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ライキリ

 目の前でアイリスが覚悟を決めた顔をして立っている


「私が倒します。奏斗さんはゆっくり休んでいてください」


 アイリスの華奢な体が力強く1歩を踏みしめ駆け出す


「はぁぁぁぁぁ!」


 次々と魔法を放ちドラゴンに立ち向かっていく



 やめろ、かなうはずない!今すぐ逃げろ!!


 叫びたいがろくに声も出ない


 こうして地面に這いつくばっている間にもアイリスはドラゴンに傷つけられている


 止めてくれ、もういい。全力で逃げるんだ


 何度も声を出そうとするが体が言うことを聞かない


「グガアァァァァ!!」


「きゃぁぁぁ!」


 ブレスの余波で吹っ飛ばされ、尻尾で吹き飛ばされようともアイリスは諦めない


 何度も魔法を放ち奮闘している


 次第に俺の中に1つの感情が唸りはじまる


 何故アイリスが戦っているのに俺はノコノコと倒れている


 何故アイリスはあんなに傷ついている


 何故俺は何もしてない


 何も出来ない自分に対して怒りがフツフツと湧いてくる


 あの小さな背中に助けて貰っていいのか?


 自分のせいであの少女を殺させてしまっていいのか?



「いいわけないだろ!」


 体が動かない?知ったことか


 動かないんじゃなくて動かせ!


 歯を食いしばって脚に力を入れる


 プチプチと全身から嫌な音がするが構わない


 今立ち上がらなくていつ立ち上がる!!


 瞳をギラつかせ、前を向く


 アイリスももう限界なのか、防御魔法で自分に障壁を張る事しか出来ていない


 次第にピキピキと障壁にヒビが入る


 このままじゃあと数秒で破られるだろう


 俺は右手に槍を創造しまた雷を纏う


 パキンと障壁が破れたと同時に




「あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 血を迸りながら天の逆鉾(アマノサカホコ)を放つ


「ガァァァァ!!!」


 同じ技で最後の片翼を奪われるドラゴン


 もはやただで殺さないとばかり俺に殺気をぶつける


 絶大な怒りか、口から火の粉が出て他の事には眼中にないとばかりに俺に向かう


 アイリスからの注意が消えてチャンスだ。出来るだけアイリスから遠ざける様に走る


 どうやってこいつに勝つか、ひたすら考えある方法に辿り着く



「.......古代魔法」


 魔力を膨大に使う代わりに圧倒的な破壊力を出せる魔法


 1度も使ったことがないが、しかしもはやこれに頼るしか手段がない!


 この魔法に全てをかける!!



「我、目覚めるは(イカズチ)を支配する者」


 俺の周りから膨大な魔力が溢れだし、ドラゴンがさせないとばかりに攻撃してくる



「幾千の空を渉り、世界を天翔る」


右手に大剣を創造しドラゴンの攻撃に耐える


「故にこの一撃は絶対不変の(ライキリ)なり」


いよいよドラゴンが焦ったのかデタラメに爪を振るってはブレスを吐く


俺はブレスの爆風を利用して空高く舞い上がる


この一撃に全ての魔力を篭めるべく最後の詠唱をする


「啓示は降りた。今こそ灰燼に至り輪廻の輪に沈め」


瞬間複雑で何層にもなっている魔法陣がドラゴンを覆う


「ガァァァァァ!!!」


この魔法の危険性が理解したのか今までで最大のブレスを吐き、魔法が放たれる前に殺そうとしてくる


目の前が炎の海で覆われるがもはや遅い


天神雷光(テンジンノライコウ)


その瞬間、光が炎を呑み込みドラゴンに突き刺さる


そして辺りを1面光に包まれ爆音を立てながら地上を破壊する


俺は自分の放った魔法の余波でアイリスの元まで吹き飛ばされた


地面に落下した際、また何処かの骨が折れたのかもはや立ち上がることすら出来ない


「.......あぁぁ、痛すぎ。本当にもう無理死ぬ」


痛すぎて涙が出そうだわ


しばらくすると砂埃が晴れ、念の為光が落ちた方向に顔を向けると


「あはははは、凄いな」


辺りを1面酷いクレターが出来ていてその中心に黒い魔石があった


どうやらちゃんと倒したようだな


安心して力を抜いたら瞼が急に重くなってくる


背後からパタパタと足音が聞こえ、アイリスの泣きそうな声が聞こえた


ちゃんとアイリスを守れたことから安堵しそのまま眠る様に意識を落とした


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