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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ヤンデレ義弟の作り方

作者: アキナヌカ

「リアン姉さま、もう用意はできた?」

「そんなもの、できるわけがないでしょう!?」


「でもリアン姉さまのドレスも靴もそれにお化粧も綺麗だよ」

「貴方の侍女たちが、私に無理やりしたのよ!?」


「それじゃ、もう用意はできてるね。さぁ、僕と一緒に行こう」

「一緒に行ってたまるもんですか!? お父さまにはリアンは死んだって言って!!」


 そう言って銀の髪に蒼い瞳を持つ私ことリアンは、結婚式の純白の重いドレス姿で逃げ出そうとした。でも私の義弟の金色の髪に紫色の瞳を持ったフォル、彼がそんな私を見逃してくれるわけがなかった。フォルは素早く部屋の出入り口を連れてきた部下に命じておさえた、唯一外に繋がるバルコニーの扉にもフォルの部下がいた。


 そして私はフォルに背中から強く抱きしめられていた、それからまだ結婚もしていないのに頬にキスをされた。私の体を大切にでも決して離すまいとフォルは抱きしめていた、私はこのままフォルと結婚をしてしまったら終わりだと思った。でもフォルは地を這うようなとても怖い声で私に言った、昔はとても可愛かったはずの義弟は私にこう言った。


「リアン姉さまも僕を捨てるの? それじゃあ、やっぱり綺麗な檻の中に閉じ込めなくちゃね」

「ちょっとフォル!! 貴方しっかりしなさい!? 義姉の私と貴方が結婚するなんて正気じゃないわよ!!」


「僕はちゃんと正気だよ、それに僕とリアン姉さまが結婚する方が、このアンティエット家もきっと落ち着くよ」

「いや貴方がちゃんとした貴族のお嬢様と結婚する方が良いわ!! その方が絶対に自然よ!?」


「でもそうしたらリアン姉さまは他家へお嫁に行ってしまう、そんな辛くて酷いことは僕にはとても許せそうにない」

「それが普通の貴族ってものなのよ!! 確かに貴方とは血の繋がりは無いけど、だからって私と結婚するのはおかしいわ!?」


 私とフォルは義理の姉弟だった、私のお母さまは私を産んだ時に亡くなった。だから私が十歳になった時にお父様は新しいお義母さまと、その連れ子であるフォルを連れてきたのだ。私は最初は弟ができると思って上機嫌だった、私には他に兄弟も姉妹もいなかったから、新しく義弟になる子と会えるのを楽しみにしていた。


 そうフォルと出会う前の私はフォルと会えることをとても楽しみにしていた、だからいつもだったらお転婆に屋敷の外を出歩いているのに、今日ばかりは大人しくお父さまの隣にいて、私の義弟になるはずの男の子を楽しみに待っていた。そんな私にお父さまは優しく笑いかけた、私もお父さまを信頼していたから笑い返した。そして、とうとう私の義弟になる男の子がやってきた。


「フォルメル・オルディネ・アンティエットです、どっ、どうかこれからよろしくお願いします」

「まぁ、なんて可愛いのかしら!! 私はリアン・プリューム・アンティエットよ。家族なんだもの、これからはリアンと呼んで!!」


「えっと、リアン姉さま?」

「そうよ、フォルメル。いいえ、フォルってこれからは私は呼ぶわ!!」


 私は新しくできた弟が綺麗な金色の髪に珍しい紫色の瞳を持っていて、そして私をリアン姉さまと呼ぶので嬉しくてしかたがなかった。だからフォルのどこか怯えている目にも気がつかなかった、そしてフォルが誰かからの愛情に酷く飢えていることにも気がつかなかった。私は自分よりもとても小さな義弟を気に入った、三歳だけ私よりも年下のとても小さくて可愛い義弟だった。


