第1話
この世界では、覚醒者にスキルが与えられる。
炎や雷などの自然を操るスキルや、身体能力を向上させるスキル、体の一部を武器として変化させるスキルなど様々あり、ほとんどが先頭に特化したものだった。
戦闘系以外のスキルでは、回復魔法や味方の能力を向上させる補助魔法などダンジョン攻略に欠かせないスキルなどがある。
30年前、地上にダンジョンが現れてからは、この覚醒者が現れ始めた。すべての人がなれるわけではなく、覚醒者というだけで一生安泰だと言われるほど希少な存在である。
俺もその覚醒者の一人で、覚醒者特有のサポートウィンドウが現れたときは大喜びした。
しかし、スキルは【暗視】、暗いところでも目が見えるというほとんど使えないスキルで、協会のスキル判定はEランクである。
戦闘を行うことも出来ず、覚醒して3年たつが、レベルは1のままである。
そんな俺が覚醒者として行っている依頼は決まって荷物運搬と素材採取。最初は先輩覚醒者から可愛がってもらえたが、先輩たちが高ランクダンジョンに行きだしてからは、覚醒したばかりの新人覚醒者の荷物持ちが多く、成長しない覚醒者と馬鹿にされていた。
今日もいつものように荷物持ちの依頼を受けていた。今回は出来たばかりのダンジョンの調査だ。
こういった依頼は珍しいが少なくはない。突如現れたダンジョンの内部調査を高ランクの覚醒者が行うのだ。
たいていは、漏れるオーラで判定し、その2ランク以上上のパーティーで内部調査を行う。
今回調査するCランクのパーティーは、俺が新人だった頃お世話になったパーティーで、荷物持ちとしてだが一緒に行かないかと直接誘ってくれたのだ。