第一章ー6・アタシとばーちゃんと大脱出
久しぶり!アタシ上連マコ!高校一年生!
世界一大好きなアナスタシアおばあちゃんと二人暮らしをしてたんだ!
今は知らない人たちに囲まれていろんな実験をされてるよ!今は電流の実験とかでアタシの細胞の再生時間を見ているんだとか何とか。
ぶっちゃけね、めっちゃ痛いよ!すごく苦しいし、人間の尊厳とかなんだっけって気分になる。でもね、下向いてるとおばあちゃんに怒られるし、なんだかおばあちゃんなら助けてくれるような、そんな気がしてるんだよね。だから絶対に絶望したりしてやんない!ずっと笑顔でいてやるんだ!
「9000万ボルトの電撃を食らって即時回復とはこれまたたまげた・・・だがまぁ、死なないというのは得てして実験がやりやすくてよろしい。次はそうだな・・・真ん中からたたき割った時にどちらから回復するのか見てみるか」
ちょっと笑顔のままは厳しいかもしれない。マコ二分の一とかシャレにならないでしょ。
「では回転のこぎりを・・・っなんだ!襲撃か!!」
科学者のトップみたいな人がえぐい提案を実行しようとしたときに、すごい衝撃が部屋全体を襲った。部屋全体が暗闇に包まれて、すぐ懐中電灯を何人かが持ち出して、慌ただしく中から戦闘員みたいな人^が出て行った。非常電源にすぐ切り替わらないのは施設の設備投資をケチってるかららしいよ。研究員さんが愚痴ってる。
辺り一帯が静寂に包まれて少したった頃、不意に扉が開く音がして数回銃声が鳴った。これはあれかな?アタシを狙っていろんな組織が大乱闘とか、世界がアタシを求めてる的な・・・
「マコ、帰るよ」
「ばーちゃん!?」
めちゃくちゃ意外な、でもすごく待ち望んでいた人が助けに来た。
「孫確保。逃げ道よろしく」
「ど、どうしてここに?あと誰に話しかけてるの?」
「マコを助けに来るのは当然だし、話しかけてるのは友人だよ。ほら、これ持って付いてきな」
ばーちゃんからなんか握らされた。にぎにぎしてみると先っぽがとがっているので、たぶんナイフ。反対の手を引きながら、完全な暗闇の中をスイスイ進んでいる。
「この暗い中よく歩けるね」
「慣れと地図の読み込みだよ」
ばーちゃんすげー!って思ったけど、よく見ればメガネがなんとなく機械っぽいから多分暗視ゴーグル的なやつなんだろうね。
スイスイ歩いては立ち止まり、何か仕掛けて遠ざかるを繰り返すばーちゃん。
「そろそろここを出るよ。もうすぐ非常電源に切り替わるからね」
「切り替わるとマズいの?」
「ああ、相当マズい」
アタシの疑問に、ばーちゃんは笑って答えた。
外にはとても大きな旅客機・・・のようなものが到着していた。ようなものと表現したのは、飛行機には絶対付かないようなめちゃくちゃでかいロケットが飛行機の後ろについているから。
「これまた悪趣味だねぇ・・・さ、家に帰るよ。色々教えなきゃいけないこともあるからね」
「アタシとしては今すぐ聞きたいくらいなんだけど」
「今は退却の一手さね。とりあえず」
と、旅客機にばーちゃんが乗り込もうと近づいたとき、非常電源が付いたのか後ろから光が当たり、直後すごく大きなハムスターみたいなのが建物を突き破ってアタシたちを追い抜いて、飛行機を粉砕。爆発。炎上。
「・・・ばーちゃん、あの暗闇の中で何してたの」
「・・・途中で奪った研究員のIDカードを、ロック装置のところに張り付けてきてた」
多分、ばーちゃんからすれば嫌がらせと時間稼ぎくらいにしか思ってなかったんだろうなぁ。
「ど、どうやって帰るの?」
「とりあえず、空港まで行ってみようかね。その後は色々借りたりすれば帰れるよ」
切り替えの早いばーちゃんは、とりあえずとでも言いたげに施設の横に乗り付けてあったバイクの配線をバチバチさせて動かしてる。これ空港に行くまでもいろいろ拝借していくんじゃないのかな・・・