして大海原を東南東に向けて全速力で進んでいく。波も高くないため順調にマックススピードで航行ができたのだ。4、5時間ぐらい経ったであろうか? 途中なんと鯨たちにも遭遇した。生まれて初めて見る鯨のファミリーはものすごく大きかった。最初はそのサイズに驚いたが、僕らの隣でまるで友達のように泳いで潮を吹いたりしながら触れ合い、信じられないような素晴らしいひとときを過ごすことができた。やはり僕は鯨やイルカはもちろん、オルカも好きだ。なんとなく人類と同じような波動を感じる。そして海はどんどんコバルトブルーの淡いブルーへと変化してきていた。もうかれこれ半日以上大海原を真っ直ぐに進んできたのだが、幸運にも海賊には遭遇せずに、ジュリアの予想通り日が暮れようとする前に島々を発見できた。その中の島で僕らは偶然にも可愛い小さな島を発見したのだった。


大きさ数百メートルの島でまるでドーナッツのような形をしており。そのリングの一部が裂けて海に沈んでいる。そこからドーナッツの中に入れる構造になっていた。ドーナッツの中心部分には真っ白でまるで夢のような綺麗な砂浜があった。そしてその周りのドーナッツはこんもりと盛り上がり南国の木々の林となっており、その木々によって内部が海風から守られているのだった。『素晴らしい! こんな島に今日は泊まれるのだ! 最高の経験だ。』と心から思った。やはり、ジュリアも静かに盛り上がっており、「この島綺麗で最高ね! 今日はこの白い砂浜でキャンプしましょうよ! 楽しみね!!」という具合だ。


僕らは暗くなる前のひと時を利用して、カラフルな鳥が鳴き綺麗な蝶達が舞う熱帯の林から薪になりそうなものを沢山集めてきた。オーニングを出し、テーブル・イスを引っ張り出してきて自然のリビング空間もつくった。これで準備完了だ! そして僕が焚き火の火を起こし、ジュリアが食材とスキレットを持ってきて料理の準備をし始めた。この砂浜でのディナーはなんとあの爺さんから買ったレアなリアルビーフとポテトそしてグリーンサラダだ。スキレットでステーキとポテトを調理しながら、ロマンティックなサンセットを二人で眺めていた。やはりここの島でも海からのそよ風が気持ちよく吹き抜けていく。


すっかり陽が沈み、僕らの頭上には万点の星空が現れてきた。そして月の光がこの島の輪郭を微かに映し出し、夢の南国リゾートの島という舞台設定になってきた。僕らは焚き火の陽を浴びながら赤ワインと一緒にこんがりと焼け上がったビーフステーキにチップスを頬張った。最高のディナータイムだ。

「しかし カナダの食材ってほんとうに美味しいね! 大豆ミートも僕は好きだけどたまにはリアルミートもいいね! というか、ジュリアの料理がいいのかな? 料理が苦手と言ってたけどこれは凄く焼き加減が絶妙で美味しいよ!!」、「あら ありがとう! でもこれは焼いてスパイスをふりかけるだけだからね。ヒデにもできるよ、きっと。」、「そうかなー? でも、やっぱりあの店で牛肉をゲットできてよかったよね! こんな時には雰囲気がいいミュージックがあるといいんだど・・・ここの世界ではあまり音楽を聴く習慣がないのかな? あまりというかほとんど聴かないよね?」、「そうなのよ。私はあまり音楽を聴くほうじゃないから、あんまり気にしてなかったんだけど、言われてみるとそうよね。ミュージシャンっていう人達自体ここでは聞かないわね。コンサートっていうのはあるんだろうけど。ここではビジネスにする必要がないから、そういう娯楽の配信がないんだと思うわ。なんかギリシャ・ローマとか中世ヨーロッパみたいなイベント的な劇場って感じよね。」とジュリアが今更気がついたように言ったので2人で笑った。そして、何かを突然思い出したかのようにジュリアは艇に入って行った。『一体どうしたんだろ?』と思っていると、彼女はウクレレを持って出てきたのであった。「へー それってウクレレ?弾けるの?」

