⑫旅128日目
旅128日目。
東西南北の最端へ
残すは本土最北端の宗谷岬だけです。
そこをひたすら目指します。
美幌というところまで今日は走る予定です。
美幌に行くには美幌峠を
越えなければならないのですが、
これが大変な道のりとなりました。
美幌峠に向かう途中から若干吹雪。
まだ大丈夫だと自転車を押して美幌峠に突入。
若干吹雪の中、自転車を押して登ります。
向かい側から車が来ると、
この天候で登っている自分の姿に驚いて
クラクションで応援してくれたりします。
そんな熱い応援に支えられ必死に登ります。
峠レベル7ですが、この天気を加味すると
峠レベル8に限りなく近いものがあります。
やっぱりこの時期の北海道の峠越えは厳しい。
途中で眼下に屈斜路湖が
なんとなく見えたのですが、
若干吹雪なので立ち止まることなくチラ見です。
なんとか登りきって
頂上が見えたと思った途端に強風が吹き付けます。
前に進めないほどの強風。
襟裳岬の風と遜色ないほどの強風。
けれど、これは今が頂上付近で
遮るものがないからで、下りに入ってしまえば
弱まるはずと信じて進むことに。
展望台らしき建物が見えましたが
この強風なので近づくことが難しく
このまま下ることを選択。
もう少しで下り坂、
風に逆らいながら一歩一歩進みます。
ゆっくりと一歩ずつ。
とにかく下りたい。
日本全国の峠を登ってきたんですから
そろそろ下りたい。
と思っていたら本当に下り突入です。
これでようやく自転車に乗れます。
遮るものが現れると風は弱まり
あっという間に峠は終了。
あの登りの苦しみは一体何なんだと
思ってしまうほどにあっけない下り。
登りと下りの差は歴然なんです。
この日はさすがにクタクタになってしまいました。
北海道の美幌峠に
冬の厳しさを教えられた気がします。
美幌に到着したらすぐに民宿に入りました。
女将さんに美幌峠を越えてきたと話すと、
大きく驚かれ心配されましたが
温かく迎えていただきました。
部屋に入って深呼吸。
これで身体を休めることができます。
そしてこの日の夜、
職場で上司だった方から連絡があり、
気仙沼にいるご両親が無事だったとのことです。
住んでいる家も無事とのこと。
良かった……。
この連絡には自分は本当に救われました。
身体はクタクタでしたが救われました。
けれど、被害の大きかった気仙沼では
悲しい話も多く、
素直には喜べなかったとのことです。
「気仙沼の状況を目の当たりにしたら
言葉も出なかった。
出るのは涙だけだった」
このように語っていました。
美幌峠で疲れている自分なんかより
大変な状況の人達が大勢いる。
まだ自分なんかは弱音を吐けません。
だから、自分は自分のやれることを
全力でやり遂げます。
「走れ、希望を乗せて」
応援してくれる仲間から
このような連絡もきました。
絶対にこの旅を成功させて
無事に家族のもとに帰る。
それが今の自分にできることなんだと
もう一度気持ちを強くしました。
これが旅128日目の話です。
報告が遅れましたが
ここまでの総走行距離9000キロ到達。




