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⑪旅123日目、126日目 (3月12日、3月15日)


旅123日目の話に入ります。

この旅を続行すると決めたので

本土最東端、納沙布岬に近づくため、

まずは釧路を目指します。


しかし、昨日の地震の影響で

沿岸部はすでに通行止めになっていました。

さすがにあれだけの地震なので

街中に警備の方々の姿が見えます。

警備の人に話を聞くと

津波警報だと通行規制になって、

津波注意報だと通行可だそうです。

こんな時に旅をしている自分の姿を見て、

警備の方々は驚いていました。

そりゃそうです。

それでも自分は旅を続けます。


迂回するルートを聞いて走り出したのですが、

どうやら峠越えになりそうです。

迂回するルートなので、釧路から

離れていく感じがして不安になりましたが、

とにかくこの峠を越えない限りは

先に進むことができないので、

教えてくれた警備の方を信じて走り続けました。

なかなか峠を越えられず薄暗くなり、

このまま山の中でテント泊になるかもしれないと

考えながら走ります。

山の中は厳しいだろうと不安になりながらも

走り続け、日が落ちて暗くなった頃に

ようやく市街地に到着。


こんな時間でもまだやっている民宿を見つけて

なんとか泊めてもらいました。

すぐに部屋のテレビで

地震の状況を確かめることに。

テレビは各局全てが地震のことを伝えていて、

そこでは自分が

考えていた以上のことが起こっていました。

とにかく津波の映像がすごくて、

これは一体何なんだと

恐ろしくなってしまいました。

宮城でこんなことが起きている現実が

本当に恐ろしくて、そして自分が

今ここにいることが本当にもどかしくなりました。


テレビから次々と信じられない映像が伝えられ、

東北で今起こっていることが

自分の中でもわかってきました。

自分のメールに宮城の仲間から

いろいろな現場の情報が入ってきます。

幸い仲間達には被害はなかったとのことですが、

宮城は1日1日が大変なことが伝わってきました。

東北で信じたくないことが

本当に起こってしまいました。


この夜、自分のいる北海道は

津波警報から津波注意報に変わりました。

これで釧路に行けるはず。

自分は旅を続けます。

ここで断念しても、きっと後悔してしまいます。

地震に負けない気持ちで走る。

そう自分に言い聞かせるしかないのです。

これが旅123日目の話です。



旅126日目。

この日も納沙布岬を目指して走ります。

釧路には無事に行くことができまして、

すでに根室まで到着しています。

本土最東端まではもう少し。


ここまでの旅の途中、警備をされている方々から

自分に対して温かいエールをいただきました。

しかも、一人二人ではなく

たくさんの方々からです。

北海道の皆さんは

旅人を多く見ているのかもしれません。

このような状況なので本当にありがたいです。

泊まった民宿でも出発する朝に、

民宿のおばちゃんから

温かいおにぎりをいただいたのです。

北海道の皆さんはなんだか優しいですな。


そんな北海道の皆さんに支えられて

無事に本土最東端、納沙布岬に到着しました。

この日は天気も良く

絶景が自分を待っていてくれました。

納沙布岬にある灯台が小さくてかわいいんです。

この灯台が何かは詳しくはよくわかりませんけど。

かわいいサイズなのは間違いないのです。

海も静かできれいです。

この日は穏やかな海です。


あの地震は震災と呼ばれる規模になり、

仲間や家族から宮城の状況が

続々と情報が入ってきました。

その中で、自分をいつも熱く応援してくれている

職場の上司だった方の実家が気仙沼にあって、

この震災後からまだ連絡がつかないらしいのです。

仲間のこういう話は

本当に心配になってしまいます。

職場で上司だった方は、

愛媛で自分にチオビタをくれた

あの女性のお兄さんですから。

ご家族の皆さんが

無事でありますように祈るばかりです。

納沙布岬から見つめる海に向かって、

どうかこの祈りが届いてほしいと

手を合わせました。

離れている自分には祈ることしかできません。

これが旅126日目の話です。


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