「少しね。以前ヒデの世界で習ったのよ。まだ弾けるかな?」と言いながら弾き出してハワイアンのようなメロディーが流れてきた。まさかジュリアが楽器を弾けるとは全く思ってもいなかったのでものすごく驚いた。それに久しぶりに弾いたにしてはとても上手だったのでまた驚いた。「ヘエー、ジュリア、すごくうまいじゃない? きみにそんな才能があったなんて驚きだよ! 雰囲気がいいね。」


僕はポテトのチップスを摘みながらワイン3杯目にいっていた。焚き火や星空を眺めながら飲むワインがこんなに美味しいとは!?今まで感じたことがなかった。これまではどちらかというと食事のお供的に飲んでいたのだが、ワイン自体の味を喉の周辺で感じることが初めてできるようになってきたのだ。すると同時に風味も感じることができ、味覚と嗅覚の両方で味わうことができるようになったのだ。食事とは別にワインのみで味わう楽しみ方を見出してしまったようだ。


「しかし 星空も綺麗だけど、焚き火の炎を見ているとなんか幸せな気分になるわね。」

とジュリアが弾き終わったらしい。「ありがとう! ジュリアのコンサートをこんな綺麗な星空の下で聴けてハッピーだよ!」と言って拍手をした。「でも、こうして一緒にいると、アトランティスに行くことなんか想像できないんだけど・・・この世界に来てからほんと驚きの連続で、最後は幻の王国アトランティスなんだよね! たまに夢でも見ているのかな?っていう気持ちになるよ。でも、ジュリアはそれにプラスして自分の未来世界があるでしょ? 実際その未来の国ってどうだったの?」

「私が生まれた未来の国ね。うーん まず人類が少ないからね。ほとんどがロボットとAndroidだから遊びがない社会よね。そこに生きる楽しみがあるか?ということなんだけど。ただただ清く美しく統制された社会のリズムの中で歯車みたいに生きている感じかな? 悪人というものがそもそも存在しない前提の社会なの。たまにそういった不具合が生まれると排除されるから。結局最終的にヒューマンとAndroidが対立するわけだけど、その理由は理想とする未来を目指してのことだから、冷静に考えると理念の違いだけであってどちらが悪いか?ということではないとは思うのよね。私はここの世界の方がまだプリミティブで何が起こるかわからないっていうところがワクワクできて好きだわ。」、「なるほど、そうなのかもね。今だったらそのことが理解できるような気がするよ。なんかこの世界は物語の中に入っている感じがするよね。もしかしたら僕の世界の中世のヨーロッパってこんな感じだったのかな? なーんて。確かに自分で言ってなんか納得しちゃったけど、ここの世界は中世からそのまま進化して今に繋がっているような感じがするよ。階級社会がずっと続いていてそう言った意味では自由がないんだけど、ただ今の僕らみたいに、あまりその社会の構造に当てはまらないやつらも色々な形で存在できたりして・・・そうなると・・・古代からあるここのアトランティスは一体どんな所なんだろうね?」、ジュリアが「私は秘めた能力の中でいったいどんなことができるのか?あの人達の超能力には興味があるのよね。社会自体はある意味良くも悪くも私の未来社会のように『楽園』なんだと思うわ。例えば、この島凄くいいわよね?私も気に入ったの。こんな島をプライベートでエスケープ先として持っていたいと思うわ。ヒデもそう思うでしょ? ただここに一年中いたらどう? 飽きちゃうかもよ? たぶん そんな国なんだと思うわ。」、そして僕が、「そうかもね。今回君との冒険で実感したんだけど、普通の人間って楽しいこと・悲しいこと・嬉しいこと・辛いこととか色々あって、そういった刺激があるから変化があり生きて活力になるような気がするよ。それがないとよっぽど崇高な目標がない限り人生がものすごく平坦に感じて長くつまらない時を過ごさなくちゃならず、ある意味生き地獄になるのかも。そんな下世話な僕たちみたいな感情を超越した人達の世界なんだろうね!?」と言った。するとジュリアが「アトランティス人て、私達のようなヒューマノイドではないという噂もあるの。宇宙人もしくは宇宙人の末裔だとか? あるいは、宇宙人と地球の生物とのハイブリットだとか? 私はそもそも哺乳類以外の爬虫類とか昆虫とかは広い意味での宇宙人だとも思っているのよ。そしてこの地球の内部には地底国家があるという噂もあってアトランティス人と何からの形でつながっているらしいの。ここまでくると『都市伝説?』と思うけど、まあ絶対に有りえない話ではないわよね・・・」「まあ とにかく属に頼まれた『友好』の話はしなくちゃならないんだけどね。日本の人達はもちろんだけど、まだ誰も行ったことがないから経験談を土産話に持って帰るだけでも意味はあると思うわ。」