 私の父は遠い親戚にあたる義弟を正式な養子として迎え入れて、このアンティエット家の後継ぎとして教育することにした。新しいお義母さまに子どもができればまた話は別だ、それに私が後継者として名乗り出れば父も考えただろう、でもそうでない限りはこの家はフォルが継ぐことになった。私はお転婆で名家の後継者になんて向いてなかった、でももしこんな未来になるのなら私が後継者になるべきだった。


「フォルの瞳はとても綺麗ね、私は紫色の瞳なんて初めてみるわ。まるで夜の空みたいに綺麗、私みたいな平凡な蒼い瞳とは大違いね!!」

「そっ、そんなことないです。リアン姉さまの瞳も、とっても澄んだ空みたいに綺麗です」


「まぁ、本当になんて可愛いのかしら!! 私のフォルは世界一可愛いのかもしれないわ!!」

「リアン姉さまの方が可愛いです、そうとっても優しくて可愛いです」 


 まだ七歳だったフォルはそれはもう天使のように可愛いかった、だから私は浮かれてフォルのことを使用人の皆に褒めてまわった。私たち姉弟が仲良くしていることをお父さまは喜んでいた、お義母さまは私に対してどこか冷たく、そしてフォルのことを可愛がる様子もなかった、私はそんなお義母さまのどこかそっけない態度が不思議だった。


 でもフォルの笑顔があんまり可愛かったからあまり気にしなかった、お義母さまは私のことはリアンと呼んでくれた、仲良くはなかったがだからといっていじめられることもなかった。この家の女主人はお義母さまになったが、私の生活は今までどおりで何も変わらなかった。唯一変わったのはフォルが来たことだった、私は新しくきた義弟にとにかく構い倒した。


「まぁ、フォル!! この両手の傷は一体どうしたの!?」

「リアン姉さま、えっと、これは、その、なっ、何でもないです!!」


「その傷のどこが何でもないのよ!! きっと誰かに鞭で打たれたのね!? そんなことをしたのは一体どこの誰なの!!」

「これは違うんです、リアン姉さま!! これは僕がまだ上手くできないからで、全て僕のせいなんです!!」


「分かったわ、フォルがそう言うなら仕方ないわ」

「はい、リアン姉さま。どうか、そんなに気になさらないでください」


 私はフォルの両手の鞭の傷を見て、それから一応はフォルが言うなら仕方がないのだ。そうフォルには納得したふりをして、実は全く納得などしていなかった。だからフォルをいじめる悪い奴が誰なのか、私は自分だけでこっそりとフォルの周囲を調べ始めた。フォルはアンティエット家を継ぐのだから、その為に必要ないろんな授業を受けていた。


 私にもいずれはどこかの貴族と結婚するために家庭教師がつけられていた、でも私は要領よく課題を終わらせるとフォルの周囲の調査に行った。私は自分の家の中を自力で隠し通路や隠し部屋まで把握していた、だからメイドや使用人に見つかることなくフォルを十分に観察できた、そうして私が見つけたフォルをいじめている犯人はお義母さまだった。


「いくらお義母さまでも、フォルをいじめるなんて許せないわ!!」

「リアン姉さま、僕は平気だよ」


「いいえ、平気なものですか!? 絶対に私はお義母さまが許せないわ!!」

「リアン姉さまは優しい、僕はこんなに優しい人は知らなかった」


「あらっ、私は平凡な子爵令嬢よ。ごめんなさい、フォル。ちょっとだけ、我慢していてね」

「リアン姉さまがそう言うなら、僕はいつまでだって我慢するよ」


 お義母さまはテストの点がリアンよりも悪い、お前は貴族のマナーが全然できていない、紫色の瞳など私の子どもじゃないはずだ。そう言ってフォルのことを鞭打っていた、フォルは手の鞭の傷は軽い方だった、彼の背中には無数の酷い鞭の傷があった。私はお義母さまの本性を知ってから、どうやってお父さまに伝えようかと考えていた。


