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泣くのを辞めた日から

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

泣いたって面倒事になる事が分かってるから、知人が居ない時に泣いた方が良いですよ。

同居人は所謂、隠し事が上手い生き物だった。本心で芽生えた良い事も悪い事も率直に言わない。必ず湾曲した言い方で自分が思っている事を告げる。

其れはある意味、嫌な事も、辛い事も、何時も笑顔で誤魔化して、何でもない顔で誤魔化す。真意を確認するには少々骨の折れる生き物であった。

そしてどうやら最近、また隠し事をしているらしい。勿論、率直には来ないけれども。

最初に感じた違和感は、隣で添い寝をしている時の事だった。ゴソゴソと、幾度となく寝返りを打つ。仰向けになり、側面を下にし、うつ伏せになる。羽毛布団を蹴飛ばして、股に挟んでまた蹴飛ばす。瞼はしっかりと閉ざされており、狸寝入りかは分からなかった。

そんな日が何日も何日も続いた。

「最近、夜寝れてる?」

今日も一緒に布団に包まった後、彼女が瞼を閉ざすのと同時にそう問い掛けた。途端、彼女がぐるりと寝返りを打ち、此方に向き直った。

「何でそんな事聞くの?」

……知ってるかい? 浮気している相手に『浮気してる?』と聞くと『何でそんな事聞くの?』と返って来るって。だから彼女に馬乗りになって、首元を押さえ付けて、上から吐き捨てる。

「君の真理を暴くには、もう強姦しかない。服を毟って、肌を裂いて、脅す事でしか分からない」


本音で話す事を辞めたのはよくよく覚えている。小学生の時、私よりも上手く媚びを売れる子に嫉妬して、自分の不甲斐なさを呪った。泣きながら帰った。その時はなんで泣いているのか分からず、下手くそに誤魔化したのだ。

――眠くて欠伸しただけ。別に泣いてない。

親に何度も問い詰められた。 そんな訳ないと言われた。その度にそう答えた。先に折れたのは親の方だった。痺れを切らして頬を引っぱたくと、ヒステリックに叫んだ。

――夜更かししてるからそんな事になるんでしょ!!

その時に、親は信用出来ないと踏んだ。いいや、親だけじゃない。この世の全ての人は信用出来ない。自分の心を確実に理解し、寄り添えるのは自分だけだと、そう悟った。

だからどんなに辛いことがあっても、誰にも相談しなかった。心で独白して、時に架空の誰かに自己投影して、何とか取り持って来た。それなのに……。

「分からない……。なんで寝れないか分からない。でも寝れないの!!

何をやっても上手くいかない!! 次はサヨナラされるかも知れない!! 滅茶苦茶なものばかり評価される!! 中身空っぽでもどうでもいい!! 私は物はあんなのよりクソなの!! ねぇ!!

こんな焦り……君には分からないよ……」

隠し通す事は得意だった。本音で話す事を辞めた時から、心理学に精通した者しか私の内面を読めた者はいない。子供だって、友達だって、親だって、私の本音に気付かない。それで良いんだって思ってたのに……。どうして皮膚を破って心臓を抉ろうとするの?

彼は真上から叫びを静かに聞いていた。其れから嗚咽を繰り返す私の額にキスを落とし、あやす様に腹を叩く。

「やっと、君の脆さに触れる事が出来た」


同居人は所謂、隠し事が上手い生き物だった。本心で芽生えた良い事も悪い事も率直に言わない。必ず湾曲した言い方で自分が思っている事を告げる。だから率直に言うこと自体、相当キてる。


「……昨日は叫んでごめん。もっと優しく言えれば良かった」

「気にしてないよ。どちらにせよそうなるまで、問い詰めるつもりだったし」

彼は何でもない顔で笑った。変な人。私の本音に触れたがる、変な人。


オマケ

――ブラックジョークが好きなんだ。聞いてるだけでずっと笑ってられる。

――それ倫理観大丈夫なの?

――倫理観は母の腹の中に置いてきたから。聞くだけ愚問だよ。

別に家が嫌いとか、そういう訳じゃないんですけど、遠回りして帰りたくなる事、ありません?

最近ちょっと多かったので、この話です。


隠し事上手い人って、百超えた辺りからが勝負なんです。

百超えた辺りからちょっと片鱗と言いますか、バレないように『今、限界です』のサイン出します。

まぁ、バレないようにしてるので、崩壊が始まった時には時既に遅しなんですけど。


だからこれはかなり稀有なパターン。

小さなサインに気が付いて、精神崩壊する前に暴き出して、膿を出してます。


悩みとか、あんまり話したがらないキャラが好きなんですよ。

暴きたくなるから。慰めると滅茶苦茶甘えてくるから。でもきっと重くなって捨てちゃいそうですね。

クズですね。

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