第一章ー3・アタシとばーちゃんと砕けた日常
微かな違和感を感じたあの日から幾日か立ち、学校への道にアタシが慣れてきたころ。今日は微かどころじゃない、強烈な違和感を発見してしまった。
「こ、こんなところに家なんてなかったよね?」
友達との下校中に、家としか形容できない何かが、公園だったところに建っているのを見つけてしまった。登校中にはなかったから、ここ数時間内にできたみたいだけども、プレハブよりはしっかりとした作りで、どう見ても1日2日では絶対にできないような、西洋風の家。魔女が住んでると説明されたら凄くしっくりくる、そんな家だった。
「登校中にはなかったような・・・」
「あれじゃね?移動式の露店的な」
楽観至上主義の塊のような友人の由紀ちゃんが、ズカズカと家に近寄っていく。本当にそうなのかなぁ。こういう、変にやばそうなものには近づかないほうが吉だと思うんだけどなぁ、などと思いつつも、友達を見捨てるなどという選択肢はアタシに存在しないので、ついていくことにした。
「お邪魔しまーす!」
別にお見せとも何も書いていないこの建物の扉をちゅうちょなく開ける友人を見て、物応じしないなあと思いながら一緒に扉をくぐると扉をくぐると
「おっご・・・・ぉ?」
世界が回った。まるでコーヒーカップを回しすぎたときのような、高熱でうなされているときのような、そんな感覚が延々と続く。たまらず膝をつきかけるけど、ここで倒れたらとんでもなくやばい気がして踏みとどまる。目を開けることすら出来ないひどいめまいの中で、かろうじて由紀ちゃんの姿を見いだせた。おんなじように、苦しんでいるみたいだ。なら、アタシができることを、なんとかして・・・!
「っぐぅぅ・・・っあぁ!」
近かったことも幸いし、なんとか肩を担ぐことができた。ここから、なんとかして部屋の外に出なければならない。扉はすぐ後ろ。でも担いで動くにはあまりにもめまいがひどい。なら、取れる行動は一つ。
アタシは、思いっきり後ろに倒れこんだ。
建物から頭が抜けると、途端にめまいは収まった。このよくわからないへんてこビックリハウスからは、一刻も早く逃げ出さなければいけない。由紀ちゃんはまだ具合が悪そうだから、とりあえずアタシの家まで———
「対象確保、これより収容作業に・・・内部から一般人二名脱出。保護のち記憶処理を施して公園に置いていきます」
・・・目の前には、黒スーツの男。話からしてこのままだと何かされることは確定。ならここは逃げの一手を
「逃走しようとしたため、拘束弾で捕縛。どうなってるんだ、あの家から脱出こそできてもしばらくは三半規管に異常が出るんじゃないのか」
打とうとしたら、捕まってしまった。ちょっと、てかかなりやばいかも・・・!