 そうして私はお義母さまに今夜はお父様は留守にすると伝え、逆にお父様にはどうか私を信じて隠し通路に入ってと言った。そして夜になってみると案の定、お義母さまはフォルの背中をまた理不尽な理由で鞭打った。私はそんなフォルを見て泣きそうになった、お父さまもそんな私を見て頭を撫でて、それからフォルのことを助けに行ってくれた。


「トレーセ!? 君は何という酷いことを!? こんな幼い子どもに何をしているんだ!!」

「あっ、貴方がどうしてここに!?」


「どうしてだっていいだろう!! ああ、リアンが気づいて教えてくれなかったら、こんな深い傷では大変なことになるところだった」

「わっ、(わたくし)は子爵家の後継ぎとして、この子が立派に育つように教育しただけよ!!」


「もう黙ってくれトレーセ、私にこれ以上君を軽蔑させないでくれ」

「そ、そんな!?」


 お父さまは私を信じて隠し通路からお義母さまの本性を見た、そしてすぐにフォルのことを助けてくれた。こうしてお義母さまは他にも浮気とか、我が家の家宝を盗んだりもしていたらしく、すぐにこのアンティエット家を追い出されることになった。お父さまはフォルのことはもうアンティエット家の後継ぎだ、そう言ってお義母さまだけをたった一人でこの家から追い出した。


 フォルは鞭打たれた傷から悪い病気が入り、フォルの部屋でしばらくは休むことになった。私はもちろん毎日フォルのことを看病した、あんなお義母さまでも一応はフォルの母親だったのだ。だから私はフォルが寂しくないように、できるだけ陽気にふるまって彼のことを大事にした。フォルは自分が助け出された時のことを覚えていた、そうして私にそれを確かめるようにこう聞いてきた。


「リアン姉さま、貴女が僕を助けてくれたの?」

「ふふっ、私の大切な義弟のフォル。貴方を助けたのはお父さまよ、私は悪いことをしているお義母さま、あの人のことをちょっと告げ口しただけよ」


「リアン姉さまぁ、あっ、ありがとう。ぼっ、僕はずっと、がっ、我慢してきて」

「あらあらフォル、そんなに泣いたらまた熱が上がってしまうわ。私はいつまでもここにいるんだから、元気になってフォルが話したかったらまた話しましょう」


「うっ、うん。リアン姉さま、ぼっ、僕はリアン姉さまが大好き!!」

「きゃあ、私の義弟がこんなに可愛いわ!! フォル、これは貴方が可愛いからお父さまには内緒よ」


 私はフォルが無事に助け出され保護されてホッとしていた、お義母さまは血が出るくらいに酷くフォルの背中を鞭打っていた。どうして自分の子どもにあんなに酷いことができるか分からない、私にはお義母さまの気持ちがさっぱり分からなかった。だがもうこの家から出て行った人なので、私はあまり深く気にしないことにした。


 それよりも私はフォルに大好きと言われて幸せだった、もう私はフォルのことが可愛くてしかたがなかった。だから昔の私のお母さまが生きていたら私にしてくれたように、フォルの頬に愛情をこめた軽いキスをしてあげた。本当はフォルと私は血が繋がっていないのだから、姉弟としてはちょっと過ぎた愛情表現だった。でもフォルはとても嬉しそうに微笑んだ、だから私は良い事をしたと思っていた。


「リアン姉さま、僕はいずれこの家の立派な当主になるよ!!」

「まぁ、フォルったらお勉強も済ませてしまったし、剣術も私より強くなってしまったのね」


「僕はリアン姉さまが大好き、だからリアン姉さまを大切に守りたいんだ!!」

「もう!? 私の義弟が相変わらずとっても可愛いわ!!」


「僕はもう可愛いだけじゃないよ、今に僕はもっと強く逞しくなるよ!!」

「ふふっ、それならアンティエット家もフォルさえいれば安泰ね」


 フォルはお義母さまがいた時とは違って、生き生きといろんなことを学ぶようになった、私はそんなフォルのことを必ず褒めた。そしてあっという間に三年も年が違うのに、私のことを勉強でも剣術でも彼は追い抜いてしまった。フォルは自分が言ったとおりに可愛いだけじゃなく、逞しい男性へと変わっていった。十二歳になっていたフォルは自分の美しい金色の髪の隙間から、その綺麗な紫色の瞳でいつも私のことを見つめていた。


