夢
pvが300を超えてました。
嬉しいです。
目に映るもの全てが緑と水色に染まっている。足下の緑は生い茂る草が出所だ。上を水色
に塗り上げているのは雲ひとつない青空。そして正面を形作っているのは緑一色の山々とその背景を飾る空。
そんな辺り一面が自然に満たされた場所にケンはぽつんと
ここはどこだ?その前になぜ俺はこんなところに?
ケンが疑問を口にする。だがそれは音としての機能を果たすことができない。
その事実に唖然としたケンの頭が空っぽになる。
頭の重量が軽くなったケンは少しの間をおいて気がついた。
これは夢のなかだ。
よく景色を見れば遠くに見える山々はどこか不自然な気がする。上手く言い表せないのだが色があまりにも代わり映えがない。濃淡もなければ影を見つけることも出来ない。まるで同じ成長度合い、同じ葉の付け方をした同じ品種の木が山の表面を覆い尽くし、それらの木に全方向から日が差し込んでいるかのような。
変な夢だ、そう思う。
だってこれが夢のなかだとはっきりと認識できる。今までケンがみてきた夢は目が覚めるまでそれが夢だと認識することはなかった。
後ろから肩をたたかれる。反射的に後ろへ振り向く。(そのときこの夢のなかで体の感覚があることに気がついた)
そこにはユウが佇んでいた。彼女の髪は本来の銀色をしている。
彼女のその人間離れした姿をみてケンは改めて一瞬言葉を失う。
綺麗な髪色、小さな顔、きれいな顔立ち、すらりとした体、細い手足。
やはり人とは思えない容姿をしている。決して人にはない器官を持ち合わせているわけではない。
容姿が整いすぎている。人形やアバターのようなつくりものじみた整いかたをしていると思う。
そんなユウが惚けているケンに目を向けながら立っている。じっと待っている。
思考が止まっていたケンも復旧する。振り向いたままの体をきちんとユウのほうを向く。そしてユウの反応を待った。
だがユウはなにもしない。相変わらずこちらを見たまま静かに佇んでいる。
そんなユウを前にしているケンの心拍数が上がっていき、それに併せてケンの体の様々なところから冷や汗が出てきている。
夢なのに汗かくなんて不思議だな、もしかして本当は現実なんじゃないのかな。いや、それとも最近流行りのVRってやつなのかな?いや、VRで汗をかくのかは分からないけれども。
そんな半ば逃避行な思考がケンの頭の中を回り続ける。それと一緒にケンの眼も焦点も定まらないままあたりを見回す。
そんな行き先を失ったケンの瞳が偶然、ユウの瞳と一直線に並ぶ。
ユウの綺麗な瞳全てをケンの顔が占める。またケンの頭がホワイトアウトしそれに連動するように頭の上から足の先まで動かなくなる。。
そしてまた二人の間に訪れる沈黙。
体感で数分後、ケンが再起動を果たし、きちんとユウの目を見つめ返す。
「よ、よう」
若干、どもりながらもユウに声をかける。
「こんにちは」
ケンのことをしっかりと見つめたまま挨拶を返すユウ。
「どうしてこんなところにいるんだ?」
脳が本調子ではないため単純な質問しかできない。
「ここはあなたの夢の中、さっきあなたもそれを自覚したはず」
「そういえばそうだったな」
ここが夢の中であることはさっき気づいたんだった。ユウの登場で完全に忘れてしまっていた。それにしても夢の中であることをユウに指摘されるのは違和感がある。
「あなたはデタレンスになれる素質を持っていない。だから私たちにはこれ以上関わるのは止めたほうがいい」
「え?」
唐突にユウから忠告が飛んでくる。完全に意識の外でまたしても返事を返せない。
「それはどういうこと?」
「あなたが一番分かっているはず。サポートだけと言いつつ、あなたはナギが危険な状況に陥ったときに後ろで見ているだけなんてできない」
「っ…」
ユウがあっさりとケンの心の底を見透かす。
それはそうだ、そうに決まっている。
ケンは真意を見抜かれ、一瞬たじろいでしまうがすぐに立ち直り、夢の中で初めてはっきりと自分の意思でユウをみる。そして口を開く。
「もちろん、目の前でナギが危険な目にあったら俺は絶対に助けに行く。それができないならサポート役をする意味なんてないじゃないか」
「…死ぬよ」
ケンの宣言にユウが冷徹な言葉を投げる。
「それは怖いな。」
あっさりとそれに対する恐怖を認めるケン。
「けど、ナギ姉が死ぬような目にあっている時になにもしないでいれるほど俺は頭よくないんだ。体が勝手に動いちまうよ」
「…」
「俺が死ぬかどうかってことは本気で考えられないんだよ。頭で分かっているつもりでも本当のところで俺は理解できない」
一呼吸おく。
「だから、そのときに俺がやりたいことをやっていくつもりだよ。…それがどういう結果になってもさ」
ケンは言い切った。
「…そう、分かった。なら頑張って」
腹に空気をためるそして意味のある音として勢いよくはき出す。
「おう!」
最後まで読んでくれてありがとうございます。




