第3話
今回の新規ダンジョンは洞窟タイプだった。
ダンジョンは様々あり、海や平原、洞窟などの自然があふれたダンジョンから、塔や城などの人工物のようなダンジョンもある。
聞いたことがあるのは、江戸時代や戦国時代のようなダンジョンだったり、近未来チックなダンジョンも存在するようだ。ダンジョンはそれぞれにエネルギー量があり、量が多いほど建造物やモンスターの維持ができるため、高ランクなダンジョンほど精巧に作られていることが多いそうだ。稀に自然タイプのダンジョンでもSランクに指定されているものもあるらしいが、相当少ないそうだ。
今回のダンジョンは洞窟で、低ランクによくあるタイプだ。
「低ランクダンジョンだからって気を抜くなよ。新規ダンジョンは何が起こるかわからないからな。」
ダンのつぶやく声が洞窟に響く。流石はアイアンハートをまとめているリーダーだけあり、そのひと声だけでパーティーが引き締まった感じがする。かくゆう俺は、Eランクのレベル1だから気は抜けないのは一緒だが、やはりダンさんの指揮は心強いものがあった。
「おーい、暗視で確認してくれ!」
細い道を抜け、少し広い空間が出てきた所でダンさんから指示を受ける。暗視を使わなくても、暗さに目が慣れ、全く見えない訳ではない。しかし『暗視』を使用すればこの暗さでもはっきりものが見えたり情報が入ってくる。覚醒者としては、こういった場面でしか使えないが、探し物はすぐ見つかる優れたスキルだ!考えていて少し悲しくなった。
「ダンさん。ここにモンスターはいません。罠のようなものもなさそうです。」
全体をさらっと見渡したが、普通の洞窟と何も変わらない。普通の洞窟をよく知らないが。
「じゃあ前に進もうか。暗視で後ろの警戒を頼む」
俺は暗視を使用したまま武器のナイフを構え後方警戒をする。
【Eランク限定ダンジョン】
広場の入り口に表示されていた。
なんだろう。荷物持ちとして数々のダンジョンに挑戦したが、こんなものを見たのは初めてだった。
「ダンさん。ちょっとこれ見てもらっていいですか?」
些細なことでも見逃すと大事故になるダンジョンで、気になった事すべてを確認するのは普通の事だと
ダンさんから教えられていた。それで今まで事なきを得たことが何度もあった。後方確認をしたまま、俺はダンさんに報告した。
「Eランク限定ダンジョン・・・。今までこんなものは見たことがないな。おいレイン!罠の確認頼む」
レインさんはアイアンハートの切込み隊長で、鉄の爪がついたナックルを装備している。敏捷が高く、スピードで敵を翻弄する戦闘スタイルだ。スキルは【索敵】で、モンスターや罠の有無など確認できるスキルだ。宝箱の位置や危険な方向なども何となく分かるらしい。レインは表示の前にかがみ、罠の確認をした。
「罠のようなものは感じられないね。初めて見たけど大丈夫かな。」
「よし!じゃあ調査再開だ!」
俺は武器を構えなおし奥へと進んでいった。
「しかし、なんもねーな。」
ダンさんがつぶやく。確かにダンジョンに入ってから30分以上たつが何にも出てこない。このタイプのダンジョンなら、コウモリやスライムが出てくるのが定番だ。先ほどの表示といい、どこか違和感を感じる。
(力が欲しいか)
「はい?」
(何のために力を欲す)
「急にどうしたんですか?」
調査に飽きたのだろうか。よく分からない質問に対し前を向く。
「え・・・」
いるはずのアイアンハートパーティーがだれ一人として消えていた。後ろに気を取られて置いて行かれてしまったのだろうか。いつもなら「早くいくぞー」なんて声をかけてくれていたし、置いていくような人たちじゃない。が、Eランクダンジョンとはいえ、俺一人では攻略なんて出来ない。
焦りからか、色んな考えが頭を巡っていた俺は奥へと走り出した。