 フォルはお父さまの手伝いをするようにもなった、フォルは実はとても頭が良かった。だから今まで考えもしなかったような方法で、我がアンティエット家を発展させていった。子爵家とはいってもごく普通の貴族だった我が家が、領地から沢山のお金を稼ぎだすようになった。お父さまはそのフォルの手腕を見込んでいろんな事業を任せた、フォルはそのどれもを大成功に導いた、私の義弟は私が驚き呆れるくらいに頭が良かった。


「フォル、家の工事をはじめたみたいだけど、何の工事をしているの?」

「リアン姉さまの為の工事だよ、家の柵をもっと頑丈な物に変えるんだ」


「それがどうして私の為なの? 家の柵は元々頑丈だったと思うけど」

「僕からリアン姉さまを盗ろうとする、そんな奴がいるかもしれないからだよ」


「私には婚約者すらいないのよ、誰がそんな貴族令嬢を盗るものですか」

「そんなことは誰にも分からないよ、リアン姉さまはもうすぐ十八歳だ、そして僕もやっと十五歳になれる」


 そう私は貴族の娘としては行き遅れていた、この国では十五歳から結婚できたから、女性の私はちょっと結婚しそびれていた。私はデビュタントもしていたが、その時のパートナーはお父さまだった。それからお父さまは、何故か私を社交界に連れていかなかった。まぁ私も剣を習ったり、乗馬をするようなお転婆だったので、お父さまも呆れているのかもしれなかった。


 そして私は家の工事を見ていて少し変なことに気がついた、頑丈な柵の上の方に人が入れないように棘がついている、だがそれが両側についているのだった。私はこれじゃ悪い人が入ってこない代わりに、この家から出て行くこともできないじゃないかと思った。それだけが不思議なことだったが、フォルに私は呼ばれてしまって、その工事が何を意味しているのか私は聞き損ねた。


「ねぇ、フォル。そろそろ、フォルは婚約者を決めないの?」

「僕の婚約はまだだけど、相手だけはもう決めてあるんだ」


「そうなの!? それじゃ、教えて!! 私の義妹になるのは誰かしら?」

「そうだね、リアン姉さま。このすぐ傍の鏡を見ると良いよ、世界一素敵な女性がそこにいるから」


「え!? 鏡を見てもそこにいるのは私だけよ?」

「うん、そうだね。リアン姉さまは世界一素敵な女性だ、だから僕はリアン姉さまと結婚するんだ」


 私はフォルがとても嬉しそうに微笑んで、そして頬を赤く染めてそんなことを言うから、私は驚いて心臓が飛び出すかと思った。確かに私とフォルには血の繋がりが無かった、だから結婚しようと思えばできた。でも私はフォルのことを一度も男性として見たことがなかった、しかしフォルはいつの間にかとても逞しい美男子に育っていた。


 でも私はフォルのことをただの義弟だと思っていた、だから私は慌ててお父さまに相談に行った。お父さまだって私とフォルの結婚を許すはずがないと思っていた、だって私たちは本当に姉弟のようなものだった、私はフォルのことを大切な家族だと思っていたが、決してそれ以上の関係ではなかった。慌ててお父さまの部屋に飛び込んだ私を見て、お父さまは深くて重いため息をついた。


「お父さま!? フォルが、フォルが私と結婚するなんて言っているわ!?」

「…………ああ、そうなんだよ。リアン、フォルは君と結婚したいそうだ」


「ええ!? まさかそれを許可したの!?」

「私も最初は反対したが最終的に許可した、というかいろいろとあって許可せざるを得なかった」


「そんな!? 一体どうして!?」

「私としては可愛い娘を家から出さずに済む、そしてフォルにとってはお前は彼にとって全てだ。当主である私がお前とフォルとの結婚を許可しなかったら、このアンティエット家を地獄より酷い場所に変えてみせるそうだ」