というように、またもや焚き火を囲む話としては予想外の深い話になってしまったのだが、この会話である意味ジュリアの本心が知れて良かったと思った。ふと人間って炎を前にすると本心を語るのだろうか?と思った。そしてそれから2人で肩を抱き合いながらずっと焚き火の炎を眺めていたのだが、「ジュリア、今夜は外が気持ちいいからここにクッションを持ってきて寝る?」、「いいわよ。じゃ取りに行きましょう。」と、一旦中に入って2人分の大きめのクッションをいくつかと、薄手のフリースブランケットも一応用意した。そして念の為ジュリアは、久々にガリオンのスイッチをオンにしアウェイクモードにした。彼の索敵検索に引っかかった場合は、まず唸り声をあげて探しに動き出すらしいのでこれで安眠できるはずだ。オーニングの下にクッションを敷き詰めて2人で寄り添い横になった。そこからの眺めは砂浜の先に見える海面の細波に月の光が微かに反射していてとても美しかった。「さっき言ったことは撤回するわ! この島でしばらく過ごしてゆっくりしたいわね! 不思議とここは私達の家のような気分に感じるわ。」、「そうだね。危険も感じないし、食べ物があればここに住めるよね?でも魚が食べられるようにならないとね。」と言って僕らは笑った。「いずれにしても、この仕事が終わって落ち着いたらまた来ましょうよ! ナビにこの場所はインプットしておくわ。だけど・・・ついに明日はアトランティスね! 何が起こるか全く予想はつかないけど、心をピュアにしてやり遂げましょうね! そして2人で無事にまた日本に戻りましょう!」とジュリアが言った。「そうだね。怖がらずに頑張ろう! でもなんか今日のこの島での時間は嵐の前の静けさに思えるね。このミッションが終わったら日本に帰国だよね。でもアトランティスのすぐ先はポルトガルでしょ? ということは僕らのこの冒険はスペインから始まっているから、地球の北半球をほぼ1周したことになるんだよね!? すごく驚きだね! 僕らは短期間で物凄く長い距離を移動したんだね?」、「そうよね! そろそろこのホバージェットもメンテナンスが必要になるわ。明日は朝が早いし、もしかしたら今夜が最後になるかもしれないから抱き合って寝ましょうよ!」とジュリアは笑って言いながら服を脱ぎ始めた。「今夜は暖かいし、ここは私達のプライベートアイランドで誰もいないんだしせっかくのいい雰囲気だから裸で寝ましょうよ!」と言って僕の服も脱がせ始めた。「オーケー オーケー わかったよ。」と言いながら少し恥ずかしさはあるが折角のジュリアのお誘いなので僕も裸になってジュリアの隣に寄り添った。やはり疲れていても、ジュリアの魅力には勝てなかった。僕らは周りを気にせず貪るように愛し合った。そして全てがリセットされ眠りについた。


