第一章-1・アタシとばーちゃんと何気ない日常
アタシ上連マコ!どこにでもいる高校一年生!世界一大好きなアナスタシアばーちゃんと二人暮らしをしてるんだ!
今日は高校の入学式の日!
「ばーちゃん行ってくるねー!
「待ちな!お弁当忘れてるよ!そら!」
アタシが出かける間際にばーちゃんがお弁当を投げて、それを上手にキャッチする。これこそお弁当の必要になった中学一年から続く上連家の日常!
ばーちゃんの作るお弁当はとてもとてもおいしくて、毎日食べても未だに新しい発見がいっぱいあるんだよね!というのもばーちゃんの出身が名前の通りロシアらしくて、日本生まれ日本育ちのアタシがテレビや雑誌で見たことない料理がわんさと入ってるから。ブリヌィっていうもちもちのお総菜クレープみたいなのはお弁当で知ったよ!
それでもって日本食も洋食も中華もなんでもばっちり作れちゃうのがばーちゃんのすごいところで、スーパーで売ってるようなものとは比べ物にならないくらいのおいしさなんだよね!
さらにさらに洗濯も掃除も、おおよそ家のことは何でもできちゃうすごいばーちゃんなんだよ!たかが家事と侮るなかれ!なんてったって一軒家でだいぶ広いからねアタシの家!アメリカ映画でよく見る主人公の家並みに広いから!それを一時間で全部やっちゃうんだからマジヤバだよね!!
一方アタシはどこにでもいるフツーの女の子。まぁ?髪の色がちょぉ~っと変わっているというか?
「そこの君ぃ!おま、髪の色があまりにも傾きすぎてるだろ!」
「これでも地毛申請だしてるんっすよ先生ー」
「地毛ったって、金髪に薄く緑入れるのは色々と無理があるだろそれぇ!」
うん、いやマジでね。こういうトラブルが絶えないし、アタシ的にも全然黒髪もかわいいと思うんだけど、どうしてもできない理由があってね・・・
「じゃあ、とりあえずこれお願いしまーす」
などと言ってカバンから取り出したるは、買いたての黒染め。サッと吹けるスプレータイムと塗って染める。それぞれ二種類用意しておりますー
「え?いや、こういうのは教師がやると色々問題があるというかクレームがめっちゃ怖いので遠慮するから」
「なんで突っ込みにあれだけ声張れていざ実行に移すとそんな弱気になるんっすか先生。イヤほんと大丈夫なんで。いっか、一回見ててくださいってなんで止めてるんですかねぇ!」
「ほんと教師なんて吹けば飛ぶような立場だから!マジで!お話合いののちにお家で染めてきてください!お願いします!おねが、ああー」
止める先生を振り切って、髪染めスプレーを噴射!髪にどんどん染み込んでいき、そのまま元の色に戻った。
「え?うお!スゲスゲスゲ!かっけー!」
「なんで先生がそんなフランクに驚いてんっすか・・・はぁ、こういうわけなので、髪染めできないんですよねー」
なんとも難儀な髪の性質についてため息交じりに解説すると
「え!じゃあさ、じゃあさ、その黒染めとかも、こう、すーって消えるの?超わくわくじゃん!」
すっごい笑顔で追加のオーダー。そういう反応は初めてだなぁ。
「わくわくなのかなぁ・・・ってもうすぐ始業式じゃん!先生じゃあね!」
「うん!じゃあねー!」
いろんな先生に会ってきたけど、このタイプは初めてだなぁ・・・などと思いつつ、駆け足で体育館に向かうアタシであった。