 私は頼りにしていたお父さまにまでいつの間にか裏切られていた、確かに娘として私を可愛がっているお父さまとしては、フォルと私が結婚して私がこのまま家にいたほうが良いのだ。でも私はそんな簡単に理屈で納得することができなかった、しかしそういえば私はもう婚約者がいてもいい歳だったのに、どこからも誰からも婚約の申し込みがきていなかった。そうそれはお父さまとフォルが一緒になって、私の婚約者候補を潰していたからだった。


 その日から私へのフォルの態度が明らかに変わった、朝は早くから私が起きるのを部屋の外で待っていた。そうして必ず私と一緒に食事をした、フォルの執務中でさえ私は逃がして貰えずに執務室に閉じ込められた。夜は部屋に帰るまでフォルが私を見張っていた、いや私の部屋の侍女たちもフォルの手先だった。そして可愛かったはずの私の義弟、今はとても美男子になったフォルが無邪気に笑って私にこう聞いた。


「それじゃ、リアン姉さま。いつ僕と結婚してくれる?」

「あっ、あのね。フォル、私はできれば修道院にでも入りたいわ」


「そんな、リアン姉さま。どうして、そんな場所に行きたいの?」

「だって私は淑女教育もよくできていなくて婚約者もいないわ、それにこの家には貴方という立派な後継ぎがいるでしょう」


「リアン姉さまは修道院なんてところに行かなくていいよ、ずっと僕の腕の中にいて楽しく過ごしてくれればいいんだ」

「わっ、私はフォルのことが可愛いけど、でも義弟としてしか見れないわ!!」


 フォルは私の希望している言い分を聞くと、執務を止めて椅子に座っていた私のところにやってきた。そうして私の頬に優しく羽が触れるようなキスをした、私が幼い頃にフォルにしたような可愛いキスだった。でもフォルは全然笑っていなかった、とても真剣な表情で私のことを見つめていた、私が咄嗟に言った修道院に行くということを認めてくれていなかった。


 そしてフォルは私のことを大切そうに、でも強引に抱きしめて放さなかった。私がフォルの腕の中から逃げ出そうとすると、ますます強く私のことをフォルは抱きしめた。そこには幼い頃にいた可愛いフォルはもういなかった、私は逞しくてしっかりとした男性に育った、そんな大人の男であるフォルに抱きしめられていた。そのままフォルはとても恐ろしい、悪夢に出てくるような声で私にこう尋ねた。


「リアン姉さま、もしかして誰か好きな人がいるの?」

「いっ、いないわよ!! だから私は修道院へ!?」


「それじゃ、この辺りの修道院は全て潰してしまおう」

「え!? 何ですって、そんな嘘でしょう!!」


「リアン姉さまが逃げ出せないように、そんな目障りな逃げる場所は潰してしまうのが一番だ」

「何を言ってるのよ!! そんなことをしたら教会から抗議がくるわよ!!」


 フォルはそう言って慌てている私を抱きしめたまま笑った、それはとても美しいが恐ろしい体が凍り付きそうな笑顔だった。そうして本当にフォルは修道院を潰そうとした、領主からの修道院への援助の一切を打ち切ったのだ。それで教会から抗議文が来てもフォルは平気だった、表向きは領地の経営が厳しいために援助を打ち切ったと返事をした。


 そしてフォルは狡猾なことに教会の本部にはたっぷりと寄付をした、今まで修道院にまわしていた予算を中央にある教会本部に差し出したのだ。教会からはそれで抗議はこなくなった、でも修道院からは抗議ではなく予算を懇願する手紙がきた。何通も、何十通もそんな手紙がきたが、フォルは教会本部に予算は寄付したと返事を書いた。そうして、私が行くはずだった領内の修道院は全て潰れてしまった。