また日が昇り爽やかな朝がきた。僕らも辺りが明るくなったので目を覚ました。すでに空気も温かく、大西洋からはドーナッツに遮られているためビーチの波打ち際はゆったりとした海のタワミが来ている。そこは白い砂浜が透けて見えるほど透明で小さい熱帯魚が沢山泳いでいる。

「ジュリア! 来て!来て! 海の中に熱帯魚がたくさんいるよ!」、「あら、ほんと?」と言って走ってきた。「ほんとだ! 海に入りましょう!」と水着に着替えた。そしていきなり子供のような満面の笑みを浮かべた彼女に腕を引っ張られて腰のあたりまで浸かった。ジュリアはコバルトブルーのワンピースを着ていてまるでマーメイドのように見えた。「温かいね!」と僕は驚いた。まあ熱帯魚がいるわけだから温かいのだろうけど、日本やヨーロッパの海では経験したことがないような気持ちの良い暖かさだった。ジュリアが、「気持ちいいわねー! 潜ってみましょう!」と言って熱帯魚を見るために潜って行った。しばらく消えて20メートル先に姿を現した。「ヒデ! すっごくキレイよ。ここまで来なさいよ!」といつに無くはしゃいでいるので、僕も同じように潜水してジュリアがいる方向に向かって行ったがすぐに息がもたなくなって浮上した。まだ半分ぐらいの距離で全然足がつく深さだった。再度潜ってジュリアの方に向かった。海中は本当に色とりどりの熱帯魚が沢山泳いでいて、そしてジュリアの体が見えてきたので海面に出た。このあたりは首ぐらいまでの深さになっていた。「泳ぎも得意なんだね!」、「そうね、あまり泳がないけど、嫌いじゃないわね、人魚になったような気分になれるから。海の中すごく透明で魚がたくさんいるのを見れた?」、「見たよ! こんなの初めての経験ですごくキレイだったよ。」

僕らはそこで子供のようにバシャバシャと水を掛け合ったり、抱き合ったりした後、力を抜いて体を浮かせてしばしの時を子供のように過ごした。「気持ちよかったわね! やっぱりこの島大好きよ! 私達の夢の島ね! また帰りに寄りましょうね!」と泳いで砂浜に上がった。

ビーチにはヤシの実もいくつか落ちていた。それを2つ拾って、穴を開け朝のジュース代わりにビーチに座って飲んだ。


そして2人で新装備のオーニング下のシャワーを浴びお互いの体を洗ってキレイになった。中に入って着替え、トーストを焼きコーヒーも沸かした。僕は外のテーブル・イスなどをかたしオーニングも片付けていつでも出発できるように準備した。そして、そうこうしているうちにトーストがこんがり焼き上がり、僕らはコーヒーと一緒にビーチを眺めながら食べた。ジュリアはアトランティスの位置をナビで確認している。「ここからはあまり距離がないわね。ただ正確な位置がわかってないのよね。彼がいうには、島がある場所は天気が悪くてストームのようになっているってことだから、まあ、行けばわかるのかな? とりあえず何があるかわからないから、アーマーは着用して戦闘ができるようにしておきましょう。」、「わかった。僕はレーザー砲を打てばいいかな?」、「そうね、ヒデはレーザーメインでお願いするけど、何かあった場合は、この前できるようになったカタナも使えるようにしておいてね!」、「えっ できるようになったというけど、1回教わっただけだよ。大丈夫かな?」、「大丈夫よ!あの時をイメージして振り回せば。男の子でしょ!」とダメ出しをされてしまって言葉がなかった。そして僕らはガリオンもスタンバイして、この夢の島を後に名残惜しそうな気持ちで出発した。そして、僕らは、この島は『マーメイド・アイランド』と名付けることにした。



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