「それじゃ、早く僕と結婚しよう。ねぇ、リアン姉さま」

「そんなの嫌よ!? 私は家を出て自活するわ!!」


「リアン姉さま、それを僕が簡単に許すと思うの?」

「とっ、当然だけど邪魔するんでしょう!!」


「うん、そうだよ。リアン姉さまが街に行くなら、その街からリアン姉さまを追い出す。小さな村に行っても同じさ、他の貴族の土地に行くっていうのなら、もうその足を動けないように腱だけを切るよ」

「こっ、怖いことを言わないで!! 私の可愛いフォルに戻ってよ!!」


 その日から私は屋敷に閉じ込められることになった、何とか隠し通路から逃げ出そうしたが、フォルは私の父親からそれをもう聞き出していた。だから隠し通路の出口は全て塞がれてしまった、そうして家から逃げ出せなくなった私には、先生がつくことになって私は淑女教育をやり直すことになった。私が嫌がってそれをしないでいると、フォルは私の代わりに先生や私の侍女に鞭を使うようになった。


 そうして私は無理やり淑女教育を勉強してついにそれを終えることとなった、フォルはそうなったら本当に嬉しそうな笑顔で私に結婚式の日取りを決めたと言った。私にはもう誰も味方がいなかった、お父さまでさえ私を裏切ったのだ、侍女や使用人が私を助けてくれるはずがなかった。そうして結婚式の当日に私はフォルの侍女たちに無理やりお風呂に入れられて、ドレスや靴を身につけされ綺麗な宝石で飾られて髪を整えられ化粧を施された。


「さぁ、リアン姉さま。僕とリアン姉さまの結婚式をしよう、そして沢山愛し合って子どもを作ろう」

「なっ、なんで私なのよ!!」


「何が一体不思議なのリアン姉さま、僕をこう育ててくれたのは、そうリアン姉さまなのに」

「わっ、私はそんなことした覚えは無いわ!!」


「いやリアン姉さまはそうしたよ、リアン姉さまは僕のことを可愛いと言って、誰かに愛されるということを教えた。鞭の傷から僕の異変に気付いて、僕のことを助けて出して命を救ってくれた。それに可愛らしいキスをして、僕にリアン姉さまへの情欲を覚えさせた。僕が何か覚えると必ず褒めてくれて、僕をリアン姉さまに夢中にさせた。全部リアン姉さまが僕にしたことだ、だから今日リアン姉さまは僕と結婚するんだ」

「そっ、そんなつもりなかったの!! わっ、私はただ可愛い義弟を可愛がっただけよ!!」


 私はフォルの腕の中から逃げ出そうとしたが、大人の男性から女性である私が逃げられるわけがなかった。そうして私はフォルに抱き上げられて、結婚式場に無理やり連れていかれた。私には何重にも白いベールがかけられて外からは顔が見えなくされた、そしてフォルはもし私が逃げ出したら、今度こそその綺麗な足の腱を切ると言われた。


 私は震えながらフォルとの結婚式をした、何重にもかけられた白いベールの下で私は泣いていた。でも誰にも私が泣いていることに気づいて貰えなかった、お父さまでさえ私の涙に気づいてくれなかった。そうして神官から促された誓いの言葉も私は言えなかった、でも神官はこれで結婚は成立したと言った、そうして私は可愛い義弟だったはずのフォルの妻になってしまった。


「これからたっぷりと愛してあげるからね、僕の大切なリアン姉さま」

お読みいただき、ありがとうございました!!


ヤンデレものが大好きです、だから自給自足致します!!


最近の作者の制作意欲は、読者である皆さまにかかっています!!


ブクマ、評価、いいねをよろしくお願いいたします!!


★★★★★にしてくださると作者は泣いて喜びます!!


どうか、どうか、よろしくお願いいたします!!

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